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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #53:中堅国が目指すもの

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は53回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)

本来は月曜(昨日)更新のはずが、諸事情により投稿が本日火曜日になってしまいました。楽しみにされていた方、申し訳ございません。

前回は、「#52:中間管理職の苦労」という事で、会社や組織において最も苦労が絶えず、かつ、要所である中間管理職の苦労と経験についてまとめました。まだお読みでない方は、上記リンクよりお読みください。

さて、今回は、前回の中間管理職からの派生ではないですが、こちらもほとんどの会社がその境地に立っている中堅企業の目指すべき指標を、キングダムでいう所の中堅国に習ってみていきます。

上記ほとんどの会社がと述べましたが、まさに言葉の通りで、業界のトップ企業というのは限られていますが、社会やビジネスという物は、トップだけが生き残れる仕組みではなく、ほとんどの中堅企業(中小企業)でも十分に活躍し存在感を示す事ができます。しかし、彼らも方向性を間違えると一気に大企業に飲み込まれてしまう可能性もあり、経営方針の判断の重要性というのが、大企業以上に問われます。

競争社会で生き抜く為には中堅企業であれ、成長が求められ、受け身ではすぐに淘汰されます。これはキングダムでも全く同じで、群雄割拠の戦国時代であれば、どの国も常に上を目指さなければなりません。特に中堅企業が、直接的なビジネス以外で求められる行動は、以下3点あると考えます。

1) 社会においてなくてはならない存在になる。
単に数字だけを見ると、市場における競争相手は少なければ少ない方が良いのは明確です。しかし、社会やビジネスというのはそんなに単純ではなく、売りのいくつかを譲ってでも、その企業に居てもらった方が良いという事があります。つまり、業界の均衡を保つような事です。そのスペシャリティーを出し、認知してもらう事により、業界にいてくれた方がありがたい存在になる事は中堅企業にとって非常に重要な事です。キングダムでは燕と言う国がこれに当たる良い例かと思います。燕は中華の北東に位置するいわゆる中堅国です。軍神楽毅がいた時代はともかく、楽毅なき今はいつ隣国の趙や斉に大きく攻められてもおかしくないような国ですが、彼らはそうしません。それはもちろん、趙や斉にとっては、燕という国が残っていた方が都合が良いからです。何故でしょう。燕は中華の北東に位置する為、北からの謎の多い多民族の脅威に常にさらされているからです。趙でいう所の、匈奴、秦でいう所の、昔の山の民のような脅威です。今の所、燕はオルドを中心に彼らと上手くやっている様に見えますが、もし、燕と言う国が滅びて、謎の多民族達と国境を接する事になると、趙や斉は厄介な悩み事が増えてしまいます。その為、燕には盾の代わりに滅ばないでいてもらった方が都合が良いのです。

オルド

2) 大企業をたてる。
また、中堅企業というのは、会社として気を使えないと生き残る事はできません。力関係で劣る中堅企業というのは、残念ながら大企業の顔色を伺いながら、また、彼らを過度に怒らせすぎないようにしなければなりません。これは、大企業の奴隷になれと言うわけではなく、彼らのプライドを傷つけないように、立てるだけで良いのです。機嫌を損ねないだけで、上手く生き残れるなら、はっきり言って安いものです。業界団体の役職を決める際に、会社の規模の通り、役職を決めるようなものです、また、会議の時に上座を譲り、乾杯のあいさつを任せるだけで、良いのです。こんなところで平等性や変なプライドを見せる必要性は全くありません。キングダムでは、合従軍の開戦の合図を楚に譲ったのが好例です。実損のない所で譲る事に躊躇してはいけません。それがどうしても譲れない性格であれば、やはり中堅企業には向いてないので、起業するなり、大企業でトップに成り上がるなりすべきです。

汗明 2

3) 保守的になりすぎない。
上記2)と一見反するようですが、中堅企業というのは、保守的になりすぎてもいけません。保守的になると、大企業になめられてしまいます。大企業を立てて、機嫌を損ねないのと、なめられるのは、全く意味が違います。なめられるとどうしても、不利益で理不尽な事を押し付けられてしまいます。そういう意味では、大企業がやらないような、真新しい事や、若手を使うなど、様々なチャレンジをし一目置かれる存在になる必要があります。キングダムで例えると、中華のほぼ中心に位置する中堅国の魏が良い例です。魏は元三大天の廉頗の亡命を受け入れたり、一昔前の魏七火龍の時代からの若返りを図り、若い呉鳳明を第一将に置くなど、隣国からなめられないような体制をとっています。

このように、中堅企業や中堅国には自由度は下がれど、考え方次第では、大企業や大国家と上手く共存する事ができます。もちろん、ビジネスや戦争においては常に競合として目を光らせる必要がありますが、無意味な嫌がらせや攻撃を避ける事は非常に有意義になります。何度もいいますが、大企業や大国家のいいなりになるのではなく、機嫌を取る事により、逆に手の上で相手を転がすイメージになります。

そういった意味でもコミュニケーションスキルや空気を読む力と言うのは、中堅国(中堅国家)にこそ非常に重要なスキルになります。また、この考え方は、人として捉えるか、組織として捉えるかの違いだけで、前回記事「#52:中間管理職の苦労」と非常に似ている所があります。

苦労は買ってでもしろ、という諺はあまり好きではありませんが、苦労する事は長い人生で見ると決してマイナスばかりではありません。揉まれて揉まれてを楽しむ人生も良いかと思います。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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