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日記まとめ

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今までにあげた日記です。ファンタジー要素強め。
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2020年6月の記事一覧

クルマの日記

 僕はクルマで会社まで通勤している。クルマは便利である。歩かなくてよい。

 就業後、会社の先輩に話しかけられる。今日、うちまで送ってってくれない? たしかに雨だし、徒歩はイヤなのだろう。いいですよ!と気軽に答えた。

 へー、渋いクルマだね。
先輩にそう言われた僕のクルマは黒くて四角くて外国製である。メーカーなどはわからないし興味がない。目がチカチカしない色味で乗り心地がよければ充分である。

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ジムの日記

 今日は休暇をとったから、運動不足の体を動かそうと久しぶりにジムに行ったら閉まってた。
臨時休業なのかな? 看板も剥がされてたし、内装もめちゃくちゃに荒らされていたから、改装工事をしているのかもしれない。

 しかたないから家の周りでもランニングしようと思いながらの帰り道、ふと、見慣れない建物が目にはいる。"AMA-ZONE"。看板にはそう書かれている。ちらりとガラス張りのショースペースに目をやる

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ねむいねむいの日記

今日は疲れた。眠たい。

ふらふらの状態でなんとか家までたどり着いた。
ごはんもおふろもいらん。ねる!
ふにゃふにゃ独り言を言いながら自宅の階段を上がっていくと、座りこんで泣きじゃくる女の子がいた。

眠すぎて頭が働かず、夜中に女の子が泣きじゃくっているのを妙だとも思わず、ふにゃふにゃと話しかける。

ふにゃふにゃ

わたし、お母さんを探してるの

ふにゃ

でも、いつまで経っても見つからなくて…

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バーコードの日記

以前、バーコードについて調べたことがある。
ご存知の通り、黒い任意の縱線の組み合わせにより暗号化した情報を、横に広いレーザー光を出す読取り機器によってデータを抽出してレジスターなり産業機械なりに入力して便利に使っちゃおうというアレである。
黒い縱線のあのシールがキモであり、汚れなどの障害物がレーザーの読取りを妨げるとエラーが起きる。逆にいえば、マジックで軽く線を書き入れるだけで簡単に無効化できるの

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アウトローの日記

早朝、人気のない路地を歩いていたら、向こう側から大柄な男が歩いてきた。
俺は立ち止まり、品定めをする。
鍛えられた体、鋭い眼光、不敵な笑み。
決まりだ。こいつは俺と同類だ。

俺は不動立ちで相手を制す。
ようやく、相手もこちらを察したらしい。
鈍間な野郎だ。しかし、油断は禁物だ。
サンチンに構えて攻撃に備える。

バトルスタートだ。
頭の中でゴングが鳴り響く。

後の先を狙って相手の攻撃を待つ俺。

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会社の日記

やれやれ、今日は遅くまで残業だったなぁ。

お先に失礼します、と上司の烏天狗に声をかけると、おう!気を付けてな!と威勢のいい返事が返ってきた。ぶっきらぼうだが、心根の優しい良い上司だと思う。
河童先輩がちらちら見てくる。奇妙なふるまいが不気味だけどわるい河童ではない。尻子玉を何度か狙われたことがあるが、それは河童の生理現象のようなものだから仕方ない。

執務室を出てロビーまで降りると、ひょうすべさ

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セミの日記

 夕方にインターホンが鳴る。玄関に出ると、ネットで購入した商品の配達だった。いつも宅配してくれる運送屋のお兄さんがいるのだが、なぜだか今日は背の低くて声の甲高いおじさんだった。配達品を受け取ってサインをすると、配達員は覇気のない声で、ありがとうございました、と頭を下げて去っていった。扉を閉める間際、トゥクトゥクトゥク!、と奇妙な鳴き声のようなものが聞こえたのが気になった。マスクで顔が隠れていてよく

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10円の日記

 お賽銭箱を開けて勘定する。
賽銭ドロボーではない。自治体の当番なのだ。
ビニールシートの上にぶちまけると大量の十円玉に混じって千円札や五百円玉がちらほらみえる。
7、8人の当番が集まり、硬貨を種類ごとに10枚の山を作っていく。
僕は10円玉の山をつくっていった。

3つ、4つと山をつくっていく内に違和感に気づく。

なんだろう……。なんだか……。
あ!ギザギザがない!

10円玉の側面に刻まれて

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目の日記

 僕は普段コンタクトレンズをはめている。それで、いつも思うんだけど、コンタクトレンズを装着するってものすごいリスクがある。
コンタクトをつけるときは、まだいい。問題は外すときだ。そーっとそーっと外さないと非常に危険である。
今日も、夜、自分のデスクでコンタクトを外さねばならない。息をフーっと吐きだして、精神を統一する。

いざ!

人差し指と親指を使い、コンタクトをつまんで眼球から剥がす。
コンタ

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雨の日記

 今日は遅くまで仕事をした。帰り際、同僚の河童がうきうきしていたので何事かと訊ねると、どうやら、雨が降っているらしい。
 駐車場までいくと、結構な深さの水溜まりができている。しかも都合のわるいことに僕のクルマはこの水溜まりを避けては通れない位置に停めてある。ビショビショになる覚悟を決めて水溜まりに足を踏み入れると、思ったより深い。深いというか、これほ本当に水溜まりだろうか。肩まで浸かってしまった。

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いたいいたいの日記

 昨日からずっと腹がへっている。あまりに腹が減っているので目眩がするし、目がちかちかして視界がわるい。お腹がへると目がおかしくなる。
 あんまり腹が減ったので、たまたま目の前にあった民家にはいる。幸い、ドアに鍵はかかっていなかった。玄関で靴を脱ぐと、靴箱の上にチーズケーキがホールごと置いてあるのが目にはいったのでムシャムシャ食べながら家の中を散策した。リビングにはダチョウの卵で作られた大きなたくさ

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ホ二ャララの日記

 僕には誰にも言えない秘密がある。

 それはいつも深夜に行う。2Lのコーラを冷蔵庫から取り出し、氷を入れたジョッキになみなみと注ぐ。氷がグラスにぶつかる音。シュワシュワと炭酸が弾ける音。

 今日もこの時間がきてしまった。

 ジョッキを鼻先まで持ち上げる。コーラの爽やかな匂いと細かな飛沫で少しむせるようだ。
冷たいジョッキに口をつけ、少しずつ傾けていく。キンキンに冷えたコーラが勢いよく流し込ま

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僕だけの日記

 当初の目論見は崩れ、結局、自分で日記をつけることになってしまったが不思議と悪い気はしない。
むしろ、清々しい気分だ。
鳥は唄い、花は咲き、風はそよいで、僕は日記を書き、岡本太郎は爆発する。自然なことである。

 これからはコンプライアンス遵守を念頭に日記をつけていく所存だ。正直、これは難しくはない。
元来、僕は真面目過ぎるほど真面目なので。
人生でやった最大の悪事は1日にアイスを2個食べたことだ

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僕らの日記

 リビングでヒンズースクワットをしていたら、妻からちょっといい?、と言われたのでダイニングに移動する。妻はなにか思い詰めた表情でテーブルについている。テーブルにはウイスキーグラスが2つ置かれている。僕はひとまずヒンズースクワットを再開するべく適当なスペースを探す。リビングよりは手狭であるが、テーブルと壁の間のスペースがよさそうだ。しかし、万全とは言えない。少しでも手のフォロースルーを大きくとれば机

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