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伝え方のズレを防ぐ「客観的な視点」

わかりやすい文章は、読み手とちゃんとコミュニケーションが取れています。逆にわかりにくい文章は、読み手に少なからずストレスを与えたり、手間をかけさせます。

この違いを生むのは、文章の技術だけでなく、客観的な視点を持って考えているか?どうかです。

客観的な視点を意識して、伝わる実用文を目指しましょう。

書き言葉こそ、客観的な視点が必要

そもそも話すのと違って、文章を書く行為は目の前に相手がいないため、独りよがりになりがちです。

だれかに向かって説明するときは、相手の反応を見たり、質問などがあればその場で答えることができます。

しかし、特定の場所に掲載される案内文や注意書きの場合は、一方的なコミュニケーションになってしまいます。

もう少し具体的に言うと、こんなデメリットがあります。
・無人の状態で貼られる
・読んだ人は気になることがあってもすぐに確認できない
・WEBと違ってすぐに修正ができない

だからこそ、掲載される前に「この書き方で伝わるか?」「この内容で過不足はないか?」客観的に文章を見る必要があります。

事例1:ニーズを満たせていない「レストランの案内文」

先日、SNSで話題の雰囲気の良いお店にランチに行きました。結論から言うと、そのお店には入れませんでした。お店に着いたのが13時半頃、ランチの営業時間は15時まで。

店前の掲示板を見ると、A4チラシが貼ってあり、以下のような案内がありました。

CLOSED
ディナーのご予約には、まだ空きがございます。
当日も受け付けておりますので、お気軽にお越しくださいませ。
丁寧に仕込んだ料理をご用意してお待ちしております。

人気店であることは承知していましたが、案内文を読んでも腑に落ちなかったのです。

理由は、見る人にとって必要な情報が曖昧だから。

CLOSEDと英語では書いてありますが、看板ほどは目立たないのでわかりくい。営業時間内にCLOSEDした理由が明記されていない。

一緒に来た友人と「本当に閉まってる?」と戸惑いました。間に合わなかったのは自己責任ですが、不親切な文章だなぁと残念に思いました。

私だったら、このように書き直します。

<伝えるべきこと>
・営業時間ではなく受付を終了したこと
・なぜ受付を終了したのか?

CLOSED
本日のランチはすでに満席のため、受付を終了しました。
ディナーのご予約には、まだ空きがございます。
当日も受け付けておりますので、お気軽にお越しくださいませ。
丁寧に仕込んだお料理をご用意してお待ちしております。

貼り紙ではなく、店員として店前に立ったときを想像してみましょう。

来店したお客さんに「ランチ終わったんですか?」と聞かれたら、あなたはどう説明しますか?

「すみません、満席のため、本日の受付は終わりました」と言った感じで伝えませんか?

だれかに話してみる気持ちで書くと、コミュニケーションのズレを防ぐことができます。

ちなみに後日リベンジしたときに、店員さんと話していたら、15時までにお店が閉められるように人数を調整していると聞きました。期待通りに行かなくとも、理由や根拠を説明してもらえると納得した気になるものです。

事例2:重要な情報が届かない「駅の注意書き」

以下は、とある駅構内に貼られていた雨漏りの注意書きです。

日頃よりお世話になっております。
ただいま、駅構内で雨漏りが発生しております。
通行時は十分にご注意くださいませ。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

丁寧な謝罪文にも見えますが、無駄な情報が多すぎます。この注意書きで、一番伝えなくてはいけないことは何でしょうか?

「雨漏りに注意してください」の情報です。

注意書きではなく、駅員の立場になって駅を利用する人に声かけをするとしたら、上の長文を投げかけますか?そんな時間は、言う側も聞く側もありませんよね。

もしかしたら「日頃よりお世話に...」のタイミングで、もうだれかの頭に水が降ってきているかもしれません(汗)

では、書き直してみましょう。

<伝えるべきこと>
・雨漏りに注意してください

雨漏りにご注意!

「!」をつけたのは、注意喚起のニュアンスを強めるためです。

丁寧な言葉を心がけることは大切ですが、その言葉が置かれる場所や状況も想像してみましょう。情報を取捨選択する必要があると気づきます。

まとめ

「客観的な視点」を持つと文章の質がグッと上がりますし、プロの視点に近づくことができます。ライティングで差をつけたい方は、意識してみてくださいね。

✔︎わかりやすい文章には客観的な視点が不可欠
✔︎相手の立場になって必要な情報やニーズを考える
✔︎情報の優先順位を考える
✔︎言葉が置かれる場所や状況も想像してみる

わかりやすい文章に欠かせない"読みやすさのコツ"の記事もどうぞ!

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文:ハギ

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