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事業計画を活かす!意外に知らないPDCAの進め方

こんにちは!
株式会社プロフィナンスの木村 義弘です!

20年弱の経験とノウハウをまとめた「魂の事業計画講座」(全体像見出しはこちら)の連載を開始しました。結果として2週間に1回くらいのペースでの公開となっていますね。お付き合い有難うございます。

さて、前回記事では「そもそも事業計画って何よ?」という根っこの問いに対して、2回に分けて記事をお送りしました。
今回は、「事業計画の活かし方」について触れたいと思います。



本記事でわかること

恒例ですが、まず本記事を通じて読者の方が何を得られるのかご提示したいと思います。

1. PDCAが機能不全を起こすのはどのような場合か
2. PDCAを回すため、どのような認識を持つべきか
3. Cを行う場合の4つのパターンはなにか
4. Cの4パターンに対して、Aでどのように問いを立てるか


事業計画を活かすことの難しさ

多くの事業計画が「作って満足」となっているのが実際のところです。
その気持ちはとてもわかります。
そもそも「事業計画を作るだけでも相当大変!」なのですから。
作って満足というか、作ったあとに「これで終わり!」としたいところです。

しかし、そうまでして苦労して取り組んだ計画なので、やっぱり徹底的に活用したい!
作成した計画を活用する、それは計画という仮説を検証すること(業務的には「予実管理」と呼ばれる)による計画精度の向上です。
ここで言う検証も含めて、「PDCAサイクル」と言いますが、皆様もビジネスの中で聞いたことがあるはずです。

PDCAサイクルといえば、日本を代表するトヨタ自動車の経営を担っていた奥田氏がこのように語っていらっしゃいます。

私は、どこの会社でも経営できます。
それは私がPDCAを廻せるからです。
奥田碩 トヨタ自動車元会長

PDCAなんて、今更…と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、はっきり言ってPDCAをちゃんと廻せている会社ってあるんでしょうか、と思うほどできている会社は少ないと受け止めています。

このPDCAがちゃんと廻せていない機能不全には3つのパターンがあると考えています。

しかし、PDCAの本ですらなかなか語られていないのが不思議です。

PDCAの機能不全①:二次元PDCA

PDCAサイクルがうまく回っているかどうかを判定するシンプルな質問があります。
「予実管理って何のためにやってるの?」

これで明確かつ即座に次の答えが返ってこない場合は、ほぼ100%、PDCAがちゃんと"廻せていません"。

その答えとは
「次、よい計画を作るためです」
これ以外はありえません。

なんとはなく、目の前の業務として「予実管理はやるべきもの」と思って、推進してしまっている場合があります。
そういう場合、予実管理の目的を聞かれると、「いや、そんなん言われてもやるもんでしょ…」と頭に浮かんでしまいます。

PDCAには各プロセスでそれぞれ明確な目的があります。

究極の目的は、「よいDOを行うこと」です。
掲げた目標に向けて、DO(実行)によってのみその目標達成が行われるのですから。そしてそのDOをよりよくしていくこと、つまり目標達成に向けて、最もインパクト高く、最短ルートとなるよう道標を示す行為こそが、PLAN(計画)です。では、CとAは?便宜上CAをひとまとめにしますが、CAの目的は「次またよりよい計画にするため」です。PLANでおいた仮説に対して、DOを行い、そのDOの結果に基づいて検証を行います。そこで検証できたことを踏まえて、次よりよいPLANを立て、DOに活かします

言われてみれば当たり前かもしれませんが、当たり前のことすぎて気づいていないかもしれません。しかし、気づいていなければ、実はPDCAを廻しているようで、廻せていない状態になります。
日本企業にありがちですが、「真面目に」「目の前の業務」を行うことに執心してしまい、上記の本質を忘れてしまいます。
結果として、PLAN、DO、CHECK、ACTIONを個別の業務として最適化され、「繋げられていない(ただ順番に行っているだけ)」=「次のプロセスのINPUTになっていない」=「PDCAを廻せていない」状態になるのです。


目の前のことを頑張るだけではPDCAは回せない

いわば、形だけのPDCAであり、このようなPDCAは平面的な横スライドでしかありません。

つまり、「成長がない」のです。

一方で、本当にPDCAを廻せていたとしたらどうでしょうか?
PDCAを廻す毎に、「よりよいPLAN」となり、その結果DOも改善されます。さらにCHECK-ACTIONによって磨かれ、次のサイクルでさらによいPLANとなります。
PDCAを廻すということはかならず、各プロセスが常に次のプロセスに対する良質なインプットにならなければなりません。

PDCAを廻せば廻すほど成長する、高みに登る。本質的にPDCAは立体的なはずなのです。


実際に、PDCAサイクルの発案者とされているデミング博士も、「PDCAサイクルが適切に廻っている場合は、円環状・らせん状になる」と語っておられます。デミング博士がこういったのは恐らく60年以上前ですが、この精神を理解せず、わかった気になっている方がどんなに多いことか。

PDCAの機能不全②:それPLANちがう

もう一つ。PDCAを回そうとしているとき、そもそもPLANに何をおいているか聞くとだいたいわかります。

PLANがほぼKGI、つまり目標となっていることです。

例えばPLANとして、「売上高●円!」としていたり、「顧客数●社!」としている場合です。



それは計画ではありません。目標です。

計画とは、取り組みを示唆するものです。売上高や獲得顧客の数などは、その取組の結果となる「目標」です。

PLANとして目標をおいてしまうと検証のしようがありません。目標をPLANとしておいてしまうと「うまくいった/いかなかった」示唆がないわけです。
PLANとはあくまで、その目標に向かって何をどれだけするのか?
つまり、到達点である目標へ至る過程・座標を決めることです。


PLANの設定ミスは全てを台無しにします。

したがって、PLANには大きく2つのステップが存在します。

1st Step:目標(KGI)を決める
2nd Step:目標達成のためのKPIを定める

なので、KGIとKPIをセットで考えていきましょう。

PDCAの機能不全③:C-Aでのパターン不認識

PDCAを進める上で、その接続点として予実管理は重要となります。
ここまでCheck-Actionをひとまとめにしましたが、シンプルな理解をここで整理しておきましょう。

  • CHECK:PLANとDOの結果の差分の認識

  • ACTION:CHECKの結果、差分があったものへの原因分析と対策検討

人によっては異なりますが、シンプルに上記のように理解していただければ十分です。

結果、CHECK-ACTIONの過程は、実務としては「予実管理」としてまとめられます。

しかし、予実管理をまともにできている企業がどれだけできているでしょうか?
Excel管理をちゃんとやっている?うちはツール入れているから大丈夫?

そんなことは一切関係ありません。

まず「Check-Actionを行う上で想定できる4つのパターンを認識することがスタート」です。聞けば、「なんだ、そんなことか」と思うと思います。ただ、なんとなくやっている場合と、意識してやる場合で天と地の差になるのは他のことでご経験があるのではないでしょうか。

これだけで変わる!CAを回すパターンと問い

まず4パターンについて見ていきましょう。

CHECKの4パターン

といってもそんなに難しいことではありません。
まずCHECKのときに、KGIとKPIのセットでそれぞれ「達成か未達か」の4つの組み合わせで整理します。

CHECKのときの視点は4パターン

「そりゃそうだ」って感じでしょう?
もったいぶっている割に…けど当たり前のことを誰も気づかせてくれないのではないでしょうか?

ACTIONを考える各パターンへの問い

CHECKで4パターンに整理できたら、ACTIONではそれぞれのパターンで問いを立ててください。

4パターンへのそれぞれの問い(例)

KGIが未達の場合、どうしてもその事実で頭いっぱいになって、「なんで目標達成できてないんだ!」とそちらの方に意識が行きがちですが、一旦落ち着いて頂き、
・そもそも、KPIが適切だったのか?
を問い直してください。
そしてKPIが達成できていない場合も、
・そもそも、KPIの計画値として適切だったのか?
を問い直してください。

KPIを達成できてないならば、そもそもリソースが足りてないのかもしれません。
「頑張りが足りない」という言葉が喉まで出かけるかもしれませんが、組織を運営するにあたって、「頑張り」を前提とすることは、(特定の時期を除いて)必ずしも適切ではないでしょう

KPIの設定、KGIの設定は管理者の責任であることが多いでしょう。
特に、売上高に直接インパクトを与えるような販売拡大に資するKPIを設定する場合は、管理職が状況を吟味・精査してKGI・KPIの見直しをしていくものと考えます。
もちろん一時的に現場メンバーの頑張りに頼るときもあるかもしれませんが、そのときはその頑張りを含めて、冷静に捉え直す必要があります。
なので、KGIもKPIも達成できたら、次は「(頑張らずに)再現性を保てるか」を問う必要があります。

そうです。我々は問い続けなければなりません

こういった問いに基づいて、次のアクションを考えます。必要に応じてKPIの見直しを行う(=PLANの見直し)も必要でしょう。
*安易にKGIの見直しをするのではなく、どちらかというと取り組みを変えて、それに伴うKPIを設定するほうがよいでしょう。そのためにも収益構造をきちんと整理・分解することによって「これがダメならここで挽回」という準備をしていく必要があります。常にKPI予備軍を設けておくイメージでしょうか。

このような取り組み、問いを継続することによって結果としてPLANが磨かれ、DO:実行が改善されていきます。
これがPDCAを一巡させるためのCAの進め方となります。

え?具体的にどうするのかって?

しっかりPDCAを回すためにはきちんと収益をあげるための構造を分解できている必要があります。こちらを御覧ください!


事業計画を徹底的に活かすために

さて、本当はもうちょっと具体まで踏み込んだほうがいいかもしれませんが、さすがに個社の状況でパターンが無数になりそうです。
まずはPDCAを回してく、事業計画を活用していく視点をご理解いただければ、本記事の目標は達成したのではないかと思います。



今回は「いい計画を作っても活かせないと意味ないよね!」ということで、事業計画の活用方法としてPDCAについて一歩踏み込んでみました。

事業成長をさせていくには、よいPLANを作るだけでもダメで、よいDO(実行)、そしてよい振り返り(CHECK-ACTION)を行う。そして、また次によりよいPLANを作ることでPDCAをらせん状にまわしていくことこそが必要なのです!


我々が開発している動的経営シミュレーターであるVividir(ビビディア)では、KPIベースでの事業計画をスムーズに作成できるだけでなく、予実管理も行えるので今回触れたようなPDCAを一貫して推進することができる優れものです!!

本記事で触れたように、事業解像度を高めながら事業計画をつくって、PDCAを回したい!という方は是非デモにお申し込み下さい!

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では、次の連載記事まで、ごきげんよう!

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