見出し画像

うるう年。どうして4年に1度,2月が1日多くなるのか?

【この記事の概要】
この記事は,以下のことを説明しています。
- なぜ,うるう年が必要か。
- どのようにうるう年が決められているか?
シミュレーションを行い,うるう年を設ける効果を目でみて理解できるよう工夫しています。


[ サイトマップを見る ]


問題1

うるう年はなぜあるか?

回答

実際の季節の変化と私たちのカレンダーを一致させるため。

実際の季節の変化

春夏秋冬の季節があるのは,

  1. 地球が太陽の周りを回っているため

  2. 地球の自転軸が傾いている

ためです(図1)。

図1. 太陽の周りを回る地球

春夏秋冬と季節がめぐり,また春がくるとき,地球は太陽の周りを一周し終えています。一周するのに,およそ 365.242日かかります。365.242日いうのは,半端な数字ですが,365日と5時間48分45秒です。

実際とカレンダーとのずれ

ところで,1年は365日です。

私たち人間が,今日の午前0時で365日たった,1年たったと思っているとき,まだ地球は太陽の周りを1周し切っていません。一周し切るのには,あと5時間48分45秒いります。

ちりも積もれば山となると言いますが,このズレも4年もたてば,23時間15分4秒になります。1日は24時間ですから,ほぼ1日のずれができるわけです。

実際とカレンダーのずれをほっておいたらどうなる

4年で1日のずれ,まあいいかとほっておいたらどうなるか?

図2はずれが150年の間にどれくらいまで大きなるかを表しています。Python と R を使って作図しています。横軸が年,縦軸が実際とカレンダーのずれです。0からズレるほど,実際よりカレンダーが先に進んでしまうことを表しています。

図2. うるう年を設けない場合

この図からわかることは,120年も経てば,30日,つまり1ヶ月程度,実際とカレンダーとの間でずれてしまうということです。

このまま,ほうっておくと,400年も経てば,100日のずれができます。ずれというのは実際の季節よりも私たちのカレンダーが先に行ってしまうということです。

季節とカレンダーが3ヶ月以上もずれてくると,「冬至にかぼちゃを食べるとかぜをひかない」といったことわざは意味をなさなくなりますし,季節感も狂ってきます。伝統文化の維持も難しいでしょう。農業などへ悪影響も大きいでしょう。

そこで,うるう年

そこで,うるう年の登場です。4年たつと,ずれは23時間15分4秒になるのですから,その4年目の1年は1日多くして366日にしようというのがうるう年です。

うるう年は4年に1回ではない

うるう年を設けることで,実際とカレンダーが完全に一致するかというと,そうではありません。23時間15分4秒と24時間には,44分56秒のずれがあります。

4年に1度,うるう年を設けることで,先に行っていたカレンダーを元に戻すことはできましたが,今後は戻し過ぎです。実際より私たちのカレンダーが44分56秒遅くなります。

44分56秒ぐらいなら,いいかというわけでもありません。ちりも積もれば山となる。

仮に今年のはじめをゼロ年とし,150年たったら,実際とカレンダーのずれはどうなるのか。

図3. 単純に4年に1度うるう年を設けるだけの場合

図3をみるとわかるように,徐々に私たちのカレンダーは実際より遅れ,150年後には1日以上遅くなります。うるう年を設けすぎるのも問題なのです。

またまた一工夫

そこでまたまた一工夫がされています。次のような工夫です。

  1. 100で割り切れる年はうるう年にはしない

  2. 400で割り切れる年はうるう年にする

うるう年を設ける回数を減らす工夫が1の工夫です。これによってどうなるか。図4を見てください。

図34. 100で割り切れる年はうるう年にしない

うるう年を設ける回数が増えるとカレンダーのずれが大きくなるので,100年に一度,4で割り切れる年であっても,うるう年としない年を作る。そうすると,図4のようになります。

99年間,徐々にカレンダーは早くなってきます。まずい。ずれが大きくなる。

100年のとき,うるう年を設けません。そうすると,カレンダーは戻ります。やった!

しかし,注意深いひとは,100年目,戻り過ぎていることに気づくでしょう。

戻り過ぎているので,このままだと,1000年単位で考えると徐々にカレンダーは進みすぎること予想されます。

そこで,出てくるのが,次の工夫,400で割り切れる年はうるう年にする,という工夫です。400年は100で割り切れます。しかし,あまりうるう年にしない年を増やすと長期的にはカレンダーがずれるため,400で割り切れる年はうるう年にすることで,うるう年にしない年を減らしているわけです。

  1. 100で割り切れる年はうるう年にはしない

  2. 400で割り切れる年はうるう年にする

このルールのもとで,今から3000年後ずれはどうなっているのでしょう。

3000年経っても大丈夫

3000年後のずれを計算したものが図5です。

図45. 3000年間の実際と暦のずれ

ちょうど3000年後のずれは,-0.99日。つまり,実際の季節より,カレンダーが1日遅くなっているだけです(といっても年によっては2日以上ずれている年もありますね)。

今回は書いてきて,カレンダーが遅い,早いがこんがらがってしまいました。間違いがあるのではと心配です。わかりにくいかもしれませんし,また何度も加筆修正していこうと思います。間違いなどのご指摘,よろしくお願いします。

関連する記事の紹介


おすすめの本

宇宙のはなしと数学のはなしはとても親和性が高い。

宇宙にある物質の90%以上は正体不明だとこの本に書いてあった。正体不明っていうのはどういうことなのか,そこらへんからわからない。

世の中はわからないことだらけだな。

それでも人間はすこしづつ世の中がどういうふうに動いているのか,データや理論を積み重ねてきた。

人間は進歩しているんだな。

[ サイトマップを見る ]

この記事が参加している募集

読書感想文

理科がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?