たまのきゅうか

休みなので twitter: @yutomsm

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最近の記事

日記2024年4月⑧

4月25日 晴れ。暖かい。朝家を出たところで子供が「ぐあいがわるいからようちえんにいけない」と言った。年中さんになってからよく言う。急に自信がなくなってしまう、がんばれないような気がするのだろうと思う。毎日がんばっているのだろう。具合が悪くなったらすぐ先生に言って、迎えに行くから、ということを伝えて登園した。 しばらく公園でのんびりした。ムクドリがたくさんいた。5歳くらいの子とお母さんが無言で散歩していた。犬が歩かなくなって抱え上げられていた。観察するモードではなく、想像した

    • 日記2024年4月⑦

      4月22日 霧雨。涼しい。妻にとってはやや寒い。パジャマのままゴミ捨てに出た。今までは着替えたり上を羽織ってから行っていたが、初めてそのまんまパジャマで外に出た。なんとも、やってやったぜという気分である。自分の世界の中で決まってしまっていることが、小さなことでぐにゃりと変化する、もしくはどうでもよくなる。そういうことも自分の中ではクリエイティブなことである。小さな怠惰を創造する。そういう生活ができるとよい。 妻の体調が悪く色々あったのだが産科に連絡して様子見でいいということだ

      • 日記2024年4月⑥

        4月19日 曇り。涼しい。ごみ収集のおじさんが親切だった。大学病院勤務である。空き時間に日本うつ病学会のガイドラインをあらためて熟読した。網羅的で詳しく、よい内容なのだが、物足りなさもある。そこが大事なところだ。発症に至る病態の把握は詳しいが、経過と改善の評価の書きぶりに、なにか迷いのようなものがあるように感じる。回復期には残遺症状にこだわりすぎないと書かれる。症状以外の何かが回復期に現れている。ここに言葉にされないクレバスがある。 大学病院の職員食堂に行った。7年ぶりだろう

        • 日記2024年4月⑤

          4月15日 晴れて暖かい。長袖Tシャツ。マッサージに行った。首肩腰ガチガチですねと言われた。マッサージには押す時間と弛緩する時間があり、また、押している場所と押していない場所がある。体全体を見れば、押していない場所と押していない時間のほうが長い。かといって、一度に押す場所と時間を増やして効率的になるとは思われない。押されていない場所と時間が大事なのである。なんなら押した場所と違う場所が弛緩すると考えられることもある。押されていない場所に効果が出る。マッサージでは部分を通して全

        日記2024年4月⑧

          日記2024年4月④

          4月11日 晴れ。涼しくてちょうどいい。妻はまだ寒がる。私たちは温度の感覚だけは合わず、私が薄着で出かけると信じられないという顔をされる。10℃台後半で推移する日が一番ちょうどいい。つまり今日である。髪を切りに行く。最近若い人で唇にピアスを開けていることが多い気がする。高校生も開けている。流行っているのだろうか。葉桜と唇ピアス。 『高慢と偏見』。11章はビングリーの妹がダーシーに横恋慕し、注意を引こうと頑張るほどダーシーとエリザベスの会話が弾むのがおもしろい。18世紀末イング

          日記2024年4月④

          日記2024年4月③

          4月7日 雨は夜中であがり、朝には曇り。昨日の疲れが出て妻はつわりが強く、私は午前中寝てしまった。昼、子供と2人でたい焼きとラーメンを食べに行った。子供はたい焼きをひとつまるまる食べたあとラーメンも私のを分けて4分の1くらい食べた。うちの子にしてはよく食べた。帰りに駄菓子屋で棒状のゼリーを3本セット50円で買い、「これはおとうさんので、これはおかあさんのね」と言って分けてくれた。ひとりっ子だったから食べたいものはたいてい独り占めできたので、うちの子は食べ物を気前よく配る。妻が

          日記2024年4月③

          日記2024年4月②

          4月4日 霧雨。教官の先生から電子カルテの使い方を教わるために大学へ行く。こんなことをしているのは自分だけなのではないかと思い、どんくさい自分が嫌になって気が重い。とはいえ、だからこそ、喫茶店へ行く。まずは喫茶店に行く。コーヒーを飲んだ。 大学に来た。 約束の時間になっても教官の先生が現れず、連絡もつかない。めちゃ心細い。死にそうな気持ちで1時間待ち、仕方なく、意を決して病棟まで探しに行った。暇そうにしている若い先生を見つけて、わたくしこういうものですと挨拶をすると、教官の先

          日記2024年4月②

          日記2024年4月①

          4月1日 今年度から大学病院でも外来診療をするので新入職員ガイダンスに参加するはめになった。大学病院は久しぶりである。色々なことが変わった。教授が定年で退官してスタッフが減ったから私にも声がかかった。会場は若い医者でいっぱいだった。働き盛り。電子カルテの初期設定に苦労して方々電話をかけ複数部署を右往左往した。さいきん電子カルテシステムが全面刷新されたので私には扱い方がわからない。中途半端な立場で孤独感が募り、情けなくなってどんどん気分が落ち込んだ。大学院生でなくなったので病院

          日記2024年4月①

          日記2024年3月⑩

          3月29日 雨と強風で出かける気を失っていたら夕方まで寝てしまった。多和田葉子『ウタカタのたわごと』を読み始めた。いつもの多和田葉子らしい言葉遣いのエッセイだなあと思っていたらデビュー直後の文章だと知って驚いた。完成している。おそろしい。夕方、雨風は止み、気温が上がって西陽が暑かった。最近天気と心理を同じようなものとして見ることについて東畑開人さんが再考している。心理は天気そのものである。幼稚園の迎えの車の中で寝た子供が到着後も起きず、しばらく駐車場で寝かせた。『イギリス人の

          日記2024年3月⑩

          日記2024年3月⑨

          3月27日 後楽園ゆうえんちで並んでいたときに近くのスピーカーから大音量で絢香とコブクロのWINDING ROADを浴び、その少しあとにデパートの中華屋でまたラテンジャズアレンジのWINDING ROADを聞いてしまったため、令和にそんなにやる曲かね、と思ってしまいそれ以来ずっと頭の中で絢香×コブクロがWINDING ROADを歌っている。2007年の歌だから当時私は浪人中か。調べるとこの年は新潟県中越沖地震の年、パレスチナ自治政府がヨルダン川西岸とハマスの実効支配するガザ地

          日記2024年3月⑨

          日記2024年3月⑧

          3月24日 大学の後輩と会う予定だったのだが妻の体調不良により中止した。ダラダラしていたら子供が退屈して乱暴になり、注意するとしくしく泣いた。テーブルにらくがき帳が出ていて、「よ」「ち」「ま」「し」「つ」と書いてあった。電車で東京駅まで出かけた。車内で落ち着きのない男性が弘中綾香の『アンクールな人生』を読んでいた。同行者と仲がよさそうだったが、風船が割れるように話し始めるので驚いた。子供は寝ていた。『イギリス人の患者』を少し読み進めた。戦場での死を看護することと死地に若者を送

          日記2024年3月⑧

          日記2024年3月⑦

          3月22日 妻の体調が悪くバタバタ。風が穏やかで天気はいい。今日は大学院の学位記伝達式である。アカデミックガウンというのを羽織るが、Lサイズを指定したら丈が長くて恥ずかしい。私は一年休学した居残り組なので学籍番号が若く、座席が前の方であった。ガウンが「身の丈に合っていない」し、どうも気後れしてしまう。会場には学部の同期がけっこういる。みなばかり立派に見える。専攻ごとに名前が呼ばれ、返事をして起立する。ひたすら名前が呼ばれる。私の声は小さかった。学府長の祝辞は「打ち込めることを

          日記2024年3月⑦

          日記2024年3月⑥

          3月19日 今日は外来診察の予約がパンパンに入っている、と幼稚園へ送る車の中で言ったら4歳児が「外来パンパン」という言葉を覚えた。 あっちむいてほいをじゃんけんと組み合わせるのはまだ難しく、あっちむいてほいを単独で遊ぶのだが、4歳児は指をさす側のプレーヤーのことを「鬼」と呼ぶ。 3月20日 妻の祖母の四十九日の法要に行った。妻の二人の兄の家も揃い、子供にとっては従兄弟が全員集合したかたちになった。上の従兄弟は4月から小3と小1、下の従姉妹は2歳で、うちの4歳児にとっては2歳

          日記2024年3月⑥

          2024年3月⑤

          3月15日 ホワイトデーを忘れていた。正しくは昨日思い出したのだが手遅れには違いない。今度何かを選ぶことにする。お昼はJpopのラテンジャズアレンジのかかっている中華屋で小籠包を食べた。今日も天気がいい。午後少し寝た。子供が「お父さんとお母さんがやさしくしたらメダルをあげます」と言っていて、4歳にして人を自分の好きに動かすためにはご褒美を用意すればいいと学んでいるのだと思うと笑ってしまう。幼稚園でそのようにされているのだと思う。罰と恐怖感で操作されるよりはいいに決まっているけ

          2024年3月④

          3月12日 今日は結婚式を挙げた日だった。日付を書くと思い出す。その日もきっと沈丁花が咲いていて、沈丁花は私が子供の頃マンションの植え込みに咲いていた花だからずっと懐かしい。ちょっとした暖かさとともに強い香りがするから今なら春の嚆矢であることがわかるけれど、記憶の中の子供の私はこの肌の生温かさの感覚だけを憶えている。子供には季節というものは大きすぎる。冬もその中に全てが入ってしまうほど長く、春もまたその中で全てが起こるほど長い。幼稚園に入って子供は春夏秋冬を教わる。季節がある

          2024年3月③

          3月9日 妻が昔習っていたピアノの先生と今も仲良くしていて、子供もその先生が大好きなのでピアノを習うことにした。今日が初日で、子供は朝から楽しみ半分緊張半分でもじもじとしていた。とても明るい先生で、教室に着いた瞬間から先生のペースになり、子供は着いて2分後にはすごいすごいオッケーオッケー完璧完璧と言われながらピアノを弾いていた。30分で指の番号からドレミ、ト音記号まで進んでいた。妻が子供は準備運動要らないんだねと言っていたが本当にそうで、状況さえ整えば何でも学びはじめてしまう