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光の熟した涙

光の熟した涙で前が見えない
冬の南風はやっぱりどこかあたたかい
枯れ草の音楽を抱きしめながら
辺りはうっすらみずいろの空
レモネードの陽射し肩に引っ掛けて眺めていた

さようならの合図は突然吹いてきて
一羽のカラスはまるで
あなたの空気を纏っていて
僕がタバコを吸い終わると
静かに羽ばたいて行った

僕はすぐに忘れてしまう
この世界は最初から粉々の透明な
ダイヤモンドワールドだってことを
いつだってキラキラしていて
いつだって
粉々なんだ

春になったらさ
四葉のクローバー探しに行こう
自由は吹き飛ぶ綿毛みたいに
そこらじゅう飛び散っているんだ
青い鳥は見つけて欲しくって
今頃泣いているかもしれない

連れて行ってくれるはずさ
あの日埃かぶった虹の橋を見つけたから
赤いテンガロンにはきれいなクモの巣と
忘れ去られていた優しいピアノの音が
生きているからどうしようもなく
光の熟した涙で前が見えなくとも
ぼやけた前を見るんだ
そうしたら
ひと粒
落ちて
見えるようになるからさ

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