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朝帰りの女の子

ちょっとほっこりしたお話。

片付けなくてはならない仕事があって、朝5時に家を出た。正直そんなに早く出なくても間に合うのだが、これが30分遅くなっただけで電車のシートは埋まってしまう。

座って通勤したいから早起きする、そういう人も少なくないはずだ。

そう、それで。朝5時に家を出て、駅の方から住宅街へ歩いてくる女の子とすれ違った。多分、大学生。

彼女は薄手の落ち着いたワンピースに、ちょっと大きめのグレーのパーカーを羽織り、手元の小さな画面を見て歩いていた。

私は勝手にゆるい想像をしてしまった。

居酒屋で飲んで、2軒目はちょっと雰囲気のいいトコで飲んじゃったりして、気付いたら終電が無くなってて。俺んち泊まれよ、なんて言われて、ありがと、助かる、でも明日予定あって必要なもの家に取りに行きたいから始発で帰るね、と言って一夜を共に過ごす。

朝4時すぎ、玄関でありがとう、と言った彼女に、彼は自分のパーカーを差し出す。流石にこの時間じゃ寒いから着て帰っていいよ、次会う時に返して。あ、ありがとう。そうさせてもらうね。

そうして彼女は少し大きめの男性物のパーカーを着て帰っているのだ。

勝手にそんなこと考えちゃってごめん。

おかえりなさい。

少し肌寒い、でも少し温かみを残した記憶と共に。

私は無事電車で座ることが出来て、しっかり寝て出勤した。

行って来ます。


最後まで読んで下さりありがとうございます。いい日になりますように。