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「おじいちゃんがイライラしやすい」を介護福祉士教科書を使って推察してみた

介護の現場や街中で、「どうしてこのおじいちゃんはそんなにイライラしているのだろう?」というシーンに出くわす時があります。

もちろんすべての高齢の方がそうではないという前提ですが、特に男性の高齢の方がイライラしているシーンをよく見かけます。
※独断と偏見が入っているかもしれませんので、悪しからず。。。

わたしが日常生活の中で、「男性・高齢者・イライラしている」というシーンに多く出くわすため、「どうしてイライラしやすいんだろう?」ということを考えるようになりました。

社会背景

現在、70歳~90歳の方は「戦後、著しい経済発展」の中で社会と関わりを持っていました。

■1960年代 所得倍増計画
■1964年  東京オリンピック
■1970年代 第2次ベビーブームで人口1億人突破
■1985年後半 バブル経済 等々

これらの出来事を羅列した結果、現在との違いは『戦後激烈に変化し、個人の経済的「成長」をわかりやすく実感できた』時代だったのではないか?と思いました。

老年期の基礎的理解

ハヴィスガーストは老年期の発達課題として、「肉体的な強さと健康の衰退への適応」「退職と収入の減少への適応」「配偶者の死への適応」などを挙げています。円熟した老年期を迎えるためには、心身の機能の低下、仕事や家族の喪失などを乗り越え、自分の人生を肯定的に受け入れていくことが重要になってきます。

引用:2024年度みんなが欲しかった!
介護福祉士の教科書
発行所:TAC株式会社 出版事業部
年:2023年4月27日


老年期の「喪失」「減少」「衰退」をどうとらえるか?がQOLに大きく影響する?

私は、上の老年期の発達課題を読んで、「そりゃイライラしやすいよね」という理解をしました。
この文章を読みながらまた以下の心理学用語を思い出しました。

マズローの欲求段階説
人間は、「こうしたい」という自分の中の感情=欲求を満たすために行動します。行動の背景にある感情をとらえることで、その人が何を望み、何を欲しているのかを探ることができます。アメリカの心理学者マズローは、こうした人間の欲求を5段階の階層で示し、下位の欲求が満たされることで、次の階層の欲求に移行していくものとしました。
第1段階:生理欲求(人間の生命維持に関わる、本能的な欲求)
第2段階:安全の欲求(住居や健康など、安全の維持を求める欲求)
第3段階:所属・愛情の欲求(家族や社会などの集団に所属し、愛されたい)
第4段階:承認・自尊の欲求(認められたい・尊敬されたい)
第5段階:自己実現の欲求(自分の可能性を生かし、あるべき姿になりたい)

引用:2024年度みんなが欲しかった!
介護福祉士の教科書
発行所:TAC株式会社
出版事業部年:2023年4月27日

老年期に「喪失」「減少」「衰退」を味わうと確かに「きついな~」という感覚があると思います。青年期であろうが老年期であろうが、失うことはつらいものだと思います。

これまで仕事などで「成長実感」を非常に感じていた老年期の男性は、「失うことが多い」老年期は「イライラ」するでしょう。マズローの欲求の段階を第5段階から第1段階へ転げ落ちているという感覚を持つ人も少なくないのかなと想像してしまいます。

よい老年期の過ごし方

わたしは、介護現場で「このおじいちゃん本当素敵」という方に何回も出会いました。落ち着いており、笑顔でいろいろなお話を聞かせてくれます。このおじいちゃんも身体機能が落ち、自宅で一人で過ごす時間もあります。

「喪失」「減少」「衰退」を味わっていると思います。しかし素敵なのです。

そんなおじいちゃんになりたいなと思いました。

介護現場からは以上です。


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