「キレイゴトぬきの農業論」を読んで
久松達央さんの「キレイゴトぬきの農業論」という本を読みました。
読んだのは結構前なのですが、書かねば…と思いつつ、なかなか書けていなかったものです。
時期的には、以前に投稿した自然栽培について感じたモヤモヤの草稿を温め終わったときくらいに読んで、「うわ~言いたかったことがほとんど、そしてより明快に書かれてる!」と感じたことを覚えています。
読書メモ
※ 引用形式で書いていますが、引用部分は本からの完全な引用ではなく、私なりに切り取ったり短縮したりしている部分があります。
ここに養分管理や剪定管理が入っていないのは少し驚きでしたが、なるほどなぁと思いました。こうやってみると、有機・慣行などの栽培方法の違いはさらに割合が小さい要素となるので、おいしさのためには先に他にやるべきことがたくさんある、ということなのかなと感じました。
直感では有機農業の取り組みは何でも環境によさそうと思ってしまいますが、最初から最後まで含めて総合的にどうなのか?を考えることが大事だなと思いますし、有機・慣行という大きな括りで良し悪しを考えてしまうことへの危うさを改めて感じます。
久松さんが農薬を使わない理由として紹介している一節。あぁ、良い理由だなぁとうならされました。この話を妻としたら、妻は「健康だからおいしいとは限らなくない?」と言っていました。それも確かになぁと思いました。植物が健康であるかどうかと人間の口に合うかどうかは別の話ではある。概ね「健康であればおいしい」になりそうな気はしてしまいますが。
自然栽培について感じたモヤモヤでも似たことを書きましたが、やはりそうだよなぁ、となりました。
素敵な言語化の仕方だと感じます。そして僕もこれと結構近い感覚を持っている気がすると思って読みました。僕は「あれこれと取り寄せる必要なく、手元にあるもので何かを作り上げることができる」ことに魅力を感じるのかもしれないなと感じることがあります。僕がソフトウェアエンジニアリングに興味を持ったのも似た点があったのかもしれないです(現職ソフトウェアエンジニアです)。
ちょっと言葉は強めだと感じますが、内容には僕も同意です。
久松さんを怖い人だと思っていたので、こんな一面もあったんだ、と少し安心しました。笑 この部分は読んでいてじーんときましたし、日々の作業にこんな風に向き合えるとなんて素敵なんだろう。やはり僕も農業をやってみたいな、と感じる一節でした。
妻の感想
すぐ読める本ですし、参考になることが多いと思ったので、妻に読んでもらいました。妻からもらった感想を簡単に書いてみます。
人間として見習うべき部分が多くある。
言語化能力が高く、自分の足りないところ、足りてるところをきちんと表現できていてすごい。
他の人を自分の中に飼っているという感じがある。
フラットな価値観、オープンマインドで、垣根を作らない人間関係を築くのが上手だなと感じられる。自分の考えをフラットに伝え、相手の意見もフラットに聞く、その姿勢によって得られたものが多くあるように感じる。
有機農業をできそうと思わせてくれる。背中をおしてくれる。
だいたい農業をやりたいと言うと、農家の方も行政の方も「本当にすごい厳しいけど本当にやるの?」とおっしゃることが多い印象があり、悲しい気持ちになることが多かった。「厳しいけど一緒にやろう」と言ってくれてもよくない?と感じていたので、そのように思わせてくれてうれしかった。
ただ、作るだけじゃなくて売るのも重要ということも改めて認識した。
その点についてもしっかり学ばなきゃ。
余談
久松達夫さんの著作では、先に(しかも結構前に)「農家はもっと減っていい~農業の「常識」はウソだらけ~」という本を読んでいました。
これを読んで、合理主義、ひんやりとして怖いイメージ、コンポーネント思考とかエンジニアみたいなことを言うなぁ…というイメージが強くついていました。
今回の「キレイゴトぬきの農業論」を読んで、久松さんの農業に対する個人的な感情を知ることができて新鮮でした。そして、この本を読んで久松農園の野菜を取り寄せてみたくなりました。
(術中にはまってしまった…)
また、この本を読んでみようと思ったきっかけは、小農ラジオというpodcastでのユウちゃんさんと久松さんの対談を聞いたことでした。このpodcastでこの本のことが少し紹介されていました。このpodcasetも刺激的な話がたくさんあって、出会えてよかったなと感じています。
このpodcastの中で、お二方が「土壌医検定の教科書がすごいよくできている」とすごい勢いで熱弁されていました。それを聞いた私は、コロッと影響を受けて、その日のうちに土壌医3級、2級の本を購入していました。笑
2級はまだ今の自分には早そうだと感じたので、まずは3級の内容を深く理解し、自分の骨肉とできるように勉強してみています。
このところ、本ばかり読んでいて頭でっかちになってしまっている…と感じていますが、今は冬なので仕方ないと思うことにしています。雪が解けたら、近くの地域で農業をされている方のお手伝いをさせていただけることになっているので、それまでは勉強先行で、できることをしようという思いでまた頑張ります。
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