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SNS

誰かに話を聞いてほしいだけなら、聞いてほしいまさにその瞬間に、時と場所を選ばず、言いたいことを言える場所があればいい。

人を呼んで言うほどのことでもないけれど、ちょっと言いたい。聞ける余裕のある人が常にそこにいる、そういう安心感で、発信するメッセージ。

自分以外の人が日ごろ何を感じ、何をしているのか。

自分という籠の中だけでは退屈してしまっているから、拘束されない自由な環境なら、顔の知らない誰かの失敗談やら、おもしろい話なら聞いてみたい。

愚痴やら文句でも、顔の見えない誰かの話で、自分と直接関係ないなら、深く考える必要もない。そうだそうだと、相槌を打ちながら眺めたいときもあるだろうし、反対意見や抗議をしたくなったら、匿名で書き込める。相手の顔色をうかがいつつ、黙っておく必要はない。不快になったら、すぐに見るのをやめればいいのだ。

想像するに、こういう需要と供給があって、情報技術の発展と、その一つの恩恵であるサービスが支持されている。

対面の人間関係を直接好ましいものに変えるのではなく、SNSという切り替え可能な手段があることで、現況を耐え忍ばんとしているのが、ひとつに昼間の食事会なのかもしれない。今では、どこへ行くにも、誰と会うにも、携帯電話、スマートフォンを開かない人はいない。

聞きたくはない話を聴かされているとき、もしくは、話したいことを話せる相手が見つからない時、私たちは自分の注意を他所に逃がす手段を、常に持ち歩いているというわけである。

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