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夢、幻想、現実の境がない、子供目線のダークで奇妙なリアル「Alice」

こんにちは。

今回は、東欧キャラクターデザインが不気味で可愛い 大好きなダークファンタジー ヤンシュヴァンク・マイエル「Alice」について。


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チェコアニメの伝統を無視し続ける異端児 ヤンシュヴァンク・マイエルとは


人であろうと物であろうと、私にとっては、
劇中に登場するオブジェに過ぎない。
ただ、人だとギャラが発生するから
厄介だけどね


という彼は、人生で最も劇的な、生と死でさえも、「ただの出来事」として特に着眼をしないんです。彼は、オブジェやコラージュの作家であるため、触覚的な感覚を映像に表現して、観る側の頭の中にその映像をこびりつかせてきます。


それがドープ・・病み付きなっちゃう。。


そしてなにより、ヤンシュヴァンク・マイエルといえば「食べ物」「食べる」という行為に対するネガティブな表現。


彼は小さい頃、食べることが好きではない子供で、食べ物にネガティブなイメージを持っています。なので、


劇中に出てくる食材や食事シーンは、ひどくマズそうでとんでもなく不快!!



ひい!!

特に、生肉に対しての表現が酷い。これは別の映画の画像ですが、ヤンシュヴァンク・マイエルらしさの一つ。


「Alice」あらすじ

少女 アリス は子供部屋で退屈していた。その時、ガラスケースの中の置物のウサギが動き出し、ハサミでガラスを割って出ていくのを目撃する。正装したウサギは懐中時計を見て“大変だ、遅刻するぞ”とつぶやいていた。部屋から続く荒野の先にある机の引き出しに入ったウサギを追って、アリスも引き出しに潜り込む。尻餅をついてバケツにはまったアリスは、底の抜けたバケツから地下へと続くエレベーターで深い穴の底へ落ちていった・・。


ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」が原作。なので物語的には 子供の頃から良く知っているもの。でもそこに独特な世界観と脚色がプラスされていて、まったく知らないお話のよう。


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実写と人形アニメの融合が境を無くす、現実と夢と幻想


私は今から映画を観るのよ

子供の映画よ、たぶんね

そうだわ、忘れたら大変!

目を 閉じじなきゃ さもないと 何も見えないのよ




このセリフから映画が始まります。

ほとんどセリフはなくて、音と映像の世界。女の子と人形たちが共存していて、夢と幻想が入り混じってるんだけど、それは女の子の現実でもある。


目を閉じなきゃ なにも見えない映画。ん~!ファンタジーっていいな。


子供騙しのファンタジーとは一線を画した、残酷でリアルな子供目線の世界


この映画に出てくる「実写」は 主人公のアリスのみ。


アリス以外の登場人物はパペットアニメーションで動きます。その動きがカタカタと不気味で、不穏なものばかり。きゅるんと可愛いものたちは出てきません!・・でも癖になる。破れたお腹からおがくずかポロポロ落ちるウサギや木製の帽子屋、頭だけ骸骨のトカゲや靴下の芋虫。



いや、怖い! けど好きなんだな~

子供には見せられないよ、リアルな子供の世界のダークな部分。


まとめ

カタカタとした、不気味な動きが生み出す違和感が、当たり前のように女の子の世界に存在していて、そんな世界観がとても好きです。

この映画にはほとんどセリフがなくて、たまに入るアリスの語り以外は、リアルな音と映像だけの世界。子供が頭の中で作り上げた、それこそ目を閉じたことによって見えた世界をそのまま映像化したような。


ファンタジー作品だけど、ある意味、何よりもリアリティーのある子供の世界なのかも。



※注意 虫なども出てきます。苦手な人にはオススメできない。(といいつつ、私も超絶苦手なのですが。)

好き、嫌いは置いておいて、ハッピーな世界線のファンタジーを見飽きたときに、ふと思い出してほしい映画です。






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