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出版権について、補足説明いたします

ある読者の方とお会いした際、今回のこの販売について戸惑っている様子が窺えました。こちらとしても説明やアナウンスが不足していたと感じ、そのせいで購入することに躊躇いがある方がいるかとも考え、ここで補足説明することにいたしました。

本を出版する際には、出版社と著作者が、必ず「出版契約書」を取り交わします。そこには印税率、出版形式、二次使用についてなど、いろいろと細かい決めごとが書かれています。
この取り交わしにより、著作権者は出版社に権利を付与し、出版社はその作品を占有できることになります。これが「出版権」です。

契約が成立すれば、著作者であれ勝手なことは許されません。映像化、漫画化、舞台化、引用など、すべての二次使用は、出版社を通さなければならなくなります。
今回私は、「千マイルブルース」の出版権を幻冬舎から引き取りました(正確には「出版権設定契約の解除」)。
じつをいうと、このようなケースは稀です。普通、出版社は権利を手放しません。
なので私のように、出版権を引き取り、ネットで発表している作家はいないと思います。そのあたりで混乱や困惑を招いたのかもしれません。
ともあれ、今回承諾していただいた幻冬舎には感謝しております。

ということで幻冬舎からの重版はなくなりましたが、かわりに私が作品を自由に扱えるようになりました。
もちろん、その権利を他社に売却することもできます。
ですが、別の方法を考えてみることにいたしました。
それが今回の、フォトストーリーとしての個別販売です。
と言っても使用している画像は素人の私が撮影したスナップや、フリー素材です。ですが物語に合う画像を世界中から探し、揃えたつもりです。楽しんでもらえる出来になったと自負しております。

加筆修正して磨き直し、画像をつけてアップし、お礼を述べて販売する。
日々のこの作業には、既視感を覚えます。
じつは私は、そこから始まったのです。
エッセイをワープロで打ち、プリントアウトし、ホチキスで冊子にし、駅前で手売りしていたのですから。「キャベツのはらわた」という作品です。
今、その当時の感慨と感触を味わっています。初心に帰った気持ちです。

ただ、この一連の作業中は、他の作業はなかなかできません。つまり、新作に着手できません。それほど器用な人間ではないのです。といいますか、とても不器用な小説家です。ついでに言うと、文才はあると思いますが商才はまったくありません。
新作を待っていらっしゃる方が多いことは承知しておりますし、大変ありがたく感じております。ですがその点を理解していただき、「しょうがないなあ」と、こちらでもおつきあいしていただければ幸いです。

というわけで、筋を通してきちんと販売しております。違法性も倫理的問題もなにもありません。あればとっくに幻冬舎から訴えられていますから(ちなみにどこの出版社も、出版権の侵害には敏感です)。
ということで、どうぞ安心してお求めください。価格に見合った満足をご提供いたします。

お、もうこんな時間か。

よろしければ、サポートをお願いいたします。ご喜捨としていただき、創作の活動費として、ありがたく使わせていただきます。