見出し画像

子育てで、これだけは知っておきたい3つのこと。【親も子も幸せになるための心理学】

こんにちは、野口嘉則です。

今回は、【子育てでこれだけは知っておきたい3つのこと】についてお話をします。

「愛情をたくさん注いでいるのに、どうしてうちの子は自信のない子になってしまったんだろう?」
「一生懸命育てているのに、どうして期待通りに育ってくれないのだろう?」
「子どもとうまく意思疎通ができない」
そんなふうに子育てで悩んでいる人は多いですよね。

今回の話がきっとお役に立つと思います。

いま子育てをしている人だけでなく、将来子育てをする可能性がある人、子どもとよくかかわる人、人材を育成している人にも、ぜひ知っておいていただきたいことをお話しします。




<ヘリコプターペアレント、カーリングペアレント>


では、さっそくですが、これだけは知っておきたい3つのことの1つめをお伝えします。

それは、「過保護や過干渉にならないように育てる」ということです。
過保護や過干渉は、子どもの自己肯定感が育つ妨げになるからです。

それについてお話するにあたって、まず、「日本の親は過保護な傾向が強いんだな」と僕が感じたエピソードを紹介しますね。

かつて我が家では、外国人の若者をホームステイで引きうけるという活動をよくしていました。
かなり長い間していたので、トータルで40人以上はステイしてもらったと思います。

来る若者は、だいたい10代の後半から20歳前後で、アメリカを中心に世界各国から来ていました。

ホームステイ中、僕は彼らに「日本はどう?」とよくききました。

すると、「日本人は、本当にみんな親切で大好きです」とか「日本はとってもいい国で、日本に来て日本のことが前よりもっと大好きになりました」とか、けっこう本音でそういうふうに言ってくれる子が多かったです。

そこで、僕はあえて「いろんな家にホームステイしてきてると思うんだけど、不満があるとしたら、どんなことがある?」と聞いてみました。

そうすると、多くの場合に共通して返ってきた答えがありました。
それは、「子ども扱いされることです」というものでした。

ホームステイ先で子ども扱いされて戸惑うことがよくあったそうなんです。

たとえば、夜寝る前に、ホームステイ先の家族に、「明日は朝9時に家を出るので、8時半に朝ごはんを用意しておいてもらえるとありがたいです」と伝えて寝るわけです。
10代後半から20歳前後の若い子たちだと、やっぱりギリギリまで寝ていたい子も多いんですよね。なので、8時30分ギリギリまで寝て、起きたらすぐご飯を食べて30分で家を出ようと、8時30分にアラームをセットして寝るわけです。
ところが、8時を過ぎたあたりから、「そろそろ起きなくて大丈夫なの?」とか「もう8時過ぎてるよー」といったことを、ホームステイ先の家族が言いにくることがよくあったそうなのです。

さらに、「今日は降水確率50%よ。傘を持って行きいなさいよ」といったぐあいに、まるで小さな子どもに言うようなことを言ってくるケースも珍しくなかったようです。

高校生から大学生ぐらいの年齢の子たちからすると、小さな子どものように扱われている気がして、とても戸惑ってしまうわけですね。

「日本の親は過保護な傾向がある」というのを、僕は本などで読んで知ってはいましたが、実際に外国の若者たちから聞いて、「やっぱりそうなんだな」と実感したわけです。

ご存じかもしれませんが、過保護な親のことを「ヘリコプターペアレント」とか「カーリングペアレント」と言います。日本にはそういう親が多いということですね。

「ヘリコプターペアレント」とは、上空を旋回するヘリコプターのように、子どものことに目を行き届かせている親です。
子どもがイヤな思いをしそうになったり、傷つきそうになったり、失敗したりしそうな状況になると、すぐさま急降下して救助しようとします。

「カーリングペアレント」とは、過保護な親をウインタースポーツのカーリングにたとえたものです。ストーンが進んでいく先の氷をブラシで掃いて、ストーンを誘導するカーリングのように、子どもの行く先々の障害物を、先回りして取り除こうとする親のことです。

このような過保護な親のもとでは、子どもは失敗や挫折をなかなか経験できません。
さらには、葛藤を抱えて悩んだりするっていうことも、十分に体験させてもらえないわけです。

人は、悩みや失敗や挫折を経験することによって成長しますよね。
その機会を奪われてしまった子どもは心理的に自立できなくなってしまうんです。


<過保護と子どもの自己肯定感の関係>


ここでちょっと基本的な話をしますね。

子どもというのは、親から受容されるという体験をたくさんすればするほど、自分で自分を受容できるようになります。
そして、自分を受容できると、自己肯定感っていうのは高まるんですね。

こういうシーンをちょっと想像してみてください。

小学校の高学年の子どもが、朝、学校に行こうとしています。

すると母親がやってきて聞きました。
「今日の4時間目は、音楽の授業が体育の授業に変わったんでしょ。体操服は持ったの?」
さらに続けてこう言います。
「今日の降水確率は50%だって。傘を持ってったほうがいいよ」

この母親は、子どもが十分に自分で考えてやれることを代わりにやってしまっていますよね。
つまり、失敗を体験する機会を子どもから奪っているんです。

そして、「子どもが傷つかないように、子どもが失敗しないように」と先回りする親の行為は、実は「そのままのあなたでは受容できませんよ」というメッセージとして子どものこころに届いてしまっているんです。

もちろん親にはそんなつもりはありません。

だけど、結果的に
「傷つくあなたは見ていられない」
「イヤな思いをするあなたは受け入れられない」
「失敗するあなたは受容できない」
というメッセージになって、子どもの心に届いちゃうわけです。

そうすると子どもは、自分が傷つくことやネガティブな感情を感じること、失敗することを受けいれられなくなり、それらを過剰に避けるようになります。
つまり、「自己受容」ができず、自己肯定感がなかなか育まれない状態になってしまうわけです。

このメカニズムを、親も自覚していないので、「こんなに愛情を注いで大切に育てているのに、どうしてうちの子は自信のない子になってしまったの?」という現象が起きてしまうんです。


<安全領域の確立をはばむ過干渉>


ではもうひとつ、過干渉ということについても触れておきたいと思います。

子どもに対して「あれをしなさい」「これをしなさい」「それはやめておきなさい」と、やたらと口出しするのが過干渉ですね。

子どもは育つ過程で、自分と他者との間にしっかりした境界線を引くことによって、自分のこころの中に安全領域を作り出します。
「ここから内側は誰からも干渉されない」という安全領域を作り出すことで、自分が自分であることの確かさを築き上げていくんです。

そしてこの境界性は、親との間に引いていくことがとても大事なんです。
ところが、親がいろいろと干渉するっていうことは、まさに親がこの子どもの境界線を乗り越えて、子どもの人生に侵入しているわけですね。

そうすると、子どもは境界線を引けないので、心理的になかなか自立できなくなってしまうわけです。

干渉の仕方にはいろいろあります。
「〇〇しなさい」「〇〇はやめなさい」といった直接的な干渉もありますが、実は、そればかりではありません。

親がイヤだと思ってるような選択を子どもがしたり、あるいは親の助言を子どもが採用しなかったときに、「親がため息をつく」「悲しい表情になる」「不機嫌になる」といった方法で、親が間接的に子どもに干渉し、子どもをコントロールするといったことがよくあります。

言葉では「あなたの好きなようにしたら」と言いながら、表情では、悲しい表情や不機嫌な表情をするパターンです。言ってることと表情が矛盾していますよね。

この、2つの矛盾するメッセージが発せられてる状況を、ダブルバインド(二重拘束)と言います。

グレゴリーベイトソンという文化人類学者が、研究の結果として次のような報告をしています。
「人は、ダブルバインドの状況に長期間置かれると、精神の不調におちいりやすい」

つまり、親の言葉と態度に矛盾があるような、そんな間接的な干渉をされると、それは子どもにとっては大きな負担になってしまうんです。

そして、直接的な干渉であれ、間接的な干渉であれ、過干渉な親のもとで育った子どもは、「自分の好みで選ぶ」とか「自分の感じ方を大切にする」とか「自分で考えて自分で決める」といった経験をあまりできないので、何ごとも自分で決めることができなくなり、自分に自信を持てなくなる傾向があります。

というわけで、ここまでの話をまとめますと、過保護や過干渉で育てると、子どもの心理的な自立が妨げられ、自己肯定感の自己肯定感が低くなってしまうということです。
逆に言えば、過保護・過干渉にならないように育てると、子どもの自己肯定感が育つ土俵がしっかりできる、ということです。

ここまで読まれて、お子さんを育てておられる方や、お子さんを育てた経験のある方の中には、「私は過保護だった」「私は子どもの自立を妨げていた」と反省モードになられている方もいらっしゃるかもしれませんね。
どうか、ご自分のことをあまり責めないでくださいね。
完璧な親になるなんてことは誰にもできないことです。
できていないことやできなかったことでご自分を責めるんじゃなく、知ったことを今後の人生にぜひ活かしていただきたいです。


<子どもの生きるチカラを信じる>


それでは、子育てで知っておきたいこと3つめの2つめに入りましょう。

それは「子どもを信じることが、子どもへの最大のサポートになる」ということです。
そして、子どもを信じることができると、実は親も楽になれるんです。

名著「7つの習慣」の著者コヴィー博士の話を紹介したいと思います。

コヴィー博士には、ショーンくんという息子がいました。

ショーンくんは、学校の勉強がとても苦手でした。
さらにスポーツも苦手で、友達たちともうまくやれていませんでした。

そこでコヴィー博士と奥さんは、とにかくショーンくんをサポートしようとして、いつも前向きな言葉を投げかけていました。
「お前はやればできるやつだ」

さらにコヴィー博士は、ショーンくんの野球の練習相手もしました。

こうして、コヴィー博士はできる限りのことをやったのですが、まったくショーンくんの状況は変わりませんでした。

壁につきあたったコヴィー博士は、ある日、心理学を学んでいて、めちゃくちゃ大事なことを知りました。
そして、彼は愕然がくぜんとしたんです。

コヴィー博士が知ったこととは、「『自分が相手のことをどのように見ているか』が、相手に大きな影響を与える」ということです。

そしてコヴィー博士は、気づきました。
「自分たち夫婦は、息子に対して、『彼は基本的におとっているから、自分たちが助けてやる必要がある』という見かたをしていた」ということに。

「ショーンは劣っている。何かが足りない」という考えでショーン君に接していたので、サポートすればするほど、ますます彼を無力な存在にしていたわけです。
言葉ではポジティブな言葉を投げかけていたけど、ショーンくんに伝わっていたのは、コヴィー博士夫婦がこころで思っていた「お前は不十分だ」「助けが必要な存在なんだ」というメッセージだったんですね。

このことに気づいたあと、コヴィー博士は奥さんと話し合い、「息子のチカラを信じて見守ろう」と決めました。ショーンくんに対する見方を変えたのです。

ショーンくんも最初は、これまでどおりの(過保護な)かかわりを求めました。
しかしコヴィー夫妻は、「お前は十分にやっていけるよ」という態度を貫きました。その結果、ショーンくんの個性が開花し、彼は立派な大人になっていったんです。

以上のようなエピソードが、コヴィー博士の著書『7つの習慣』に書いてあります。

余談ですが、この『7つの習慣』の内容を、子どもでもわかりやすく読めるようにした『7つの習慣 ティーンズ』という本があります。
この『7つの習慣 ティーンズ』の著者こそ、ショーン・コヴィー、そう、息子のショーンくんなんです。

コヴィー夫妻が、ショーンくんのチカラを信じたことで、彼は才能を開花させました。そして今は、コヴィー博士の仕事を引き継いで、フランクリン・コヴィー社の社長として、世界を股にかけて活躍しています。


<心眼力を持って見まもる>


僕たち一人ひとりは、命という、生きる力という、素晴らしい本質をもっています。
勉強ができるとかできないとか、スポーツができるとかできないとか、友達づきあいが得意だとか苦手だとか、そんな表面的なこととはまったく違う次元で、本質的に人はみな素晴らしいんです。

心の目を開いて、相手の素晴らしい本質を見るチカラ。これを僕は「心眼力」と呼んでます。
上記のコヴィー博士のケースは、まさに心の目を開いて、息子の素晴らしい本質を見たという話ですよね。肉眼に見える姿に惑わされず、心の目で息子の生きる力の素晴らしさを見つめたわけです。
これが、子どものチカラを信じるということです。

ここでひとつだけ、注意です。
子どもの力を信じるのと、親の勝手な期待を押しつけるのは、まったく違うということです。

「この子は必ずがんばり屋になって、勉強もがんばって、いい大学に入ってくれる。親として、それを信じるぞ」というのは、親の勝手な期待を子どもに押し付けてるだけですから、これは子どもにとっては負担になります。

むしろこれだと、子どもの命のチカラを信じていない、というメッセージが伝わってしまいます。信じていないからこそ、条件をつけちゃうわけですね。

親がこういう期待をもつと、心理的に健康な子どもであれば、反抗するとともに、親の期待に応えない選択をすることができるようになります。
一方、子どもの自己が十分に育っていない場合は、親の期待を引きうけて、それに応えようと頑張ってしまいます。
しかし、親の期待に応えようとする「よい子」は、大人になってから生きづらくなることが多いのです。
これについては、心理学者であり社会学者でもある加藤諦三かとうたいぞうさんの著書『人生の悲劇はよい子に始まる』がとても参考になります。

さて、話を戻しますが、子どもを信じるというのは、親の勝手な期待を押しつけることではありません。

「勉強をがんばろうががんばるまいが、どんな選択をしどんなプロセスを経ようが、この子はこの子の個性を発揮して、自分らしい幸せな人生を実現できる」
「幸せな人生を実現するチカラを、この子は全て持っている」

これが、子どもの命のチカラを信じる。ということです。

といっても、なかなか簡単なことじゃないですよね。
そんなふうに子どものことを思えるようになるためには、こんな人間感を持つといいですよ、というお話を以前記事にしました。
ぜひ参考にしてみてください。↓


<親が楽であれば子どものこころが育つ>


さあついに、子育てで知っておくべきこと3つめの最後のお話です。

それは、「親が楽であることが、子どもにとって最高のプレゼントになる」ということです。

子どものこころが最も欲していることがあるとしたら、それは、「家庭がリラックスできる場であること」「家庭が安心できる安全な場であること」です。
家庭が安らぎの場であれば、子どものこころは勝手にすくすくと育っていくんです。

では、家庭が子どもにとって安らぎの場であるためには、どういう条件が必要なのでしょうか。
それは「親のこころに余裕があること」。つまり「親が心理的に安定していること」なんです。

では、親がこころに余裕を持って生活するためには、どうすればいいと思いますか?

それは、「親が無理をしないこと」なんです。
具体的にいえば
「ちゃんと手抜きができること」
「助けを求めることができること」
「不完全な自分で良しとすること」
です。

これこそが、親が子どもにしてあげられる最高のプレゼントになるんです。

保育のプロである小竹恵さんと小笠原舞さんの共著で、『いい親よりも大切なこと』という本があります。
その本のサブタイトルは「~子どものために “しなくていいこと” こんなにあった!~」です。

本の中に書いてあることには、
「子どもを100%愛そうとしなくていいんですよ」
「手作り弁当だけが愛情のあかしではないですよ」
「テレビも音楽も子ども向けばかりを選ばなくていいんですよ」
「子どもの社交性のために無理にママ友を作らなくてもいいですよ」
といったことが書いてあります。

それだけ無理してがんばっている親が多いということですね。

僕は、カウンセリングの仕事をとおして、子育てのなやみをかかえた親御さんのサポートもたくさんしてきました。
その中には、「子どものことを無条件に愛さなければならない」という思いこみに縛られていたため、「私は親として失格だ」と苦しんでいたお母さんがたくさんおられます。

余談ですが、「母性神話」というものがあります。
「女性には母性本能が備わっていて、子どもを産むと自然に愛情が湧いてくるものだ」という考えかたです。
まったく根拠のないものなのですが、かつての時代、多くの人がこの神話を信じていました。

現在では、
「母性というのは男女関係なく誰にもあるものである」
「母性は本能的に発現するものではなく、子どもと関わる度合いに応じて開発される」
「子どもに母性を与えるのは母親でなくてもいい」

ということが、さまざまな研究でわかっています。

母性神話は、「母性があるのだから母親が子育てに献身するのは当たり前だ」という考えかたですから、母親のひとりの人間としての基本的な欲求を無視しているわけです。母親を女神か聖母のように理想化する考え方ともいえます。

かつては、この神話が多くの母親を苦しめました。
いや、過去だけの話ではなく、今でも母性神話的な考え方は社会に根強く残っており、そのため苦しんでいる母親がたくさんいます。

「私は母親なのだから、もっと良い子育てをしなければ」
「もっと良い親になられければ」と無理をしてしまって、
結果的にこころに余裕がなくなり、
子どもにキツく当たってしまいます。
そして、自己嫌悪で苦しむ母親が多いのです。

母性神話の影響にかぎりませんが、
親が無理をしてがんばりすぎると、
こころに余裕を持てなくなります。
そしてそうなると、
子どもにとって家庭が安らぎの場ではなくなるのです。

だから、
「親が無理をしないこと」
「ちゃんと手抜きができること」
「助けを求めることができること」
「親が不完全な自分でよしとすること」

それによって親に心のゆとりができれば、子どもにとってこれ以上のプレゼントはないということなんです。


<まとめ>


親も子も幸せになることができる子育て、どうでしたか?

子育てに限らずいろいろな人間関係にも応用してもらえる考えかただと思います。
自分も相手も幸せになれるような関係を、より築けていけるといいですね!

<まとめ>

・過保護と過干渉は自立をさまたげる
・あなたのままではダメだというメッセージになる
・そのままを受容してあげると自己肯定感が高まる
・相手の生きるチカラを信じて見守る
・完璧じゃない自分(親)でも良しとする

僕のnoteでは、読めば読むほど「自己肯定感が高まり」「人間理解が深まり」「人間力が養われる」コンテンツをお届けしています。

これからも確実に自己実現へ向けて進みたい方、ぜひフォローをしてたくさんのヒントを受け取ってくださいね!

ではまた、次回の更新をお楽しみに!


動画で観たい方はこちら↓

音声で聞きたい方はこちら↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?