見出し画像

BANDWAGONESQUE/ teenagefanclub

一番音楽を聴いていたのは1980年代の終わり頃から90年代だった。CDショップで試聴してちょっとでもいいなと思ったものは買っていたし、ライブにもお金の許す限り足を運んで楽しんだ。買い集めたCDは1000枚以上になって眺めているだけでも楽しかったけど、数年前からだいぶ整理をしている。人生残り半分くらい(楽観的?)だと思ってるけど、買い集めた全てを所有していなくてもいいかなとも思えてきて、中にはもう聴かないだろうというものもあったから売却したりして思い切ってかなりの枚数を処分した。本当に手元に残しておきたいものと、もう手に入らないだろう珍盤の類いをのこしたら10分の1以下になって、壁を覆い尽くすような大型のCDラックも処分したら部屋は随分すっきりした。サブスクで聴くことも増えたので、この先そうそうCDやレコードが増えていくとも思えない。本当に大好きな、人生に必要なものだけが残った。
前置きが長くなったけど、このアルバムもそうだ。


BANDWAGONESQUE / teenage fanclub

画像1



このアルバムに出会ったのは大学生の時だからもう出会いから30年近くになる。衝撃的な出会いなんかでは全然なく、大好きだったUKのギターバンドを数多聴いていた中での一枚ではあるのだけど、結局今でもずっと聴いている。teenage fanclubだけは僕の生涯にとって唯一無二の大切なバンドだ。

当時はアメリカからグランジが流行り始めて、マッドハニー、ダイナソーJr、パールジャム、ニルヴァーナ(みんな好き)なんかが世を席巻し出していたけど、一方でUKからはストーンローゼスみたいなマッドチェスター(またいつか別のところで書きたい)とか、シューゲイザー(ライドが大好き。これもまた書きたい)みたいなジャンルが出てきて、どれもギターサウンドを中心にしたバンドで僕をとことん夢中にさせた。

かなり雑だけどひっくるめてオルタナと言われるムーブメントの中で、グラスゴーからするっと現れたのがteenagefanclubだった。僕が彼らに最初にハマったのはサードアルバム「thirteen」で、これを聴いてからすぐ遡るようにして彼らのセカンドである「bandwagonesque」を聴いた。それ以降、彼らは僕の中で大事な位置を占めるバンドになった。歪みを効かせたギターと甘いメロディ、切なく美しいコーラス。スイートな旋律と轟音ギター、そして何となく飄々とした彼らの佇まいが、当時の僕の鬱々とした気分を打ち消してくれるようでなんとも言えず好ましい気持ちに包まれた。


彼らのライブには夏フェスも含めると都合四回行った。30年で四回だから決して多くないけど、来日の度に都合をなんとかつけてできる限り足を運んできた。若い頃はモッシュもダイブもあったし体をぶつけ合うようなエネルギッシュなライブだったけど、彼らの人柄が伝わるような温かなステージだった。一番最近の来日ツアーは2019年の2月。観客は僕も含めた「かつての若者」だけでなくて、ほんとの若者もたくさん来ていたからなんだか嬉しかった。観客が暴れまくるようなライブではもはやなかったけど、メンバーの人柄も温かさも何も変わってはいない。オリジナルメンバーはもう二人になってしまったし、どっちも僕と同じく歳を重ねた。脱退してしまったジェリーの曲は聴けないけれど、とてもいいライブだった。

また来日したら必ず行くよ。その時はまたギターの音に身を焦がし、甘いメロディに溶けながら、僕はまたティーンエイジャーに戻るんだ。

君たちに会えて本当によかった。


この記事が参加している募集

私の勝負曲

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?