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急にゼロ距離で迫ってくる介護の話~細川貂々『親が子どもになるころに』

やすこさんへ

先週の『祖母姫、ロンドンへ行く』の話、楽しく読みました。小説かと思っていたらエッセイなんだね。
おばあちゃんになって、孫娘にアテンドしてもらっての姫のような贅沢旅行、夢だわあ。
お金もだけど、海外旅行に行けるような元気があるってことがまず大事だよね。
やすこさんのご両親はまだお元気そうなので、ぜひ今のうちに一緒に旅行しておくといいと思う。

私も去年、親と旅行に行ったんだけど、脚が悪いと観光地に行っても「しんどいから座って待ってるわ」とか言われちゃうし、食が細くなって旅館の御馳走を半分も食べられないし、「あれ?まったく楽しんでもらえてなくない?」と徒労感にくらくらしました。
離れて暮らしているから気づきにくいけど、親は私の想定よりも年を取っていた。多分親の方も旅行に行きたいって言ってるときは気付いてなくて、行って初めて身体がついていかないことに気付くのかも?

私がおばさんになったら、そりゃ親はおばあさんよね(森高千里?)。
そういうことを考える年になった私の目に飛び込んできたのがこの本です。

実家で一人暮らししていた貂々さんのお父さんが、新型コロナの流行でしばらく会えないでいるうちにいつの間にか認知症になっていて呆然。「さて、一体どうすれば?」とオロオロしながら、待ったなしの介護問題に直面していく話。

「1万9500円払わないと罰金をとられる。ラジオでそう言ってた」など、謎の妄想電話が親から毎日かかってきたら、貂々さんじゃなくてもつい本気でブチ切れるだろうし、施設を探そうにも複雑でわけわからん!って思うし、何度も実家に通う交通費、入院や引越しや施設の費用など、お金のことも頭が痛い。あ~、考えたくなーい。

人が生きて老いて死ぬ、って、当たり前のことなのにどうしてこんなに大変なんだろうね。

介護の話題はどうしても重くなりがちだけど、この本は貂々さんのほのぼのした絵柄で『昔は頼れる大人だったけど、今は中学一年生くらいになってしまった』お父さんを、端的に中学生の姿に描くことで親子の関係性の変化が視覚的にもわかりやすくなってたり、エッセイ漫画として読みやすく描かれているので、あまり構えずに読むことができます。

読みながら思ったのは、一言で介護と言っても本当に千差万別で、その時々にできることを選択していくしかないんだろうなということと、出来るだけいろんな人に助けを求めることが大事だなってこと。そしてそう遠くない将来、自分が介護される立場になる前に、色々準備しておかないとなあってことも考えたよ。子どもの方からは言いにくい介護やお金のこと、親側から話し合う機会を作るべきだな、とかね。

諸々の準備もしつつ、やっぱりできるうちにやりたい事やって行きたいところに行きたいから、そのためにも今から足腰鍛えて、頭も柔軟にしておかないとね。私、今年こそは運動を始めようと思います。それでは、また。

2024年3月1日
かおりより

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