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本の中の食べ物

基本的に仕事でも休日でも食べることしか考えていないので
小説やエッセイでも食べ物の描写があるものが好きだ。

江國香織のエッセイにはたくさん食べ物が出てくる。
レーズンバターが食べたくて夜な夜なお店を探す話や
幼い頃に家族で食べにいった天ぷら屋さんがお休みだった話、
妹たちと海沿いのレストランのテラスで食べた
アサリのスパゲッティとか。

江國香織のほうの「冷静と情熱のあいだ」には、
ヒロインが恋人にスープを煮込んでいるシーンがある。
プレゼントの下着の色はアプリコット色。

安野モヨコの「くいいじ」に出てくる
ラジャ ヴェッタでパスタをアシスタントと出前しまくる話も大好き。

池波正太郎を読むと、出てくるお店を片っ端から調べて
老舗というものを体感したい欲求に駆られる。

吉本ばななの「キッチン」も外せない。
主人公が夜食に作るおかゆと、きゅうりのサラダとか。
仕事先で出会ったカツ丼とか。

でも「キッチン」の中でいちばん好きなのはこれ。

闇の中、切り立った崖っぷちをじりじり歩き、国道に出てほっと息をつく。もうたくさんだと思いながら見上げる月明かりの、心にしみ入るような美しさを、私は知っている。

食べ物もそうだと思う。
だから不安なことや苦しいことを乗り越えたあと、
ほっと一息ついて口にするものは特別。

この一杯のために仕事してる!っていうビールもこれにしかり。

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