四宮 式

小説作成/ボイス作成・朗読/ゲーム/たまに歌・バイオリン

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最近の記事

夢を見る山 -千葉県木更津市 太田山について-

 千葉県の木更津市に、太田山という場所がある。JR内房線木更津駅から10分程度東へ歩いたところにあって、春は桜がよく咲いて地域の人々の憩いの場となる。僕は少し前……と言ってももう10年くらい前になるが……。あの山をよく見ていた時期があった。  この山について、街の方はいろいろな話を知っている。なんと最初は神代まで遡るらしい。日本武尊東征の折、相模国から上総国まで渡る必要があった。しかし船で渡ろうとしたところ海が荒れてしまい、日本武尊一行をひどく苦しめた。  何とかして波を

    • 【一応、閲覧注意エッセイ】あゝ無常

       人間が喜怒哀楽の怒の部分を表す原因は、「自分の思い通りにならない」ことなのだという。確かに自分は他者が自分の思い通りにならず怒ることが多かった。おそらく15歳頃までそうだったと思う。  ところが高校に入ってしばらくすると、他者に対して感情的に負の感情を表すということが滅多になくなってしまい、この状態は現在まで続いている。  客観的に考えて、ほとんど異常と言っていい。お前が怒ったら大ごとになると友人に言われてしまった。友人も腹が立つ四宮のことを全く想定できないのである。説

      • VSリーグ 5/4 Lilacのパロディ画像まとめ

         Vtuberによる将棋団体戦リーグ「VSリーグ」のチーム常盤台メイ「5/4 Lilac」がレギュラーシーズン中に行っていた試合の告知画像まとめです。 1試合目:ゴーストバスターズ 2試合目:風立ちぬ 3試合目:涼宮ハルヒの憂鬱(不具合で表示されないっぽいのでスクリーンショットを掲載します) https://twitter.com/YotsumiyaS/status/1676835870283005952?s=20 4試合目:君たちはどう生きるか 5試合目:刃牙シ

        • 誰にでも読めるものを書きたい話

           この前、知り合いの大学一年の学生に「レポートの書き方が分からない」と言われた。どうやら社会学の講義らしい。毎回毎回の講義で何が話されていたのかという内容をA4一枚にまとめて、次の授業に持っていく必要があるのだという。 「も~う全然分からないんです~」  と、今年4月に進学したばかりの彼女は言った。普段のほほんとしている自分から見たら彼女は素晴らしい才覚の持ち主であり、レポート一本で苦労しそうとは思っていなかったから自分は意外に思った。  恥ずかしながら大学生の時分、自

        夢を見る山 -千葉県木更津市 太田山について-

          とある夜の追憶

           ぼくが暮らしている街は、抱える人口の少なさの割には、繁華街が発達している。飲みに行くのが好きなぼくは、人付き合いも相まって店主と顔なじみになったお店を何件か知っている。そのすべてが個人営業店で、客が一人でも酒が飲み足りないと言えば閉店時間を延ばしてくれるような温かさを持っている。  数年前の話である。ぼくは深夜1時頃に裏通りにある居酒屋にいた。そこの店主は一見強面で怖そうなのだが話してみるととても物腰が柔らかく、親しみやすい方で良く行くようになった。休日の前の日などはつい

          とある夜の追憶

          編集者に壁打ちをしてもらい、小説を書くモチベについて話題になった話

           本づくりについて話そうと思う。     同人誌づくりという形から始まったぼくの執筆活動は、一番のこだわりを「良い本を作る」ということに据える。だから小説を書くとは言え、ぼくはあくまで本文担当に過ぎない。友人にして戦友のイラストレーターやデザイナーにお願いをして表紙を仕上げてもらい、友人に土下座して校閲してもらい、チーム戦で一冊の本に仕上げる。良い本を作ることがぼくの執筆活動における最大のモチベーションである。  ただ、昨年にある程度、形が見えてしまった。今までにないクオリ

          編集者に壁打ちをしてもらい、小説を書くモチベについて話題になった話

          悪魔との決別

          「貴方は小説をなぜ書き始めたのですか」 「貴方はなぜ小説を書いているのですか」  以上は小説を書いていることを明かした場合、聞かれることが多い二大質問リストだ。前者については簡単である。イラストレーターをやっている友人が俺が表紙を書くからラノベを書いて即売会に出してみろ、と言ったのが始まりである。イラスト料無料と聞いて自分は張り切り、小説を刷り上げた。それでいつしか、即売会に向けて同人作品を書くことが自分の中で定番化したのである。  ところが後者については答えが詰まる。ど

          悪魔との決別

          Mission:AIを小説に活用せよ

           近年のAIの進化には目を見張るものがある。例えば、この絵はAIが作ったものだ。最近のAIは注文者の要望に従い、見事な絵画を作り出す。 ▲AI「Midjourny」に描かせた絵  怖いところは、一定の範囲内であればこのようなAIが無料で活用できてしまうところだ。絵描きAIに限った話であれば、出力された絵の著作権を放棄しているAIも珍しくない。つまりこれを使えば、例えばパンフレットの作成に必要なイラスト代を節約できてしまうことになる。僕は知り合いにたまたまイラストレーターが

          Mission:AIを小説に活用せよ

          四宮が太宰治を愛する理由

           四宮式は太宰治が大好きだ。  この情報は四宮の配信を数回見たリスナーさんなら誰しもが覚えていることで、少々付き合いのあるVTuberさんでも誰しもが知っていることだ。多分それくらい、太宰治について私は配信やTwitterで話している。  しかし、「なぜ太宰が好きなのか」ということについて私が真面目に語ったことは少ない。そこで今回は、「四宮がなぜ太宰治を愛しているのか」ということについて書いていこうと思う。  四宮が太宰を愛する理由は、 「太宰がどうしようもないから」

          四宮が太宰治を愛する理由

          羽生先生の思い出

           羽生先生のことを少しだけ話そうと思う。    実は、ぼくは一度だけ先生のことを拝見したことがある。当時、まだ僕は140センチそこそこの少年だった。ある日、オヤジが僕にあるイベントが近々開催されることを教えてくれた。  そのイベントは埼玉の上尾という街で行われるもので、会場でのクジに当たればプロ棋士の指導対局をうけることができるというものだった。自分たちの運を信じ、オヤジと僕は一念発起、電車を乗り継いて上尾に向かった。誰と指せるか希望は出すことはできず、当たりクジに書いてあ

          羽生先生の思い出

          通天閣本通将棋大会 レポート①【四宮視点】

           友人のVTuberが将棋のリアル大会を行うという話は以前から聞いていた。そのVTuberは公人直人さん(https://twitter.com/KoujinNaoto)と沙久耶さん(https://twitter.com/sakuya_te?s=21&t=CYRMb5czJCEJN7pBGBTq_Q)いう方だ。公人さんはこれまで自分も何度かオフコラボ等をさせていただいていてるし、沙久耶さんも何度もオンラインでコラボさせて頂いている。  そんな彼が通天閣で将棋大会を主催する

          通天閣本通将棋大会 レポート①【四宮視点】

          将棋Vの寿命が長い怪現象を考察する

           VTuberという生き物は現実世界にあまり出力されないものですが、僕は現実世界にも出現する数少ない存在です。同人小説の頒布の為に即売会に行かなければならないというのが主な理由です、Vであることを求めるリスナーもいるだろう、と判断して積極的には発信はしていません。  そしてVTuberの皆さんも……(僕がいる将棋Vコミュニティの人々を例外として)、あまりV同士でオフ会などは好まない傾向にある気がします。  そんな中、僕はかなりのVTuberと実際に対面し、食事をしたり、即

          将棋Vの寿命が長い怪現象を考察する

          爺さんがいた夏

           コミケの原稿を脱稿してから多少の反動があり、1週間ほどVARORANTと原神しかやっていなかった。そろそろ書き始めなければならないと思ったので、リハビリがてら書いていこうと思う。  この前、死んだ父方の爺さんのことを思い出した。きっと戦争を振り返るテレビ番組を場末の食堂で見かけたからだと思う。昭和初期に生まれたぼくの爺さんは戦争を幼少期に体験し、高度経済成長期から平成を生きた人だった。ぼくの実家は三世帯住宅だったから、父方の爺さんと婆さんと一緒に住んでいた。だから小学校で

          爺さんがいた夏

          カエルは飛んでいく

           修業時代に全寮制を3年ほど経験したせいで、他人と同じ空間を共有することに全く抵抗感がなくなってしまった。むしろ誰かと一緒に住んでいないと生活が堕落するのでちょうどよいくらいに思っている。月日がたち、一人暮らしになった後でもうちの書斎にシェアメイトを住まわせるようになった。シェアメイトに請求する家賃は光熱費込みで月3万円。寝室6畳と作業部屋6畳(ただし僕の本棚付きなので使用可能スペースは4畳くらい)が与えられる。ネット使い放題もオプションでついてくる。特記事項は、ぼくが夜遅く

          カエルは飛んでいく

          小説家のYouTube論

           配信でも少し話したが、こういうことがあった。  最近、一年以上前に分かれた彼女にあげる予定だった簪が出てきた。休日に押し入れの中を整理していたら、段ボール箱の横にちょこんと、包装された状態で慎ましやかに置かれていた。  開けるもんじゃないと分かりつつも袋を開けると、プラスチックやらなにやらの素材で綺麗に仕上がったケースの中に、確かに一年前に買った簪が入っていた。こういったものはとにかく始末に困る。このような業の塊のようなものをメルカリに流すのは良心の呵責を感じる。別の女

          小説家のYouTube論

          四宮のフランス体験記#8

           ミロのヴィーナスをそそくさと退出したあと、ぼくはルーブルを相応に楽しむことができた。これは驚いたことだが、名画は名画だから心に感銘を受けるというものでもないらしく、予習が必要だということだ。名画はそれ自体の美しさや実力のみではなく、それらを中心に展開された歴史というものが価値に加わるのかもしれない。  それに、周りの雰囲気というものも大切なのだなとも思った。ラファエロの『美しき女庭師』を見たときは、周りで見ているお客も静かで、まるで絵そのものがある種の威圧感を放っているか

          四宮のフランス体験記#8