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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #51:目的と手段

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は51回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)

前回は、「#50:物流の重要性」と題して、秦軍鄴攻めにおける兵糧問題を例に、現代ビジネスにおける物流の重要性を考察しました。まだお読みでない方は、上記リンクよりお読みください。

さて、今回は、私が普段ビジネスにおいて最も重視しており、部下などにも口うるさく言っている「目的と手段」についてキングダムを例にまとめます。

まず、目的と手段の意味に関しては、ほとんどの社会人が説明されるまでもなくご存じだと思います。しかし、実際に仕事をしていると、目的と手段をはき違えて仕事をしている人が、いかに多いかに気付かされます。手段はビジネス上は戦略と言ったりもします。その手段(戦略)ばかりに目を奪われて、目的そっちのけで手段(戦略)に全てをかける人が多い場面をよく見ます。キングダム内でもたまにそのような場面を見かけるのですが、あの大将軍が説明付きで若手に指導していた場面があったので、そのシーンを振り返ってみたいと思います。

そのシーンとは、合従軍で楚の禍燐将軍が自軍の精鋭五千人を密かに函谷関の裏に送っていたシーンです。

禍燐将軍は、汗明が討たれた後、自軍に退却の合図をした時、謄を討つ事に全精力をつぎ込んでいた項翼に、なんで謄を全力で討ちにいかないのだと詰め寄られます。そこで、謄や蒙武を討つのがこの戦の目的ならとっくにそうしている、しかし、この合従軍の目的は何だ、(最終的に咸陽を落とす為に)函谷関を抜く事だと言います。謄や蒙武を討つのは、その一つの手段に過ぎないのです。

派手な戦象から始まり、ほぼ詰みの陣形で謄軍を囲い込み、蒙武汗明の一騎討ちの邪魔をしたりと、禍燐は様々な方法で派手に戦場を魅了しますが、それらは全て自軍の精鋭五千を函谷関に送る為のまやかしだったのです。これ程怒涛の動きを見せられた相対する流石の謄も、禍燐のこの動きを読むことができませんでした。逆に、謄が優れた将軍だと見極めたからこそ、禍燐は派手に動き、謄に考える時間を与えなかったので、精鋭隊を送り込むことができたとも言えます。

かりん 2

また、この作戦は最終的にさらに函谷関の裏に回った王翦将軍により、潰されてしまいます。これも同じで、王翦がいかに目的と手段を間違ずに戦場にいたのかが良くわかります。彼の役目はオルドを函谷関の裏に回らせない事でしたが、さらに上を行って、オルドを封じ込めた後に、他の軍が突破をされても間一髪助けれるように、自軍も函谷関裏で待機します。この戦はとにかく函谷関を抜かれない事が目的だと理解していたので、できた行動になります。逆にオルドは、王翦にやられない事しか頭になく、呑気に王翦が作った天然の砦で待機してしまい、合従軍全体のチャンスを潰してしまいます。

おうせん

このように、状況が複雑化し、プレーヤーが多くなればなるほど、目的と手段の理解が重要になります。先に申し上げた通り、ビジネスにおいても全く同じ事が言えます。このビジネス、プロジェクトにおいての目的は何か、その目的達成の為の手段(戦略)は何なのか。優れた手段であるほど、それに囚われすぎる事がありますが、目的達成の為には手段を切り替える事も大事になります。

先日オリンピックの中継を見ていて、あるアスリートが、内容の良い試合とは何かと聞かれ、勝てた試合だと答えました。この裏にある答えは、結局勝てた試合が全てを差し置いて優れた試合だと言いたかったのだと思います。いかに内容が良くても、負けては良い試合と言えない。世界のトップを狙うアスリートは恐らくビジネスをやらせても成功するでしょう。それほど、ブレない目的達成というの大事な事なのです。

今回は概念的な話になりましたが、非常に重要な話なので、仕事で煮詰まった時は今一度客観的に物事を振り返り、目的と手段を見つめなおしてください。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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