オーストラリアで飲んだコーヒーの衝撃が今でも忘れられない
こんにちは。Yozoです。
コーヒーが好きな方であれば必ずオーストラリアのコーヒーカルチャーの素晴らしさを聞いたことがあるのではないでしょうか。僕自身、2012年より4年間オーストラリアのシドニーに住んでいた時の原体験が僕のコーヒーに対する価値観を大きく変えました。
元々、日本にいた時からコーヒーは好きでした。
ドリップをする作法の美しさや喫茶店のようにゆっくり過ごせる空間。また、スターバックスには社会人時代には毎日のように通い、ドリップコーヒーを頼んでいました。というわけで、もちろん好きだったのはしっかりと苦味が効いた深煎りのコーヒー。
新天地のシドニーでも美味しいコーヒーを探すべく、ネットで調べて1番にでてきたのが「Single O(シングル・オー)」でした。時は同じく、現地の日豪新聞を読んでいると、なんとシドニーのベスト・バリスタに選ばれた日本人が働いていることも知り、(現Artificer Coffee代表 佐々昌二さん)ますます 「“ これはいくしかない!”」という運命を感じました。
Single O本店であるReservoir Streetに意気揚々と足を運び、初めて飲んだ「pour over」(ハンドドリップ)コーヒー(正確に何を頼んでのかは覚えてません)はまさしく衝撃の味でした。
「“まず!”」
あの時の衝撃は今でも忘れられません。
思い返すと、プラムやストーンフルーツのような際立つ酸味が、当時、まだ深煎りコーヒーしか知らなかった僕の概念を覆しました。
「‘オーストラリアは本当のコーヒーを全くわかってないんやな!’」
オーストラリアのコーヒーカルチャーを真っ向から否定し、見下しさえする感覚を覚えてます。深煎りのコーヒーが本当のコーヒーと盲信していた自分です。
しかし、2012年の僕は「不味い」コーヒーのためだけに日本へ帰るわけにもいかず、他の選択肢がない状況で仕方なくシドニーで買えるコーヒーを続けて飲んでいくわけです。
それからいつ、どこからこの浅煎りコーヒーが好きになっていったのかは覚えてません。ただ、違う産地や農園という概念もないまま、毎回買うたびにコーヒーの味わいがいい意味で全く違うということが少しずつ楽しくなっていきました。そして浅煎りのコーヒーが心地よくなっていったのです。
そして今度は日本に久しぶりに帰国した時、また衝撃を受けることになります。
元々、京都で大好きだった行きつけの深煎りをサーブするお店がありそこのコーヒーを飲めることが楽しみでした。いつも飲んでいたブレンドのコーヒーを一口つけました。
「“まず!”」
まさか、シドニーで思わず頭の中で呟いたセリフがこのタイミングでまたでてきたことに自分でも驚きました。
オーストラリアの品質の高い浅煎りのコーヒーに飲み慣れた僕はいつの間にかコモデティグレードの深煎りのコーヒーを受け付けなくなってしまったのです。あまりにも濃く、苦く、ミルクを淹れてもエグみを感じてしまいましたが、失礼のないように無理をして飲み干しました。
僕のこの原体験を時々思い返します。日本で俗にいうスペシャルティコーヒーや浅煎りのコーヒーが一般の方々に受け入れられない気持ちを誰よりも理解しているつもりです。
そして同時に大きな希望も持っています。美味しいコーヒーをより多くの方に、一度でも多く、体験していただけることで必ずコーヒーの嗜好が変わっていくと信じています。ただ飲んだことがないから、ただある一定の品質のコーヒーしか市場に出回っていないから、飲んでみることで全員が変わることはないけど、必ず一定数は良さをわかってくれる。
それは僕自身が一番の経験者であり、また、国外の数多くのコーヒーシーンがすでに証明してきたことです。
シドニーの体験から数年後、Single O Japan代表の山本さんとは友人になり、Kurasu Kyotoの立ち上げを手伝ってもらいました。また、Artificerの昌二さんとは台湾のコーヒーフェスティバルでご一緒したり現地にいくときはお互いの店に遊びにいく仲になりました。コーヒーがもたらす繋がりは素晴らしいです!
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