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入学者が示す高い“問題意識”・“帰属意識”とGPAの高スコアが、AO入試の評価をさらに確固たるものに

長年行われてきた画一的な通常入試(一般選抜)の問題点が噴出したことで、それに対するアンチテーゼとして、にわかにAO入試(総合型選抜)がクローズアップされるようになった経緯を、前回、見てまいりました。

しかし、果たして、AO入試そのものに効果や意義は、ほんとうにあったのでしょうか。

慶大SFCのAO入試が導入して20年を経過したころ、次のような研究発表がなされました。

「実証分析の結果、AO入試入学者はリーダシップを発揮し、何かしらの課題や目標とともに、SFCに帰属意識を持ちつつ大学生活を送っていると判断することができる」
「特に、AO入試の目的の1つが問題意識の明確な学生を確保するためだとするならば、SFCのAO入試という選抜制度はその趣旨にかなった役割を果たすことができていると評価できよう」

中室牧子氏ほか「「AO入試」の再評価 : 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)を事例に」より 『Keio SFC journal』第14巻第1号、慶應義塾大学湘南藤沢学会、2014年、 178-197頁

中室氏らは、AO入試で慶大SFCに入学した学生たちを追跡調査し分析した結果、彼ら&彼女らは、“リーダシップ”を発揮し、“問題意識”が明確で、さらに、“帰属意識”を持っていることを明らかにしたのです。

“リーダーシップ”、“問題意識”、そして、注目すべきは、“帰属意識”が旺盛である、と。


理想はAO入試に統一したい

“帰属意識”――慶應義塾大のライバル校、早稲田大の鎌田薫前総長は、ちょうど同じころ、このように発言しています。

「AOは駄目な入試といわれているが、実のところ卒業時の成績は一般入試組よりAO組のほうがずっとよい」

週刊東洋経済2015年6月27日号

同記事の中で、鎌田氏は、一般選抜を止めて、
「理想は、AO入試に統一」したい、とまで述べているのです!
 
そして、注目なのは、次の発言です。

「他大学に落ちた不本意入学者を減らしたい」

実は、ここにこそ、早稲田大学の本音があった、のではないでしょうか。


不本意ではなく、帰属意識

鎌田氏のこの発言の趣旨を裏返せば、不本意入学者ではなく、自分の大学に高い“帰属意識”をもった学生に入ってきてもらいたい、ということになりますね。

受験生たちの成績が、大学の偏差値で単純に輪切りにされ、入学先がオートマチックに決められ、受験生は、仕方なく、その大学に入学してくる。
このような不本意学生をできるだけ払拭したい――
そのための切り札としてのAO入試。

こうした考え方は、その後、全国の大学において、AO入試を積極的に導入させる大きな原動力となった可能性があるのかもしれませんね。

大学のランキング、あるいは序列化に対する一種のアンチテーゼ、
としての期待をかけて。


早稲田は6割に拡大

ちなみに、早稲田大学は、2015年12月の記者発表において、
AO・推薦入試による入学者は全体の約4割を占めるが、大学創立150周年を迎える2032年までに6割に引き上げる、とすでに発表しています。
 
つまり、早稲田大においては、通常入試(一般選抜)による入学者は半分以下になる、ということです!
 
早稲田の本気度が伝わってきます。
これから、早大入試のイメージがだいぶ変わりそうですね。


AO入学組の方が、GPAが高い

入学後の成績については、AERAが東北大での事例を伝えています。

東北大は、すでに定員の3割以上をAO入試で選抜していますが、ここでは、前期日程とAOで入学した学生たちのGPAを比較したグラフを示し、AO入学組の方が入学後の成績が伸びていることを伝えています。

東北大の瀧澤博胤副学長は、記事の中で、
「1年生修了時の成績と大学での最終成績は強い相関がありますが、入試成績と入学後の成績はそれほど強い相関はありません」と述べ、
「つまり、大学入学をゴールと捉える学生と、学びのスタートと考える学生では卒業時に大きな差が出るということ。総合型選抜の強みはここにあります」と、AO入試の優位性を強調しています。

毀誉褒貶に晒されてきた、AO入試。

しかし、各大学の試行錯誤の結果、ついに、その優位性が認められてきた、と言えそうですね。

次回は、それぞれの大学が試みるAO入試、その様々なスタイルを
垣間見てまいりたいと思います。


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