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バンドマンのセカンドキャリア

むっちゃ夢のないタイトルのように見えるかもしれない。

でも大事な話だし、
これを読んだあなたが未来のロックスター、ミュージシャンを志しているのであれば
あなたの音楽活動を続ける為にも、あなたの作品を待っている人達の為にも読んでもらえたら嬉しいです。

また、板の上には立った事はないけど
音楽やライブ、フェスが好きって人にも読んで欲しい。

僕は売れてるアーティストでもない
朝起きて、夜中まで仕事をして働きながら日本武道館を目指すバンドマンだ。

正直ギリギリの生活をしてる。
僕は生き方が不器用で賢くないからやねんけど
生活の中のイレギュラーな予定に対応できるだけの資産と時間の余裕は持ち合わせてない。

だからと言って社会を、音楽業界を、ロック界隈を非難したい訳でもない。

バンドをしてると汚い話、あの事務所のあそこのバンドぐらい売れてても給料は●●らしいよ?
みたいな話が耳に入る事もしばしば。
嘘も噂も含めて、あまりキラキラした夢のある話が入ってくる事は少ない。

昔話をしたい訳じゃないけど
僕が高校生の頃なんかは
あのバンド、メジャーとの契約金●●●●万だったみたいよ?みたいな
まるでアメリカンドリームのような話もよく耳にし
そこそこ売れたら外車にだって乗れるし家も買えるしスゲー!なんて思っていたもんでした。

まあ今はそゆのないよね当然。
CDが売れないんやから。
名目は場所によって違えどお金を払わなきゃ出演できない有名イベントも数多い。

時代はいつも、いつの間にか変わるもので
今の時代の音楽業界でビッグマネーが産まれる何て夢はあんまない気がするんよね。
チャートなんかに入るぐらいのバンドの収入の主ってサブスクや音源じゃなく
Tシャツだったりの物販、ネットのコンテンツ、
V系バンドや地下アイドルだったら
チケットやCDより『チェキや握手会』がメインバンクになっているのが現実だ。

社会の犬になりたくねー
誰に指図もされたくねー
なるべく楽して稼ぎてー
好きな事して生きてー

でも音楽は大好き、音楽の活動なら頑張れる!
そんなバンドマンって多いと思うし僕もそうだ。
同じ志を持ったメンバーとツアーをまわったり
お金や生活の事を気にせず
沢山のお客さんの前で自分達の曲をお披露目したり、ライブを観てくれる人達に元気をシェアしたい。
ポジティブにそう思ってる。

実際バンドマンになってみて
足をどっぷり突っ込んでみたらめちゃめちゃ大人の世界がそこにあった。

現実は甘くはない。
フェスなんかに行けば有名なアーティスト名がずらっと並んでいて会場内でも歩けないぐらいオーディエンスが集まってたりする。

じゃあライブハウスはどうだろう。
僕の肌感での感想にはなるんだけど
1日を通して全体で10人満たない集客日に遭遇する事の方が圧倒的に多い。

どんなアーティストでも駆け出しは大変なもの。
ステージから目の前の数名に向けて歌い
決して数は多くはないオーディエンスと向き合って表現や拘りをアウトプットし集客に繋げていかなきゃいけない。
これを地道に続けて知名度を獲得するか、頭を使って効率の良い活動を模索するか
みたいな。。

例えば夏フェス、
これは個人的な私見だけど
大体のフェスってあの界隈の●●辺りが出てて、ナインナップにも特色がなくなってきている傾向にあるように感じてる。

音楽界にも政治力が蔓延ってて
コミュ力に長けたメンバーがいるバンドは出世し易い。
僕の目にはそう映る、そう感じる事がある。

いやいや、でもさ
イベントのオーガナイザーにも生活がある訳よ。
当然タイミングもあるし、夢や理想とは違えども
赤字を出さない面子を揃えて予算組みしなきゃいかない。

人間同士の付き合いだってある。

その中で新鋭の実績の少ない若手を起用するってなかなかできないよね?
それって勇気いるよね?
新陳代謝がないといけないのは分かる。
でも確実な黒字を見込めなきゃヤバいでしょって話になってしまう。

みんなの楽しい!と、音楽の需要と供給のバランス、
リスニング環境や情報提供方法までもが年々変化している。
音楽業界もビジネスな訳だから見解がシビアなのは至極当然だ。
シンプルに、売れたきゃ自分という商品や名前にブランド価値がなきゃいけない。

この令和の時代の音楽業界って
プレイヤー目線だと
金銭的なリターンが少なく
将来設計を立てにくく安定感とは程遠い商売だと思ってる。
僕がバンドで食ってくと家族に告げた時はそりゃ反対されたもんで、、
それでも僕が音楽を、歌を、バンドを続けてるのは純粋に歌う事が好きだからだ。
そして僕にはブレない信念がある。

だけど音楽を続けながら建設的に生きる事って
実際は思ってたより大変だ。

音楽活動にはお金がかかる。
楽器やマイクは勿論のこと、スタジオでの練習代、DTM(宅録)をするにも機材やアメニティ、活動に紐づくもの全てに経費がかかる。
生でライブを観て勉強するにもチケット代がかかる。

音楽人同士の付き合いだってある。

本格的なスタジオでレコーディングをするならお金は尚の事かかる。
スタジオで働くスタッフさんや、エンジニアさんの人件費、スタジオだって家賃があってその屋根の下には沢山の人の生活がある。

レコーディングした作品を多くの人に届けるには広告費だって捻出しなければならない。
(うちにはそんな余裕はない)
広告媒体も様々で、音楽を発表するプラットフォームだって複数あって
自分の音楽作品をサブスクや流通にかける事って
夢のない言い方をすればハッキリ言ってビジネスだ。

オーバーグラウンドだろうがアンダーグラウンドであっても名前を売る事に関して様々なスキームがしっかりあってお金や人が当然動いている。

現実は厳しい、だけどそれって普通の事よね?

ライブを1本こなす場合、
音響さんが居て、照明さんが居て、もぎりのスタッフさんが居て、バーカンにもスタッフさんが居て、アーティストをブッキングするスタッフさんが居て、
プレイヤーが居て、お客さんがいる。

一個でも欠けたらええライブなんて絶対にできない。

駆け出しのバンドマンなら尚の事、ライブをするにも会場までの交通費はもちろん
対バン形式のライブならノルマを課せられる訳で。
お客さんだってそう、観たいライブの為にスケジュールを調整してチケット代を捻出している。

プレイヤーがライブをするにも、アルバイトや仕事を持っているのであれば休暇も取らなきゃいけない。
これがグループ活動だとメンバー及びスタッフさんとのスケジュール調整も必要になってくる。

あれ?これ何か学生時代に思ってた
やりたくなかった仕事ぽくね?

バンドマンって好きな音楽を爆音で鳴らして
それに共鳴した人がファンになって
その分母を増やしてデカくなってく

それを掘り下げてみたら、、いやいやこれめちゃめちゃ社会の縮図やん。

アーティスト活動の中において
時間もかけ、お金もかけ、心を込めた自信の作品が
ライブ1本、音源1つ、動画1本で世の中が変わるほど世の中は甘くない。
そりゃ一撃必殺みたいなのもあるよ?
でもそれはごく一部の話。

志が高ければ高いほど結果を求めるし
結果を求めて期待値にコミットしなかった場合
まあまあ心のダメージを受ける訳で。

その心のダメージをパワーに変える人間もいれば
心が折れてしまう人間だっている
どんなにメンタルが強い人だってタイミングによっては思う結果が出なければ折れる事もあるかもしれない。

何より時間は有限だ。
誰でも歳をとる。
平等に歳をとる。
いつまでも若く、美しくいれる保証もなければ
いつまでもベストなパフォーマンスをオーディエンスにアウトプットできる保証もない。

だから今、全力を、、僕もそうだ。
どのライブも人生最後のライブのつもりで毎ライブ臨んでいる。
いつ何が起きて音楽ができなくなる事だってあるかも知れない。

音楽で食えなきゃ生きてる意味なんてねー

僕はそんな気合いの入りまくったバンドマンを数えきれないほど見てきた。
みんな素晴らしいミュージシャンだ。
だけど音楽だけで飯を食ってる人はプロと呼ばれるキャリアを持つ人でも一握り。

音楽活動だけで飯を満足に食うってのは確かにカッコ良いと思う。

だけど音楽と違う仕事がカッコ悪いのか?

そりゃ誰にでもそう、向き不向きもあれば好き嫌いもある。
自分に合った生き方、自分が好きな事を誰に迷惑をかける事なく真っ当に生きてる事って素敵やと思うねん。

そらみんな全部が全部に満足なんかしてないやろ?
だから自分から幸せって言える事ってすごい素敵やと思うねんな。

一生懸命になって、汗をかいて家族を養う為に働いてる人間をカッコ悪い何て誰が思う?

僕はボーカリストである前に1人の人間だ。
ボーカリストである前に1音楽ファンだ。
1ファンの見解だけど
ステージでオーディエンスを魅了する人間てのは『何か』を持ってる。

『何か』というのは様々で
ある人だと、華だったり、トーク力だったり、スキルだったり、本当それはプレイヤーによって様々だ。

ただ本質的な事を言えば
その『何か』の根源ってのは信念と生き様やと思ってる。

自分だけの『何か』を得る為にみんな努力をしててブラッシュアップをしている。
ある人は美を追求する、それもアリやん。
ある人はスキルを身につける為に学校に通い、トーク力やパフォーマンスを磨いている、それもアリやん。

つまり何が言いたいか、
何でも良い、一生懸命に生きてる奴はカッコ良いんだ。

音楽辞めるぐらいなら死ぬ、なんて言うなよ
応援してた人が亡くなったから死ぬ
辛いよ、やけど死ぬとか言うなよ

小さな会場でしかライブをした事がない僕なんかの言葉が誰かに刺さるかどうかは分からへん。

ただ、音楽を繋ぐには誰1人欠けちゃいけない。
応援する人の声やメッセージはプレイヤーにとっての励みだし
プレイヤーの努力は音に変換されてオーディエンスへのおもてなしに変わるんだ。

硬い言い方にはなるけど
歳を取れば親のありがたみが分かってくるのと同じで
生きてればポジティブな感情が少しずつ芽生えて、気付きが始まるんじゃないかと思ってる。

ここまでつらつらと長文を書いて
ようやく本題に入るけどほぼ一言でまとめよう。

おい、バンドマン、汗かいて働いてたらさ
その努力はバンドにも返ってくるよ。

不真面目な勤務態度の奴を応援したいか?
自分の事しかしない奴が評価されるか?
礼儀知らずもカッコ良いかも知らんがそれはあなたの主観で
人を、仲間を、家族を大事にして、時間も守る人間のが信用できるやろ?

本気で音楽続けたいなら
誰にも迷惑をかけずに頭を使うか
一生懸命まじめに楽しく生きるのが良いと思うねん。

生きてこそ、想いは伝わるもの。
プレイヤーでいたいエゴはある。
でも若さと体力や時間は永遠じゃない。
これはネガティヴじゃなくて真理であって
自然な事

それってみんな平等やねんな

1つの事を続ける事はカッコ良い。
だけどプレイヤーにもプレイヤーとしての寿命がある。

エアロスミスだってそうなんだ。
でも、彼らが発表したPEACE OUTって表現は
解散じゃなかったのがすごくポジティブで良いと思った。
そりゃファンとしては彼らのショウがもう観れないのは悲しいけれど
擦り切れるまで活動したからこそのPEACE OUT(またな!)なんだと思うと
リスペクトと感謝を込めて心から拍手を贈りたくなった。

僕も擦り切れるまで歌いたいと思うし
今の僕だからこそ、仕事を一生懸命続けて武道館を目指したいと思う。

昔の人が言ってた、手に職をつけろって意味がそれとなく分かってきた今日この頃。
だけどそれを誰かに押し付けたい訳じゃない。

今してる努力は決して無駄じゃない。
だからステージだけじゃなく、信念を持って普段の生活から無理なく楽しく生きて欲しい。

この項の最後はうちらのライブの最後の言葉で締めたい。
今は底辺のチンピラでも、武道館目指して成り上がったるさかい、応援、夜露死苦‼️

俺たちに限界はない!

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