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日中英版「はらぺこあおむし」を読み比べて気づいたこと、感じたこと、考えたこと…

名作絵本「はらぺこあおむし」
中国語と英語がまだ幼稚園レベルの僕が読み比べてみてあることに気付いてしまいました…

なんと日本語訳が盛り気味なんです!!
中国の方が盛りそうなお国柄だと思うんですが、
なんと日本語版の方が盛っているとは個人的にはちょっと衝撃でした…

いくつか気になった点をあげていきます。

①日本語版ではあおむしは食べすぎてお腹が痛くて泣きました、とありますが、
英中版には「泣いた」とは一言も書いてないんです!たしかにあおむしの絵を見てみると…
たしかにお腹痛そうだけど、泣いてまではないですね。これは確実に盛っています。
いやけどもしかしたら心は泣いてるってことなのか!?

②あおむしがさなぎになっている時間なんですが、
英中版は「2週間以上」とわりと具体的に書いてますが
日本語版は「何日も」とちょっと想像を膨らませるような書き方をされています。

翻訳者の2週間以上は「何日も」という感覚なんだろうか…いやそもそも原作の2週間以上というのも違う意味でアバウト。
そこで青虫のさなぎの期間が気になったのでググってみたら、春夏は1週間から10日程度、秋冬だと冬を越す場合もあると、そうなれば数ヶ月だそう…
それを知ってたらたしかに「何日も」が適切な気がする。
そしたらなぜ原作は「何日も」としなかったのだろう、、、という新たな疑問が、、、


③最後に蝶になって飛んでいるシーンなのですが、
原作英語版は「美しい蝶になりました!」と事実を淡々と伝えているだけなんですが、
中国語版は「あ、美しい蝶になりました!」とちょっと客観的にびっくりしたのも含まれており、
そして日本語版あたりになると…
「あ、ちょうちょ!」と中国語版よりもさらにびっくりしています。

中国は最後の最後に少しだけ盛ってきましたが、
日本はさらにその上を行く盛りぶりで締めくくってきました!!なんか変に安心してしまった笑。


その他いくつか気になった点は、、、
*英語版は「He」、中国語版は「它-それ/it 」を使っているのに、日本語の主語はずっと「あおむし」のまま
*日本語版の絵のおつきさまがやたら濃くて別人みたいになってるのも気になったし、
*よく見たら翻訳者がもりさんだから盛りぎみなのかなとか…


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日本でも有名なこの絵本ですが、もし翻訳が原作より盛ってなかったとしたら、日本での人気は果たしてどうなっていたのか?と疑問に思いました。

そこでふと思ったのは絵本を読む時ってやっぱりオーバーリアクション気味に話すほうが子供ウケするので、翻訳者はリアクション下手な日本人でもオーバーに話しやすくするためにあえて盛ったのかな〜とか。

英語圏の人や中国人は日頃からわりとオーバーリアクションなので絵本を読む時は、たぶん日本人の何倍もオーバーにやってるはず。いや絶対そう!
なのでそれと比較したら、日本語は多少盛るくらいがオーバーリアクションを誘い、結果子供に与える印象は同じくらいなのかな〜とか(しらんけどw)


**マジメに考えてみました**

オリジナルを壊すことなく書き方、話し方、伝え方、ほんの少しずつ足し算引き算しながら、いかに楽しんでもらえるものを創り出せるか。
翻訳や通訳って本当に難しいなぁと思いつつも、これからAI全盛期になっていく中で、それこそが人間の強みであり楽しめる部分でもあるのかなと。

そもそもHeが「彼」とか、它は「それ」だとか、日本語を中心にして考えている自分。いやむしろそれしかできない自分がいて、まあそれは日本人だからしょうがないんだけど、
けどそれじゃあいつまで経っても本当の意味でグローバルではないのかもしれないし、外国の人が本当に言いたいことや伝えたいことをちゃんと理解できてないのかもと改めて思う(日本人同士でさえ伝わらないこともあるし…泣)

さらに言語だけでなく文化的背景とか世代観とか、「コミュニケーション」ってのは永遠に追求探求していかないといけないというか、もしかしたら永久に答えのない人類の課題なのかもしれない。

母国語だけじゃなく多言語でもそういった言葉選びが、普通に求められるこれからの時代。
多言語や異文化を学ぶのは大変だけど、使いこなせればある意味楽しそうな気がする。

今後も他の多言語化されてる絵本も見て表現の仕方とかいろいろ勉強してみようと改めて思いました。

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