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iPhoneで現像済みのフィルムを見る / なんちゃってデジタルデュープ


iPhoneで現像済みのフィルムを見る

フィルムで写真を撮って残るモノはなにか。それは撮った写真と思い出、と現像後の(ネガ)フィルムだ。私ことアラサー会社員が小学生ぐらいの頃まで、父親はフィルムカメラで私の成長を記録してくれていたと思う。しかし、そのネガはおそらく捨てられているだろう。音楽で言えば“原盤”的なネガだが、個人宅では「ご近所に配るため」などの焼き増しぐらいしか残す理由はないだろう。そのご近所との関係も年々・・というモダンな話は割愛したい。カラーフィルムのネガは保管する環境によって褪色するらしいので、それはそれで簡単ではないのだ。

私はそれほどフィルムで撮影しているわけではないが、徐々に押し入れから溢れつつある。せめて、どうにか楽しむ方法はないか。そこでiPhoneを使ってネガを見てみることにした。用意するのは、iPhoneとiPadのみ。後者については他のタブレットでも代用が出来るだろうし、もしライトボックス(LEDトレース台)があればそちらの方が寧ろ良い。あとは、ネガフィルムに触れるので手袋とブロアーがあると便利だと思う。ただ、これはネガフィルムを減らす方法ではない。結局、捨ててしまうならば指紋やホコリを気にする必要はないかもしれない。

必要なもの

準備と実践

まずはiPadで“Pages(Winで言えばWord)”を開く

空白であればどのテンプレートでも良い
今回は《空白(横)》をチョイス

iPadの画面上に見たいネガを置く

“こう!”

続いて、フィルムを見るiPhoneの“設定”を開く

“アクセシビリティ”をクリック
アクセシビリティ内の“画面表示とテキストサイズ”をクリック
画面表示とテキストサイズ内の“反転(クラシック)”をオン

画面の色が反転したら準備完了
iPhoneの“カメラ”を起動して、先に準備したiPadの上のフィルムを覗く

あら、不思議!

半端なく青みがかっているけれどぼんやりと見えてくる色
マクロモードがあるとルーペのように1枚1枚を見ることが出来る


なんちゃってデジタルデュープ

“デジタルデュープ”という手法がある。他の分野に存在する言葉かは定かではないが、カメラ関連では《デジタルカメラを使い現像済みのネガを撮影してPCで編集をすること》を指すと思う。フィルム写真をデジタルに変換するのは幾つかのやり方がある。1番簡単なのは、お店で現像する際にスマホ転送などのオプションを依頼することだ。もちろん現像以外の料金が発生するが、最近では1000万画素程度のレベルでデータ化してくれる。次に浮かぶのはヘッドスキャナー(プリンター)を使ってのフィルムスキャンだ。だが、スキャナーを自前で購入する必要がある。

スキャナーは1万円以下で探せなくもないが、高画質を求める場合はそれなりの価格と筐体サイズになっていく。私も素人なのでやんわりとしか理解していないが、先のお店相当の画質を求める場合は3200dpi(ドット・パー・インチ)程の解像度が必要そうだ。そこで私の中で思いつく最後の手段が、すでに持っているデジタルカメラを用いたデジタルデュープとなる。しかし、これも本格的にやろうと思うとマクロレンズやカメラスタンドが必要だ。どのような感じにスキャン出来るか分からない中での出費は怖い。そのため、前述と同じくiPhoneを使ってデュープした。

軽い準備

ライト変わりにするiPadの液晶ドット?が映り込んでしまう
そのため、自室のアクリルティッシュケースをiPadの上に置くことにした

アクリルティッシュケースの上にフィルムを置く

iPhoneでデュープ

デュープする場合、画面の色反転は不要

オリジナル(RAW撮影)
編集後

色かぶり?している感じはする
しかし、iPhoneの手持ち撮影でここまで出来るのはなかなか

ライカQ2でデュープ

今回は三脚も使わずにフリーハンドで撮影したのでかなり荒いが、デジタルデュープの雰囲気は分かった。我が家にあるフルサイズ、かつレンズが交換可能なデジタルカメラはソニーの“a7IV”しかない。ただし、マクロレンズを持っていないので買うしかない。と考えていたところ「ライカQ2にマクロモードがあるじゃん!」と思い立つ。先に結果を記すとiPhoneよりも綺麗に撮れた。それでも、Q2は単焦点28mmのレンズでありクロップをしていくと画素が落ちるためやはり完璧とは言えない。こうした場面でQ3を羨ましく思うとは考えても見なかった(特殊すぎる案件)。

ということで、現在はやんわりとソニーEマウント用のマクロレンズを探している。探しているとはいえそこまで種類があるわけでもなく、シグマかフォクトレンダーあたりだろうか。なお、撮影したネガをLightroomなどでモノクロにするのは意外と簡単だ。一方、カラー化は難しく慣れが必要だと思った。この辺りはYouTubeで検索すると諸先輩方が世界中にいるので参考にしていただきたい。私は自前を諦めて“Negative Lab Pro”というソフトを使っている(フリートライアルあり)。今後もフィルム写真の良さを楽しむために、出来る限りのコストは削減していきたいものだ。


これまで

付録

iPhone画面の色を反転してネガを見るという手法は、昨年開催された櫻坂46の展示『新せ界』の演出で初めて知った。このアートディレクターの感覚には驚くばかり。グループとして「フィルム写真を盛り上げよう!」としている訳ではないが、メンバー間ではフィルムカメラが流行っていたり安いコンデジを使っていたりして面白い。フィルムは古いもの?エモい?いや、それだけではないのかもしれない。ちなみに、私がこの展示へ行ったのが昨年夏のこと。以降、本noteで記事化しようと思っていたら2024年3月末になっていた。

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