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Netflix「エイジ・オブ・サムライ」の日本女性に対する差別的描写について

2020年2月24日に公開されたネットフリックス「エイジ・オブ・サムライ」では、冒頭15分ほど、切腹シーンや織田信長が兄弟の首を切るシーンなど残酷な描写が続く中で、信長とほぼ全裸の濃姫との騎乗位ベッドシーンが登場する(第一話8分50秒から9分30秒あたり)。
これは、日本の女性、歴史と文化の適切な紹介方法ではなく、むしろ差別的であり、侮辱である。

刀・切腹などの流血とセックスが過剰に強調されており、その他の面でもきちんと時代考証を踏まえているのか気になる部分が非常に多い。この部分だけを見れば「血・暴力・セックスの戦国時代」という印象になってしまう。ドラマの流れからしてもこのベッドシーンは不要で、歴史のドキュメンタリーの描写として不適切と言わざるを得ない。
気になる部分は多いが、ここでは主に濃姫のベッドシーンについて問題提起したい。それ以外についても、日本中世史の専門家の方々からみても問題があるようであれば、ぜひ今後、適切な指摘がなされることを願っている。

濃姫は大名・斎藤道三の娘で、大名である織田信長の妻だ。皇室や高位の貴族ではないものの、一定の地位にあった女性であり、売春婦ではない。更に言えば、歴史的に分かっている事も少ない。
その濃姫を冒頭10分あたりの、まるでポルノのようなセックスシーンでのみ登場させるのは不適切だ。あまりにきつくて、私は開始15分あたりでギブアップしてその後をコマ送りでしか確認できていないが、濃姫はどうやらこのシーンでしか登場していない。男性を含む何人かの友人からも、あれは見ていられなかった、不適切だと思う、という声を聞いている。
そもそもベッドシーンではなくて、着衣のシーン、例えば婚礼や日常的なシーンで十分だったはず。いや、絵一枚でもいい。
それをあえてセックスシーンにしたのは、エンタメとして利用する意図がある。着物の日本人女性の騎乗位で視聴率を稼ぐためだ。そのことに、とても強い嫌悪感を覚える。こんな風にコンテンツ消費されてしまった良いのだろうか?

振り返ってみると、かつてアメリカのドラマ「将軍」以降、日本人女性を妻にしたいアメリカ人が増えたという。今回と同じくネットフリックスでも公開された「全裸監督」(2019)も不名誉な作品で、「最近の日本の面白い作品」として話題に出される度に困ってしまう。
私自身、海外に出て、アジア人女性を対象にした性的に不快な言動を投げられたことは一度や二度ではない。「女体盛りは日本の文化なんでしょ?」などと言われたこともある。
こうした描写を許していると、日本人女性は性的に寛容で、やらせてくれるという誤ったイメージが更に世界に拡散する。そしてあなたが世界の街角で面倒な男性の声掛け(というかナンパ)に、ストリートハラスメントに晒されることにつながる。
全世界で2億人に視聴されているネットフリックスが、これをやっちゃいけない。

私自身がどのように反応し、感じたかについても触れておくと、最初、何が起こっているかよく分からなかった。日本の大河ドラマ等でみられる描写との違いがあまりに大きいのもその理由の一つだと思う。そして過激な流血シーンと共に強い嫌悪感が残り、珍しくナイトキャップに少しアルコールを摂ってから寝床に着いた。
もうすでにそういう批判が出ているかと思ったら、私が検索した限りでまだそうした批判が見当たらなかったので、誰かが書かなければと思って書いた。こうして書くのも話すのもエネルギーが要ることだけれど、やらなければもっと不幸になる。

日本の誇りを、というなら、こうした描写こそ許してはいけない。
着物も日本人女性も、セックスシンボルではないのだから。

コロナ以降、アジア人への差別が各地で相次いでいる。少しおさまったかに見えたけれど、今またアメリカで拡大している。

ネットフリックスは謝罪して、「エイジ・オブ・サムライ」第一話の公開を停止するべきだ。(ストレスが強すぎて続きを観ることができないが、ひょっとすると第二話以降についても。)
ここまで読んで下さったみなさまへ。
ぜひネットフリックスに一言で良いので、苦情を伝えてくれたらうれしいです。
https://help.netflix.com/ja

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