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人気ビジネス書『伝え方が9割』を読んで大切だと思ったこと

どうも、ハギです。今回は言わずもがなの人気ビジネス書「伝え方が9割」について書きます。著者はコピーライターの佐々木圭一さん。

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コピーライターの知識と経験が詰まった”コトバの入門書”

まずは、読んだことがない方に向けて私なりの紹介&レビューを考えてみました!

・佐々木さんがコピーライターとして培ってきたコトバの技術を、実例を入れてわかりやすく解説

・「伝え方の技術」を身に付けることで、コトバの引き出しを増やし、心を動かすコトバを自分でつくれるようになる

・日常会話よりも前もって準備できるコトバに活かせる 【例】プレゼン資料、メール、記事など

コミュニケーション(話し方)よりも、コピーライティング(書き方)寄りの内容でした。キャッチコピーのつくり方とかに近いです。

専門的な内容にも関わらず、この本のすごいところは、コピーライティングの技術を誰でも手軽に使えるよう書かれていることです。

佐々木さんは料理と同じく、コトバもレシピに沿ってつくればプロに近い味を出すことができると言います。

ミシュランガイドで世界一多くの☆を持つフランス料理、ロブションでも、徹底的なレシピがあります。料理長がつくっても、そうでないシェフがつくってもプロとして同じ味が出るようにしているのです。

印象的だったコトバの黄金レシピ

では、具体的にどんなコトバのレシピがあるのでしょうか?

本書には7つの切り口と5つの技術が書かれています。詳しく知りたい方は一読をおすすめします。今回は、個人的に印象に残った2つの例をご紹介します。

①経費でおとしにくい領収書を事務の方にお願いする

✖︎「この領収書、おとせますか?」
○「いつもありがとう、山田さん。この領収書、おとせますか?」

前者が自分のお願いをストレートに伝えているのに対し、後者は「相手の名前」と「感謝」を加えています。この差で、成功率が上がるというのです。

理由は、名前を呼ばれると人は応えたくなるという心理が1つ。もう1つは、感謝を伝えられると人は否定しにくいためです

「感謝」の切り口は、紹介されている技術の中で一番身近でありながら汎用性の高いものだと思いました。

②飛行機の機内アナウンス

✖︎「後方のお客さま、前のお客さまが出られるまで、お席でお待ちください」
○「後方のお客さま、お時間がかかってしまうので、ごゆっくり、お仕度ください」

飛行機が着陸し、機内から出るまでの快適とは言えないあの時間。追い打ちをかけるように「お待ちください」と言われると正論でもイラっとしたり...。

ですが、「ごゆっくり、お支度ください」と言われるとホテルの上品なサービスを受けているかのように聞こえるマジック!

この切り口は「相手の好きなこと=メリット」をつくっています。待たされるのは嫌だけど、ゆっくり準備できることはお客さまにとってメリット。デメリットをメリットに変える、見事な表現です。

上記2つは「ノー」を「イエス」に変える切り口として紹介されていますが、コピーライター的な考え方だなと思いました。

コピーライターは商品や企業に興味がない消費者をコトバの力で振り向かせる職業。「興味がない」「いらない」を「気になる」「ほしい」に変えるのは、まさに「ノー」を「イエス」に変えることと同じと言えます。

技術よりもルールよりも大切な「相手の頭の中を想像する」こと

紹介されている技術の数々は魅力的なので、型だけを覚えたくなってしまいますが、コピーライターの視点で見ると一番大事なのは切り口や技術ではありません。

佐々木さんは、技術を使う前に以下3つのステップを踏むように説明しています。

●「イエス」に変える3つのステップ
 ステップ1
 自分の頭の中をそのままコトバにしない
 ステップ2
 相手の頭の中を想像する
 ステップ3
 相手のメリットと一致するお願いをつくる

この3つは、コピーライターがコピーを考えるときに意識していることでもあります。残念ながら、広告は基本的に興味を持たれないもの。「買ってください」「良いものですよ」と一方的に伝えてもみなさんには届きません。なので、相手の頭の中を想像して商品との接点をつくる必要があります。

これは日常生活でも有効です。たとえば人を褒めるとき。テキトーに良いことを言っても相手には「あ、お世辞言ってるな」と伝わってしまいますよね?型にとらわれてしまうと「伝え方の技術」は薄っぺらいものになってしまいます。

人の心を動かすコトバをつくるにはまず、自分の心を動かす必要があります。特に「相手の頭の中を想像する」ことはとても大事です。領収書や機内アナウンスの例も、相手の立場を考えての言い回しだからこそ響くのです。

伝え方が9割、残り1割は?

キャリアコンパスの記事で、タイトルである「伝え方が9割」の残り1割は何か?という興味深い質問がありました。佐々木さんは次のように答えています。

残りの1割は、「愛情」です。相手のことを、愛情を持って考える。それによって、「それでもなぜか伝わらない」壁を突破できることもあると思うのです。

「愛情」・・・(深イイレバーを押す)。

たしかに人と人ですから、愛情があれば伝え方が不器用でも、気持ちや関係性で補えるというのはあると思います。「相手の頭の中を想像する」ことも、言い換えれば愛情なのかもしれません。

「デートの誘い方」の裏話

本書の冒頭は、デートのお誘いの例で始まります。

たとえば、好きな人がいるとします。でもその人は、あなたに少しも興味がないとき、何と言ってデートに誘いますか?

正直、私はこの例えを出すことに違和感がありました。なぜなら、様々な例が紹介されているものの、主にビジネスシーンを想定した内容の本だからです。

私の疑問に対する答えは、『伝え方が9割』はなぜ100万部売れたのかという昨年のインタビュー記事で出ていました。

実はデートの例を最初に持ってきたのは佐々木さんの考えではなく、担当編集者のアドバイスだったのです!

「佐々木さんは、この本を誰に読んでほしいんですか?広告業界のごく一部の、コピーライターに読んでほしいのか、それとも一般の人たちが読みたくなるような本にしたいですか。後者であれば、恋愛の話から始めたほうがいいです」

なるほど。専門的な内容なのに、どうしてこんなにも多くの人に読まれたのか。その1つが、万人が興味を持つ恋愛話を最初にしたからだったとは...!とても納得しました。売れる本の裏には編集者の力あり、というわけですね。

最後に余談ですが、先日本屋に行ったら「人は話し方が9割」という本が宣伝されていました。一瞬、佐々木さんの新刊?と思いましたが、違う方が書かれた本です。

「伝え方が9割」は2013年ビジネス書年間ランキング1位、「人は話し方が9割」は2020年ビジネス書年間ランキング1位で、タイトルだけでなく実績も似ているのでちょっと驚いてます。

「9割」というパワーワード、うまい言い回しだなと思います(これも編集者のアイデアだろうか...)。

それでは、また。

文:ハギ
@よりみちコピーライター

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