見出し画像

満願

米澤穂信著 新潮文庫

ミステリー最高傑作と帯にあったので購入。第27回山本周五郎賞受賞作である。
中身は、短編6作を収録。
共通するのは、登場人物たちの闇が深い事、といってもそれは誰もが持ち合わせているものであり、私は人間の持つ本能のような罪の深さ、言い換えれば“”の様なものだと思う。その部分を巧妙に描き、しかもバラエティに富んでいる。
周りから優れた人と見えても、人には自分本位な部分があり、時にしてそれが前面に出てしまう。もちろん本人はそれを周りに悟られない様にしており、現実的に悟られない事も多い。しかしながらそういう時は結局周りが見えておらず(この表現が正しいかは疑問だが)、求めた結果には至らない。

私はこれは人が生きていく上での教訓の様な気がする。よく言われる落とし穴なのではないだろうか?しかしそれは常人では逆らえない、人の本能なのである。
本書はこれをブラックユーモアと言うのか、実に後味悪く描いている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?