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【経済の本質】物価は上昇して当然のものである

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【はじめに】
以下の文章は、経済全体のイメージを掴みやすくするために、ひとつのグラフを用いた簡略的な説明に終始しています。正確さに欠ける部分のあることを予めご了承ください。

このグラフを用いて話を進めていく。

財務省・日本銀行・内閣府などのホームページから簡単に手に入るデータである。

このグラフが、戦後から現在に至る私たちの経済状況を具に (つぶさに) 表している。

細かく見ていこう。


[1]マネーストックとは

赤い線は「マネーストック」といい、簡単にいうと「日本で発行されているお金(円)」のことである。

すなわち、1970年には50兆円のお金が日本で発行されていたということだ。

それが、2020年には1,000兆円にまで増えている。

50年間でお金の量が20倍になったということだ。

まず何よりも、私たちはこの事実を知る必要がある。

私たちが命よりも大切にしているお金は、「現在進行形で」増え続けているのだ


単純計算でいうと、2020年は1970年と比べて、すべての額面が20倍になる。

所得(給料)は20倍でなければならない。

日本国内に出回るお金の量が20倍になるのだから、私たちに回ってくるお金(=所得)も20倍になる。

これはいかにも凄いことのように聞こえるが、その分、物価も20倍になる

お金の量が単純に増えるだけでは、私たちの生活に何ら影響を与えないのが通常である。

皆の手持ちのお金が20倍になれば、商品の売り手が値段を20倍に設定するのは当然である。

お金というのは「単なる数字」であり、大切なのは私たちが汗水垂らして生み出す「もの・商品・サービス」なのである。


[2]物価高は当然の帰結

昨今「物価高」が叫ばれているが、このグラフを見る限り、物価は上昇して当然である。

1970年と2020年とを比較すると、通貨発行量が20倍になったのだから、物価も20倍になるのが当然だ。

それでよいのだ。

なのに、何かがおかしい。

ここ最近の私たちの生活は厳しくなる一方だ。

どこに原因があるのか。

グラフを見てもらいたい。

[3]GDPとは

青の線である。

「名目GDP」(国内総生産) というのは、ざっくり言うと「日本で私たちが実際に使うお金の総額」のことである。

1970年は、1年間で50兆円のお金を使ったということだ。

1万円の買い物をすると、1万円がGDPとしてカウントされる。

2020年には1年間で約500兆円のお金を使ったということだ。

ここで、オレンジ色の部分を見てほしい。

赤と青の線が平行に上昇している。

これは何を意味するか。

赤(お金の発行量)が増えるとともに、青(日本で使われるお金の量)が増えている。

これは当然のことだ。

日本国内のお金の量が増えたのだから、私たちに回ってきて使うお金が増えるのは当然だ。

池田勇人内閣は、1961年から1971年の10年間での所得倍増を約束し、高度経済成長を導いたとされるが、このグラフを見る限り、至極当然のことを宣言したに過ぎないことが分かる。

例えば、このグラフでは、1980年に200兆円だった名目GDPが、1990年には400兆円になっているから、この10年間を見るだけでも、所得は「倍増」している。

先にも述べたように、たとえ所得が倍増しても、物価が倍増してしまえば、私たちは何も豊かにならないのであって、残念ながら私たちは、「所得倍増計画」という華々しいお題目にまんまと騙されてしまったということになる。

※ ただし、実体経済としての高度成長は紛れもない事実であって、勤勉な日本人が汗水垂らして働いた賜物であることは間違いない。

倍増した所得はあくまで「数字」に過ぎないが、私たちの日常的な暮らしの「物質的な」レベルが飛躍的に向上したのは、間違いなく私たち日本人の努力の成果であることを忘れてはならない。

◆三種の神器 (1950年代後半から)
 白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫

◆新三種の神器 (1960年代半ばから)
 カラーテレビ・クーラー・自動車 (3C)


[4]日本経済の決定的問題点

おかしいのはここからである。

水色の部分を見てもらいたい。

オレンジ部分で一緒に上昇していた赤と青のラインが、水色部分から分離を始めている。

これが大問題なのである。

オレンジ部分では、お金の量が増えるにつれて、私たちに回ってくるお金も比例して増えているから、何も問題はない。

しかしながら、水色部分では、日本国内で発行されるお金がどんどん増えているのにもかかわらず、私たちに新たに回ってくるお金が増えていないことが読み取れる。

バブルが崩壊した1990年以降、私たち日本人には新たなお金が回ってきていない。

「失われた30年」というのはこの水色部分のことを指すのである。

日本人の賃金がここ30年上昇していないことの証左にもなる。

日本だけが下がっている…
異常中の異常…


[5]海外の経済事情を知る

お金の本質的な話でいうと、本来的に、私たちの間で回すお金はあえて増やす必要はなく、水色部分で私たちのGDPが増えずとも何ら問題はないのであるが、赤のマネーストックが上昇を続ける中でのGDP停滞には大きな問題がある。

なぜなら、世界中のほとんどの国において、マネーストックが上昇する仕組みが採用されているからだ。

すなわち、世界中の通貨発行量が常に上昇し続けているので、それに伴い、世界中の賃金と物価も上昇していくのが当然の流れであるのだ。

そんな中で、日本だけ、国内で回るお金の量が停滞し、物価も給料も上がらないデフレ状態が続いていた。

これは異常中の異常である。

私たちはこの異常性にまず気付かなければならない。


単純計算でいうと、
1990年の通貨発行量    500兆円
2020年の通貨発行量 1,000兆円

この30年間で500兆円のお金が増えたのにもかかわらず、私たちにその分のお金が回ってきていない。

どこに消えたのか。

簡単である。

外国に流れたのだ。

いろんな表現をすることができるが、「外国人投資家」「外資」「国際金融資本」などの、ありとあらゆる勢力にしてやられて、本来日本人に回るべき500兆円が、外国に掠め(かすめ)取られている。

このグラフは、戦後日本の経済状況を一目瞭然で表す恐ろしいものなのだ。

[6]未来を予測する

数学を学んで養うべき能力のひとつとして「予測能力」が挙げられる。

天気予報から株式チャート予測に至るまで、多種多様なものに数学が使われているが、今回のこのグラフを見るだけで、私たちは「その先」を簡単に予測することができる。


これが数学を学ぶ意義である。

何も高度で複雑な数式を学ぶだけが数学ではない。

こういう単純な感覚を身につけることこそが大切なのだ。


ここまでくると、誰でも「経済アナリスト」になれる。

今後、この青のライン「名目GDP」は、現状維持もできずに下がっていくことが予想される。

「増税」を例にとると分かりやすい。

防衛費倍増・コロナ特例国債償還などにより、私たちの大切なお金は、税金という形で、今後ますます吸い取られていく。


すなわち、私たちが日本国内で使うことのできるお金が減っていくということである。

そして、そのお金は外国に流れていく。

中国人の盛況ぶりを見るとよく分かる。

日本から流れ出たお金で、日本の土地・ホテル・水源・ありとあらゆるものが中国人に買われている。

突き詰めれば、私たち日本人全員の労働・サービス・時間・人生・ありとあらゆるものが、私たちのお金で中国に買われてしまっているということだ。

【補足】
「お金=時間」という感覚をお持ちだろうか。

「時給」で考えると分かりやすい。

「時給1,000円」とした場合、私たちは「1時間」という自分の持ち時間を売って、「1,000円」を手にしていることになる。

「拘束時間」などとも言われるが、私たちは自分の「自由な時間」を労働に捧げることにより、その対価として「お金」を受け取っているのである。

とすれば、見ず知らずの誰かに勝手に「私たちの1,000円」を奪われるということは、見ず知らずの誰かに勝手に「私たちの1時間」を奪われることと同値なのである。

ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる児童文学作品『モモ』(Momo)(1973年刊)にも「時間泥棒」として詳しく描かれている。

「お金を奪う」ということは、私たちの「時間・人生そのものを奪う」ことと同値である。

私たちのお金を勝手に奪おうとする勢力に対して、私たちは敢然と立ち向かわなければならない。

なお、この見ず知らずの勢力が中国だけに限らないということは付記しておく。


[7]日本政府の異常性

本来であれば、税金として集めた私たちのお金は、様々な形で日本国内の私たちに再度戻さなければならない。

それが政治本来の役割である。

それがきちんと実行されるのであれば問題ないのであるが、残念ながら、一度海外に流失したお金が正常に私たちのもとに戻ってくることはない。

微々たる「給付金」などで喜んでいてはいけない。

総額でみれば、圧倒的に多額のお金が私たちから吸い取られているのである。


5兆円あれば、日本の保育園・幼稚園・
小学校・中学校・高校・大学・大学院
のすべてを無償にできる


私たちは、その恐ろしさに早く気付かなければならない。

お金というものは、私たちの生活に切っても切れない存在である。

本来、私たちの生活を豊かにするための道具であるはずのお金が、何らかの勢力に悪用され、私たちを苦しめる元凶となってしまっている。

このお金を、私たち日本人の手に取り戻さなければならない。

その方法はある (後述)。

まずは、私たちのより多くが、この事実に気付き、その輪を広げていかなければならない。

時間の猶予はない。

一刻も早く私たち一人ひとりが周知活動を始める必要がある。


[8]そもそも右肩上がりがおかしい

最後に「そもそも論」を述べる。

そもそも、この赤の線が上昇し続けることがおかしいのである。

発行されるお金の量が毎年毎年どんどん増え続けるから、物価も給料も比例してどんどん上がらなければいけないことになる。

国内で生産される物やサービスの量はさほど変わらないのに、お金の量だけが増えても何の意味もない。

この「お金が自動的に増えるシステム」を採用しているがゆえに、私たちは、物価上昇・インフレ・デフレといった、不安定な経済の渦に巻き込まれてしまうことになる。


こういう愚かな仕組みを止めようとすると、歴史的に必ず何者かによる妨害がなされてきた。

ケネディ暗殺
カダフィ暗殺

これらの事件にどこまで信憑性があるのか定かではないが、通貨発行量がどんどん増え続ける「中央銀行システム」に手を付けようとすると必ず潰される、という恐怖で私たちは支配されてしまっている。

(これら一連の出来事が、中央銀行システムを維持したい勢力による「自作自演」「マッチポンプ」である可能性は否定できない。むしろその可能性の方が高いのではないかと見ておくべきである。)


[9]国債発行が諸悪の根源

この通貨発行量が無限に上昇していく「中央銀行システム」は、明治時代に導入された。

その中心人物は、2024年から新1万円札の肖像となる渋沢栄一である。

「日本銀行券」と書かれている


「中央銀行システム」について簡単に説明しておくと、現在の日本では、政府が国債を発行し、政府が日本銀行(=中央銀行)からお金を「借りる」という形で、私たちのお金は発行されている。

(正確には民間銀行が発行するのであるが、説明を簡略化するため、ここでは便宜上、日本銀行と民間銀行を同一視する。)

国債には利子がつくので、例えば5年後に返却するときに、もともとの元本に利子を加えて日本銀行に返す必要がある。

その利子分のお金を調達するために、政府はまた新たに国債を発行して、その利子分のお金を日本銀行から借りるのである。

その借りたお金にはまた利子がつくので、将来また国債発行により利子分のお金をプラスして調達する必要がある…。

いわゆる「自転車操業」である。

こんなことを繰り返すから、通貨発行量は無限に増え続け、私たちは混乱の渦に巻き込まれるのである。


2023年現在、その国債の利払いだけで年間9兆円にのぼり、それが私たちの税金から返済されている。

この9兆円のうち、海外にいくら流れるのか。

●国債保有割合 (2023年3月)
1️⃣ 日本銀行 53%
2️⃣ 保険・年金 22%
3️⃣ 民間銀行 9%
4️⃣ 海外投資家 7%

日本の大企業の株主の30%が外国資本であると言われていることを考慮すると、国債利払い9兆円のうち、少なくとも毎年1〜2兆円が海外に流失していることになる。

「1〜2兆円」というのはとてつもない金額である。

例えば「4,386億円」あれば、日本全国すべての小中学校の給食を無償にできる。

2022年衆院予算委員会より

「国債による通貨発行」という中央銀行システムを採用している限り、この「1〜2兆円」は毎年永遠に増え続けていく。


【数値を用いた具体例】
日本国内にお金が全くないと仮定する。

日本政府が100万円のお金を発行する場合、まず「100万円・5年もの・利子10%」の国債を発行する。

その国債と引き換えに、日本銀行は100万円を印刷して日本政府に貸し出す。

日本政府はその100万円を日本国内に流す。

5年後、日本政府はその100万円を日本銀行に返さなければならない。

日本国内に流通している100万円を(税金という形で)取り戻して、その100万円に利子10万円をつけて、合計110万円を日本銀行に返却する。

しかし、その新たな10万円は国内に存在しないから、別の国債を発行して、その10万円を日本銀行に発行してもらう。

発行してもらった10万円は、元本の100万円にプラスしてその場で日本銀行に返却する。

その10万円を発行した際の国債を「10万円・5年もの・利子10%」とした場合、また5年後に利子1万円をプラスして11万円として日本銀行に返却する必要がある。

その11万円は国内に存在しないから、新たに11万円分の国債を発行して日本銀行にお金を印刷してもらって、その場で返す。

なお、元々の100万円を国内から取り戻して日本銀行に返却した場合、国内にはお金がなくなってしまうから、別立てでまた100万円を調達しなければならない。

その時も「100万円・5年もの・利子10%」の国債を発行して、日本銀行から100万円を「借りる」のである…。


この愚かさをお分かりいただけるであろうか。

◆ 日本銀行からお金を借りること
◆ 国債に利子をつけること
これらが諸悪の根源である。

日本政府が自分の国の通貨を発行するときに、わざわざ国債を発行して日本銀行から「借りて」、何年か後に利子をつけて増やして返さないといけない、などという馬鹿げたシステムを採っていることが諸悪の根源である。

ちなみに、日本銀行は日本政府から独立した株式会社であり、東京証券取引所に上場されている。株式の55%は日本政府が保有するが、残りの45%の株主は非公開である。

私たちは、そんな得体の知れない会社に、お金の発行を任せているのだ。

このシステムを明治期の日本に取り入れたのが渋沢栄一である。その渋沢栄一が今度の新1万円札の肖像になる。その意味を各自お考えいただきたい。


これをやめさせようとすると、何らかの勢力から強烈な妨害を受ける。

世界中のほとんどの国々が、ゴリ押しの形でこの「中央銀行システム」を強制されているのが現実だ。

どういった勢力がそんなゴリ押しをしているのか。

政治経済用語で言うと、先に述べた「外資」「国際金融資本」といったところである。

私たちは、そういった勢力にいいように支配されコントロールされてしまっている。

スーパーでの買い物に毎日苦労している主婦にまで、その魔の手は及んでいるのだ。

【正しい通貨発行とは】
本来は「日本銀行」などという無駄な中央銀行を介することなく、日本政府が「日本国」として独自に通貨発行すればよい。

それは既に実施されていて、いわゆる「硬貨」がそうである。

硬貨は日本国が自由に発行することができ、国債による利子も発生しない。

したがって、日本政府は今後硬貨だけを作ればよいということになる。

ただ、そんなトリッキーなことをしなくても、「政府発行通貨」として「日本国」の新1万円札を発行することで、全ての問題は解決する。

もちろん妨害の入ることは言うまでもないが。

解決策は簡単なのだ。


[最終章] まず気付くこと

私たちは、このような事実をまず知る必要がある。

事実はシンプルだ。

本来誰にでもわかるような簡単な話が、先に述べた勢力によって複雑にされ、見えにくくされてしまっている。

シンプルな話であるので、ぜひ皆で学びを共有し、広めていきたい。

自分の目先のお金だけに囚われていては、向こう側の思う壺だ。

自分の目先のお金にこだわり続けても、全体のパイが減ってしまっては元も子もない。


まずは、1,000兆円ある日本のお金を私たちの元に取り戻さなければならない。

内閣が大盤振る舞いで諸外国に何10兆円も支援して回っているのはそういうことだ。

日本の代表たる首相が、日本国内のお金をせっせと外国に流出させているのだ。

「外国資本→経団連→政党→内閣」という支配構造がなせるわざである。

2006年「政治資金規正法」改正により、外資から日本人政治家への献金が合法化されている。日本は外国からの賄賂が公然と認められているのだ。経団連の「政党評価表」に記されたノルマを法案化すれば政治家は献金が貰えるのである。


このグラフを見るだけで、現在の政治状況のいろんな側面が見えてくる。

日本の大企業のほとんどが法人税を支払わずに、内部留保として500兆円溜め込んでいるという話のカラクリも、容易に理解できる。

日本の大企業の大口株主は「外資」である。


2023年現在、このグラフの「1,000兆円」は「1,200兆円」にまで増えてしまっている。

2023年7月における日本のマネーストック(M2)は「1238.2兆円」である。

日本銀行による速報値


赤と青の乖離はますます進む。

待ったなしである。

このグラフは誰にでも分かりやすいし、説得力もあるので、ぜひ有効活用していきたい。

私たちの現在・未来にとって、非常に重要な問題である。

目を背けずに立ち向かっていきたい。(了)

「人々は自分たちの本当の力を知らない」

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