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さよなら、さよなら、さようなら

いつもさよならを言っている。言わないと決心がつかない。言っても迷う僕は言い聞かせる、さよならと。剥がれ落ちた自分の皮にさよなら。毎秒変化していく自分にさよなら。抱きしめたいあのときにさよなら。満腹になった僕とからっぽの唐揚げ定食にさよなら。あっと言う間に消えていくお金と呼ばれる代物にさよなら。たまに思い出しちゃう大好きだった彼女にさよなら。諦めきれないあの夢のきらめきにさよなら。思春期にさよなら。走り回って一緒に遊んだ友達にさよなら。遠くに行ってしまったあの子にさよなら。

名残り惜しむ癖が強い僕はいつも剥がれたソレを抱きしめて離さない。ずっと持って一緒にいきたくなる。そうやって持っているものはどんどん増えていて、これじゃさよなら出来てない。でも手放せない。供養が必要なんだろうか、足りてないのだろうか、自分への感謝とかそういうものが。よくわからない。ぎゅうぎゅうに抱えてるからひとつひとつは潰れてぐしゃぐしゃだ。もし手離したら、離したことを後悔するのだろう。いやだな、人間って。さよならと言ったあとに意を決して別れを告げたあとに振り返らずに歩を進めたあとに、走って戻ってしまう僕はなんなんだろう。かっこ悪いったらない。せっせと拾い集める。あーあ、今日もまた戻ってしまった。さよならをしたい。今度こそ戻らない。何度目かの決意は決意と言うのだろうか。そんなことを考える。いつだって本気なんだけれど。別れの後だけにあるチャンスはまた会えるかもしれないという希望になる。そう思えば悪くないか。戻っても、いいか。

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