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個性に関する考察。

個性、自分らしさ、アイデンティティ。自分が好きなように生き、好きなように死ぬ時代。いかに自分が自分らしくあるかをみんな必死に考えている。

親の言うことや世間の空気に従わなければならなかった時代を思えば、現代はよっぽど自由である。それにもかかわらず、自分らしさを大切にしている人ほど、不自由に見えることがある。

自分らしさとはなんだろうか。自分なりの生き方、あるいはスタイル。それは言い換えてみれば、「他人と違っていること」と言えるかもしれない。
他人と違っているためには、他人がどのように生きているかをよく観察しなければいけない。もし自分の生き方が他人とかぶってしまっているならば、それはもはや個性ではなくなってしまうから。

自分らしく生きなければならない。しかし、そのためには他人から目を逸らしてもならない。個性を大切にすればするほど、他人に目を向けざるを得なくなる。

他人にまだ開拓されていない未開の領域を探し出す。たいてい見つかったとしても、その面積は限りなく小さい。大勢の人が未開の領域を開拓し、自分の領域としてマーキングしてしまっているから、そもそも未開の領域はほとんど残されていない。

未開の領域が見つかったら、その狭い狭い範囲の中に自分を無理やり押し込める。とても窮屈だが、他人とは違う、個性を確保するには仕方のないことのようだ。

誰かと同じであることは、そんなにいけないことなのだろうか。周囲をうかがい、勝ち得た個性は、本当の自分らしさと言えるのだろうか。

逆に言えば、本当の自分らしさって、個性やアイデンティティをまったく意識しなくなった瞬間にやっとのことで出てくるのだ。自分が他人とどう違うかなんてことを度外視して、とにかく自分が好きだと思うモノに触れて、楽しいと思うコトをして。その積み重ねで自然に出来上がるのが自分らしさだ。

「個性」と「他人と違っていること」を一緒にしてはいけない。個性は本来、他人の在り方に左右されるような脆弱なものではないはずだ。

本当に個性が欲しいと思うなら、ただひたすらに自分の好きなこと、没頭できること、夢中になれることをしよう。ないなら探そう。わからなくなったら考えよう。一見遠回りに思えることが、一番の近道だった、なんてことはよくあることだ。

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