かおりさんへ

先日は久しぶりに会えて楽しかった！ご飯も美味しかったね。またぜひ行きましょう。さて、今回の本だけど、初回ということもあり、私たちの「はじまりの本」について書こうと思います。わかるかなあ。そうあの本です。近藤史恵の「サクリファイス」。

　本を紹介するBlogを見ていて出会った本。自転車競技の話に夢中になり、最後の1ページで鳥肌が立ち、「サクリファイス」という題名の意味を理解したとき、誰かに紹介せずにはいられなくなった。娘の花も読んでやっぱり誰かに紹介したくなって、太郎くんに本を貸したんだよね。花と太郎くんは小学校からの同級生で、本好きの仲間だった。太郎くんも「おもしろいから読んでみて！」ってお母さんのかおりさんに紹介してくれた。２家族で１冊の本を楽しむなんて体験をしたことがなかったから、こんな本の楽しみ方があるんだなと感動したことを覚えている。

　そして、花の私立高校受験の日、もっとびっくりすることがあった。花が試験から帰ってくるなり「帰ってきたら話したいことがある」って仕事中の私にLINEを送ってきたの。なにかやらかしたのかとドキドキしながら家に帰ってきて「どうした？」って聞いたら「『サクリファイス』が国語の試験で出た！でね、太郎も同じ高校受けててさ、なんかおそろしいほどの縁を感じちゃったよ」と。最終的にはその学校には行かず、花も太郎くんもそれぞれ別の県立高校に通うことになったけれど、こんな運命的なことがあるのかと思ったよ。

　それからだよね。かおりさんと本を紹介し合うようになったのは。細く長く、近所の図書館の本でおもしろいものがあったら、LINEで紹介しあったり、たまにご飯を食べたり、飲みに行ったり。花が同席することもあったりね。かおりさんとゆるーくつながる時間は、私にとってふだんのバタバタした生活を一瞬忘れさせてくれるぜいたくな時間。このあいだ会ったときに、私たちがふだん話していることを文章にして公開したらおもしろいかもねって話になって、本を紹介し合う往復書簡を始めることにしたんだよね。なんだかとってもわくわくしてる。そして、かおりさんがどんな本を紹介してくれるのかすごく楽しみ。そんなわけで、これからどうぞよろしくね。

2023年8月18日
やすこより