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「妙義山の宿 sazareの設計」 #1

群馬県の西端に佇む霊峰「妙義山」

この巌谷の山の麓の緑の中で静かに佇んでいた空家

周囲は森に囲まれ、東京に住む方が長らく別荘として利用されてきました

しかし所有者も高齢になり、手放そうと想ったタイミングで私に声をかけていただきました

全国の地方都市に広がる空き家問題
端からどうこう言うよりも自分で購入してどうできるかを体験したほうが
よっぽど自分にも地域にも、良い形になるのではないかと想い
購入することに


建築は「土地と人を読む」から始まると思っています
間取り・空間・しつらえ・気配・それら意味は全て
その土地と使う人が持つ文脈とから導くべきだと思うからです

そう視点でこの場所を深く見ていくと、出てくるイメージは
「修業と癒しと祈りの土地」でした

この地は妙義山から転がってきたと思われる巨大な石岩がころがっており、
いくつかの巨石は祠などで今だに信仰されている

そして、それは土地の名前にも残っている
「妙義町諸戸石尾根」
「尾」「根」というその場に癒着する表現と「石」が合わせた地名には
古くからこの土地の景色で石が印象的であったことを象徴しているように思います

そういった自然崇拝という文脈が代々生活の一部として伝わってきているのだと
肌で感じます

地方での生活、決して簡単ではない自然との共存

でも地元の人はそれが生きる上での当たり前で
その特別感のない自然の中での暮らしが
首都圏から来る人が、自然に癒され、自己を見つめ、新たな気づきを
与えてくれる。そんな場所になると、自然に想うに至りました。


使う人の姿までが想像できれば空間をイメージするのにはそうかからず、あとは素材を選んで形にしていくだけです


ただ作るのには時間をかけました
かかってしまったというのが正しいのかもしれないですが
結果、とてもたくさんの人の手を借りて、ここを「ただ綺麗な建築」ではなく
「シンプルだけど、人の手がかかった柔らかい場所」にすることが叶ったように思います。感謝。

そんなみなさんの力を借りてできた 宿sazare
次の記事で完成した空間をご覧いただければと想います。

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