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東映「真田風雲録」が好きな人と、友達になりたい。

「SF」+「ミュージカル」+「時代劇」、そして悲しくてやりきれない「青春ドラマ」。それが、東映の加藤泰監督が生んだ大傑作「真田風雲録」である。私はこの傑作を「嫌いだ」という「ネトウヨ」とは友達になりたくない。「真田風雲録」の素晴らしさを理解できないバカは消えてなくなれ。

この映画、先日、ユーチューブの「東映エクストリーム?」で、一週間、無料で配信され、多くの人が鑑賞した。アホのネトウヨは「左翼映画だ!」などと騒いでいたが、そんな料簡の狭いことでどうする、と問いたい。ネトウヨって、ほんと「芸術」がわからないんだよなあ。

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もともとは福田善之の戯曲。舞台劇が原作である。福田善之は「ウルトラマン」の実相寺昭雄監督の回に博士役でちょこっと顔を出します。また、手塚治虫原作のテレビドラマ「バンパイア」の脚本も手掛けています。

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1600年(慶長5年)。戦乱のために親を失った4人の少年少女(六、清次、伊三、お霧)は浮浪の果てに関ヶ原にたどり着き、そこで敗残兵の十蔵、甚八、そして超能力を持つ少年・佐助と知り合って仲よくなる。佐助は生国の信州で赤ん坊のときに隕石の放射線を浴びたことで不思議な力を授かったと話し、やがて姿を消す。残りの6人は力を合わせて生きていくことに決める。

十数年後。成長した6人は東海道で、南蛮の楽器・ギタルを手に徳川政権を批判する歌を弾き語る男・鎌之助と知り合う。鎌之助は「大坂で豊臣方が戦のために日本中の浪人を集めている。恩給がたっぷりと出るそうだ」と6人に教える。6人は鎌之助とともに大坂へ向かうことを決める。そんな7人の前に、成長した佐助も姿を現す。

大坂城の兵士受付所では、百姓たちが押し寄せ、徴募の対象となっていないことに不満の声を上げていた。佐助ら8人のほとんども百姓身分であったため、城の警護兵たちと小競り合いとなり、やがて佐助を除く7人が逮捕される。城内に縛られた7人と、救出に来た佐助の前に、真田幸村とその側近・小助が現れる。幸村は自身の独立部隊を編成するため、身分を問わず闘志のある若者を求めていた。しかし幸村の態度はどこか醒めていた。城内を抜け出た幸村と9人のもとに、隠密活動中だった幸村のもうひとりの側近・望月が現れ、幸村に、豊臣方の武将は比較的少数に終わる、との旨を報告する。幸村は「この戦いには勝ち目がない。みなが自分の目的のために戦うだけなのだ」と告げる。

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8人はそれでも指導者・豊臣秀頼の若さや、豊臣方に有力大名がいないことによる政権の平等性に期待して誘いに応じ、「どうせ死ぬならカッコよく死にたい」と歌いながら、幸村の部隊に加わる。

で、行進する真田隊のバックに流れるのが、天才作曲家・林光の手による「真田隊マーチ」である。


だが、そんな真田隊に・・・。

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中村錦之助扮する「猿飛佐助」はさまざまな超能力を使う。その中に「他人の心を読む」という能力がある。しかし、ひとりだけ、心を読めない人物が「味方の中」にいた。佐藤慶演じる「大野修理」である。彼には「人としての感情が無い」、だから心が読めないのである。大野修理は、次第に真田隊を疎んじ、抹殺しようとする。

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さらに重要な人物として、敵の徳川側からの斥候「服部半蔵」である。半蔵も佐助と同様、超能力を持つ忍者である。それゆえ、半蔵には、佐助の気持ちがわかる。佐助の孤独感に激しく同館するのである。

佐助は佐助で、服部半蔵に腕を切られ「俺はうれしんだ。俺の術が効かない奴がいた。これで俺も人間らしくなれたんだ」と喜ぶ。

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徳川と豊臣の争い(お互いの幹部どうしがズブズブの八百長試合なのだが)をひとつの軸に、もうひとつの軸として猿飛佐助とむささびのお霧(渡辺美佐子)の恋愛がからんでくる。

佐助とお霧は恋に落ち、お霧は佐助の子どもを妊娠してしまう。

そんな中、大坂冬の陣が起こる。

雪の中、出陣する「真田隊」。

豊臣側の裏切りにより、真田隊は挟み撃ちに会い、次々に死んでいく。

お霧を乗せた馬の後に乗り、自ら敵の矢を受け、死んでいく「かわうその六(ジェリー藤尾)」。彼は愛するお霧を佐助に奪われ、失恋しながらも、やっぱりお霧のことが好きで好きでたまらず、自分の命を捧げる。殉教だ。

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大坂夏の陣が始まる。

豊臣側の侍たちは次々と死んでいく。

真田幸村は死体につまづいて転び、立っていた槍に自ら突っ込んでいき、「かっこわるい・・・」と残念な最後を迎える。

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闘いが終わって、お霧と千姫を助け出し逃げのびた佐助。

このとき、お霧は佐助と江戸へ行き「所帯」を持ちたいなどと考えてしまう。しかし、佐助は、そんなこと「許せなかった」。

お霧の前から姿を消す佐助。佐助の前にあらわれる服部半蔵。「最後の決着をつけようぜ!」

半蔵を倒し、ひとり、荒野を歩いていく佐助。

「また、みんなに会えるかな。あいつら生きてるかな。殺しても死なねえような連中だったもんな・・・」

林光による哀愁ただようメインテーマが流れ、この傑作は幕を閉じる。

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うーん、あまりに好きすぎる映画なので、うまく文章にできなかったかなぁ。。。

とにかく、傑作。死ぬ前に観ましょう。

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監督は、天才で夭折した山中貞雄監督の甥にあたる加藤泰監督。組合活動や東映以外の映画人との交流も活発に行った進歩人である。さらにいえば、黒澤明「羅生門」の助監督にいったん付いたものの、黒澤とそりが合わず「アホクサ!辞めたるわい!」と助監督を降りたことがる。すげえ。

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