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フィットネス大会出場を通して考えたジェンダーのこと

 noteが4年前で更新ストップしていましたが、久しぶりに長文を書いたので、ここに残しておきます。この4年で何があったのかは、気が向いたら書きます。(文章を書いて昇華せねばならぬことは起きず、穏やかな日々を送っていました)

 2020年10月3日にフィットネス大会に初出場しました。筋トレ歴は2年くらいです。

 私は、中高部活等でのスポーツ経験は全くなく、ずっと軽音部でベースを弾いていました。幼い頃は水泳や体操を習っていましたが、あくまでも習い事レベル。趣味も文化系ばかり。30歳超えてからさすがに体動かさなければとヨガを始めました。ヨガは女性専用のスタジオなどもありますが、私がやっていたのは沖ヨガと、フィットネス色の強いアシュタンガヨガで男女問わずやっていたし性別によるポーズの違いなどはありません。
 それが、2年前にV系マッチョに憧れ、BL漫画に登場するマッチョキャラのコスプレをしたいと思い、筋トレを始めました。筋トレYouTubeを見ていると、ユーチューバーたちがボディビル大会に出るためにきついトレーニングや食事制限(減量)をしているのを見て、やってみたいと思いました。でもこれって完全に私の「男」になりたい欲望の表れだったのです。確かに筋肉がついて筋肉質な体になっていくことはすごく自己肯定感につながったし、筋トレユーチューバーと同じ食事をすることで“推し”(男)になれたような気になった。けれども、あこがれるのは男性であり、後から考えると、女性ユーチューバーの動画はほぼ見ていませんでした。
 私が出場したカテゴリーはビキニです。女性ボディビルはビキニ<フィギュア<フィジークと筋肉量が求められますが、審査対象に「女性らしい美しさ」というものがあり、筋肉美に加えて、バストとヒップの強調、髪型からメイクまでトータルの美が追求されます。ステージでのポージングは男性のそれとは全く異なります。時間的余裕もなかったのでポージングレッスンは2回くらいしか行けなかったので、適当にこなしましたが、上位選手の身のこなしは、目線から笑顔(口を閉じる笑顔と歯を見せる笑顔の流れまで決まっている!?)から指先の動きまで全てがとても美しくステージ袖から退場するまで完成された“女性らしい”作品であったと思います。(途中から上位選手の“女性らしさ”に圧倒された私の無表情はめちゃくちゃ減点対象、笑)
 前述の通りほぼ運動競技と無縁の生活を送っていた私は、大会が近づくにつれ、“女性らしさ”を強調した衣装をレンタルしたり、爪を伸ばしたり髪をメンテナンスしているうちに、スポーツは、「男性」と「女性」という2つのカテゴリーが存在し、両者の間に明確な身体能力差が存在するイメージの構築を繰り返すものだということを身をもって体験し、ミソジニーをこじらせた、“男”になれない私は、大会前後は相当辛く、減量の辛さと相まって精神的に参っていました。もちろん途中でやめるという選択肢もあったけれども、そこはここまでお金をかけた意地があったのでやりきりましたよ。
 スポーツとジェンダーについてはあまり深く考えたことなかったのですが、オリパラ関連でそういった特集が組まれたりもしていたので、真剣に読んでみようと思います。
 今後ですが、筋トレは“男”になりたい欲望を叶える材料にはなるので続けます。大会終わった直後は大会にはもう出たくないと思っていました。でも1年に1回はきっちり絞るために大会を目標にしてもいいのかな、と今は思い始めています。上位に入ることは目的ではなく、しっかり絞るためだけ。そして衣装もメイクも身のこなしもあくまでも「女装」だと割り切ってやる。それならできる気がします。“女性らしい”身体イメージの再生産に寄与することになってしまうけれども、それよりも自分の筋肉の方が大事、笑。大会初出場の今回は、得意のコスプレをやっているのだと思えるような、そんな心の余裕がなかったので、次回からは“女性らしさ”を極端に強調した「女装」をしているんだと、思いこむことで、無表情でなく、笑顔で出場できる気がします。


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