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本屋さんで遊んで、映像の奥深さを知る〜GLOBE+ MEETUPより②

5月30日、六本木の文喫にて開催されたイベント「本屋さんを遊ぼう GLOBE+ MEETUP Vol.3」に参加した、前回レポートの続きです。

その前に、公式レポートが出ていました! 

ここでは、動画撮影ワークショップの体験談を残しておこうと思います。

動画撮影ワークショップ「本屋を遊ぶ」

事前にこんな案内がきていました。

今回のイベントは、書店をどう楽しむか、がテーマです。そこでみなさんの考える「私と書店」を表現するごく短い動画を店内で撮っていただこうと思っています。私の好きな本、書店をどんな風に楽しみたいか、こんな書店があったらいいな、など自由にイメージを膨らませておいて頂けないでしょうか。その上で、当日、記者や書店の方の話を聞き、「文喫」店内の雰囲気を感じながら動画で表現して頂ければと思います。

動画で表現とは? 難しそうではありますが、事前にお題をいただくことで、イベントへの参加意識、文喫への期待も高まりました。
ワークショップ前には、初心者向けレクチャーをいただきました。

講師は山本哲也さん(公式レポによれば、“テッド・シャークス”という異名あり!?)。朝日新聞社を休職してニューヨークの映画学校で本気の勉強をしてきたツワモノ。現在は、動画戦略やドキュメンタリー取材、動画企画・撮影、朝日新聞社のYouTube公式チャンネルの運営など、動画で伝えることを専門にされています。

なぜ、映像なのか

いまなぜ映像を重視するのか。ニュースや情報をまずネット上で動画で知るようになり、若い人ほど映像への親和性が高くなっていることを認識すべし。その上で、映像は印象操作が可能だから、印象操作する側を知ることが大事。すなわち映像で騙されないために、映像のリテラシーを高めましょう、と新聞社の中の人がおっしゃいます。文章と同じように、映像も伝える方法であり、知っておくべき技法があるのだと。

たしかに、文章に関しての技法や表現は学ぶ機会も多いですが、映像について学ぶことってほとんどない……映像の文法を知っておくことはこれからの時代ますます重要になりそうです。

短時間ですから主に、背景の形・色・形状による表現方法と感じ方を、映画のシーンから紹介いただきました。これらは絵画や写真にも通じるものです。そして、カメラアングル(配置)で対象との関係性を示す事例もみていきました。

映画が好きでよく観るので、とても分かりやすく楽しい講義でした。受け手として、感覚で捉えて理解した気になっていたことも、まったく意識していなかったことも、実は基本的な人間心理に基づく技法があり、そこから作家が何を伝えたいのかを探ることができる訳です。それは知ってた方が面白そうです。

「本屋」に抱くイメージを「映像で伝える」

アイディア出し用のワークシートには、「形、色、カメラアングル」のポイントを記すようになってて、最低限これらの捉え方をおさえたところで、実践です。

お題:あなたが「本屋」に抱くイメージを「映像で伝える」(5秒で)

「インテリジェンス/エキサイティング/ファッショナブル/リラックス/ミステリアス」から自分の抱く近いイメージを選び、同じテーマを選んだ方と2人1組になって撮影にチャレンジ! 私は「インテリジェンス」を選びました。

よく考えると、文喫という場所は、これらすべてのイメージを持ち合わせている書店で、どの部分を切り取るかが伝え方に直結し、撮影者の意図により仕上がった映像で、受け手のイメージにも影響することを実感。映像ではより顕著になるのです。伝える側の印象操作が可能とは、テーマ選びからはじまっていることです。

私たちは、「インテリジェンスってなんだろう?」「知らないことを知ることができる、出会いの場所では?」と話し合い、さっそく文喫店内へ。自分の興味のある分野、コーナーだけに目を向けないと、本屋の中はそんな出会いしかない、とも言えました。

文喫はそもそも分かりやすい本の並べ方をしていない分、どこをとっても未知の知がある場所だったので、中でも特徴的な平積みのコーナーで、自分目線で知的な本と出会う瞬間を撮りました。(ラストカットがこちら)

しかし、難しかった! 学んだこといかせてません……(泣)。5秒って尺に収めるだけでも一苦労で。でもペアを組んでくださった方(手のご出演)が優しく話しやすく、撮影時間を楽しむことができました。偶然の出会いにも感謝です。

動画発表・講評

撮影した動画をAirDropで提出し、吉岡記者の「世界の書店事情」レクチャー15分の間に、山本さんがまとめてくださっていました。しかも、それぞれのテーマ毎に音楽をつけて! 

順に見ていくと、各ペアの切り取り方が個性的で面白く、それがテーマに合っていて、スキル高!動画リテラシー高! と驚かされました。

私たちのも、知性を感じさせる(なんのこっちゃ? な)本を選んだことで、「インテリジェンス」を表現したことは伝わったようで、そこはホッとしました。あとで調べたらこの本、ポーランドで最も権威ある文学賞「ニケ賞」受賞の紀行文学だそうで。出会い以外の何者でもない!

GLOBE+編集部さんで、最終的に1本にした動画を公開してくださるそうで、楽しみです。

映像表現を理解する参考文献

山本さんがレクチャーでも触れていらっしゃった諸々の参考文献が、映画主体で、映画好きとしてはめっちゃ興味ありました。

さっそく「映画表現の教科書」を図書館で借りてみたところ、名だたる名作の画面構成による演出意図を紐解いていて、とっても面白かったです! 

特に何度も観ている映画で、意図どおり感じていたな、とか、まったく気づかなかった、とか。強い印象を持っている映画『ピアノ・レッスン』からも事例が多くて改めて見直したくなりました。

そんなこんなで、動画撮影のワークショップから映像表現の捉え方、そして映画にも通じる学びを得た、濃縮した時間でした。原液が濃かったので、これから薄めて追いつきたい次第です。



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