見出し画像

【書籍紹介】恐れのない組織ー「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす

あなたは職場で「知識の共有」できていますか?
もしくは、「知識の共有」をしたいと思てますか?

おそらく、多くの職場では出来ていないと思います。
変化の激しい時代を生き抜くためには、組織の学習力や創造力を高めることが重要です。
そんな組織を作るのに大切なのが、「心理的安全性」です。
心理的安全性とは、大まかに言えば「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」のこと。
職場環境にかなりの心理的安全性がある場合、ミスが迅速に報告され、すぐさま修正が行われる。グループや部署を越えた団結が可能になり、驚くようなイノベーションにつながるかもしれない斬新なアイデアが共有される。

この本では、心理的安全性の重要性・心理的に安全な職場の作り方・リーダーの役割などが具体的に書かれています。
また、優秀な個人が集まっても心理的安全性が無い職場では十分に実力が発揮できないことも証明されています。

では、心理的に安全な組織を作るにはどうすれば良いのでしょうか?
個人的に最も重要だと思った5つのポイントをご紹介します。

心理的安全性のある組織の5つのポイント

無意識に計算する人

迷った末に意見を言わない。そんな経験は誰にでもあるはずです。
本書の中では「およそ誰もが1日で何度も行うささやかな判断」と紹介されています。

大半の人は、頭が良く有能で役く立つ人間と思われたいと判断するのです。

人は人間関係のリスクをコントロールできるようになっています。
だいたいの人は、小学校のある時点で他人にどう思われているかが重要であることに気づき、拒絶あるいは軽蔑されるリスクを下げる方法を身につけます。
大人になる頃にはたいてい達人ばりに上手くなってしまうため、意識的に考えることもなくなります。

意義ある行動より、他人にどう思われるかを重視するのは、社交の集まりでは妥当かもしれませんが、職場ではそうした判断は重大問題が起こりかねないのです。
職種によっては、人命が失われたりする可能性もあります。

多くの人は「何も言わず傍観する」ことで、他の人を敵にまわさないようにしています。
発言して愚かに見られることを恐れ、「安全地帯」にとどまることを選んでしまうのです。

時間がかかる重要な問題より、相手が即座にするであろう反応を重視してしまう。
人は「未来を軽視する」ことが多い。


沈黙の正体

尋ねたいのに尋ねられなかったという経験を、おそらく職場でしたことがあるでしょう。あるいは、アイデアを提供したかったのに黙っていたことがあるかもしれません。

人は、言いたい内容が組織や顧客、あるいは自分自身にとって重要だと思われているときでさえ、黙っている場合が多いのです。

職場における、発言についての当たり前になっているルール

  • 上司が手を貸した可能性のある仕事を批判してはいけない
    このプロセスを考案したのは上司かもしれない。思い入れがあるため、気を悪くするかもしれない。

  • 確実なデータがないなら、何も言ってはいけない
    検討・検証し切れていない考えを述べるのは、絶対によくないと思う。

  • 上司の上司がいる場で意見を言ってはいけない
    上司をないがしろにしていると思われるかもしれない。

  • 上司の面目をつぶさないために、他の社員がいるところで仕事についてネガティブなことは言ってはいけない
    情報は、他の社員がいないところで真っ先に上司に伝えるべきだ。そうすれば上司の面目をつぶさずにすむ。

  • 率直に意見を述べることはキャリアに影響する
    上司が返答に困るような発言をすると怒るからだ。

発言するか沈黙するかも計算で、沈黙が勝ってしまう理由

黙っていれば安全であることは100%確信できるが、発言して確実に成果を得られるかどうかは自信が持てないのです。


率直な発言

組織やグループの中で率直に発言できる環境を作ることはとても重要です。
しかし、その重要性に気がついていないリーダーが多いのではないでしょうか。

一般的に、上司やリーダーは答えを持っている、指示を与えることができる、指示どおりに実行できたかどうか評価するポジションにいると思われています。また、上司以外の人々は、指示に従って行動することを期待されている単なる部下でしかないと思っています。

上司が答えと、部下のパフォーマンスを評価する絶対的な権力を持っている職場では、部下は上司を恐れ、発言する内容に細心の注意を払うのが当たり前になってしまいます。その結果、率直な発言は無くなってしまうのです。

率直な発言が安心してできるようになれば、組織やグループの学習・イノベーション・成長に繋がっていきます。

そのためには、上司やリーダーは、自分が全ての答えを持っているわけではなく、未来を見通すことはできないと認めることが大切です。

リーダーが謙虚さを示すと、学習行動に対するチームの積極性が増すことが研究で明らかになっています。

「知らないと認める」と、信用を失うどころか、逆に信頼を得ることになるのです。

良いリーダーは、他の人が発言しやすいように意見を求めます。

気さくで話しやすく、自分が完璧でなくミスをする人間であることを認識し、他者から積極的に意見を求めるリーダーは、組織に心理的安全性をつくり、高めていくことができます。


良い質問

上司やリーダーは、発言を引き出す問いを考えなければいけません。そのために必要なのが、「探究的な問い」です。

しかし、この探究的な問いはとても難しいことなのです。
なぜ難しいのか。それは大人なら皆、向上心が高ければ特に、ナイーブ・リアリズムとういう認知バイアスにかかりやすく、今起きていることを自分は「わかっている」と思ってしまうからです。

本物の質問には、相手を敬う気持ちがにじみ出ます。つまり、相手の意見をしっかり聞こうとする姿勢が伝わるということです。決して自分の意見を押し付けることではありません。

残念ながら多くの会社では、「自分が話す文化」が当たり前になっており、意見を聞く(尋ねる)ことが軽視されています。

良い質問をするための鉄則

強力な問いの特徴


安心して失敗できる組織

人は失敗することが、どれほど嫌なことか。特に職場では誰しも周囲の目や解雇や左遷を恐れ、心配しています。

しかし、失敗がなければ成長はできません。

リーダーは、失敗には「良い失敗」があることと、「賢く失敗する」重要性を認識する必要があります。

グーグルXでは、「実行不可能なプロジェクトを何年もずるずる続けてリソースを使い果たしてしまうより、将来性のないプロジェクトを打ち切ったという理由で人々に報奨金を与えるほうが、経済戦略として優れている」と考えています。

言い換えるなら、何度も試し失敗して大当たりが生まれるということです。

ここでのポイントは、働いている人は今やっている仕事(プロジェクト)がうまくいかなくても大丈夫だと思えることでしょう。

失敗が許された組織やチームでは、積極的なチャレンジができるようになり、発言が増え、良い仕事ができるようになります。

もし、リーダー明確かつ積極的に、不安なく失敗できる組織やチームにしないのなら、人々は失敗を避け、チャレンジをしなくなるでしょう。


まとめ

今回は【恐れのない組織ー「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす】を読んで学んだことを書きました。
書籍紹介というより、私の学びメモのような感じです。

やはり、気兼ねなく発言できる組織やチームは生産性が高いのだと改めて認識しました。
そうした組織やチームを作るためには「心理的安全性」が重要で、そのためには「話を聞く」「意見を求める」「安心して失敗できる」ことが大切なのでしょう。
また、このようなチームを作るにはリーダーの影響が大きい。

社内でリーダー的な役割の人には、是非とも読んでほしいと思った一冊でした。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?