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美術展感想垂れ流し備忘録 -大阪中之島美術館開館記念超コレクション展99のものがたり- 22/3/12

2月2日にオープンしたばかりの大阪中之島美術館に行ってきた。

黒くてシュッとした建築で隣の国立国際美術館とはまた違った良さがある。
・美術館の構想発表から40年。
・建物は遠藤克彦建築研究所の設計。
空間の使い方が贅沢な吹き抜けの構造。長いエスカレーターがかっこいい。
ヤノベケンジの像が館内と庭にいた。

コレクションは関西にゆかりのある作家の近現代美術が中心。
そこまで有名ではない作家の作品も集めており、発掘の役割も担っているとのこと。

今回の開館記念コレクション展では6000点のコレクションのうち400点が展示され、そのうちの99点は作品にまつわるさまざまなものがたりを紐づけて展示している。

400点はものすごいボリュームだった。
着くのが遅くて閉館まで2時間で、後半も面白かったのに最後は時間が足りなくなってしまった。

前半は油断していて色々話しながらゆっくり鑑賞した。
作品の感想を時系列に↓

・佐伯祐三のパリの絵、殺伐としていた。

・岡田三郎助の甲州山中湖風景(油絵)

図録より

空と湖にピンクや紫が混じる、画面の真ん中になだらかな緑の山がある色合いがきれいな絵。
何回か一緒に美術館に行っている色覚異常がある同行者には、緑の山の部分の色が鮭の切り身みたいに見えるそう。同じ絵を一緒に見ていても見え方が人それぞれで面白い。

雪の絵が多いねとなり、大阪って雪が珍しいから心が動くんじゃない?という話をした。
(今思うと3月だから冬の絵を選んで展示していただけかもしれない)

写真の作品は砂の写真が多かった印象。

・椎原治のオブジェ(写真)
色の少ない画面なのに砂、コンクリート、厚みのあるガラス、針金の質感の違いが現れていておしゃれな写真だなーと思った

山沢栄子の写真が全部面白くて好きだった。
AIで絵を生成する体験をした後の今は、AIが描いたような写真やなっていう表現が見つかった。(良い意味でシュールさが)
というよりお絵描きばりグッドくんがこの時代の前衛的なアートの影響をよく受けているということ?

図録より

関西の前衛美術グループ具体美術協会の作品は
迫力のある抽象画やシュールな作品が多かった。
インテリアに白い抽象画が欲しいと思っているので、どれが欲しいかという目線で見てた。

・菅井汲の風の神(油絵)

図録より

1番家に欲しかった。

・吉原治良の作品A
油絵具もりもりの立体的な絵が好きだけど、それよりもっと立体的な白セメントを使った作品。真っ白な画面なのに迫力がある。


有名どころの展示もあり、関西だけじゃなく海外の作品も。

マグリット
モディリアーニ
ジャコメッティ
ダリ
バスキア、
草間彌生 など

お土産のジャコメッティのアクリルスタンド


・森村泰昌の美術史の娘(写真)

図録より

地元和歌山県の中学校の美術の資料集で森村さんの作品を見てからずっと印象に残っていて、今回初めて実物を見ることができ嬉しかった。
想像よりずっと大きい作品だった。

・ジョージシーガルのストリート(立体作品)
思い出深い和歌山近代美術館で見たことがあった。
この二つの美術館はどちらも関西に焦点を当てているからか、コレクションの作家が被っていたり和歌山の教材に載っていたものが見れたりするのかと思った。

・アンドレドランのコリウールの小舟(油絵)
こちらも野獣派として資料集に載っていた作品。当時すでに中之島美術館のコレクションにあったから資料集に載ることになったのだろうか。中学の資料集がバイブルの私は多分に関西の作家の影響を受けているんだろうと思った。

館内にあるバリー・フラナガンのウサギの像も和歌山近代美術館とお揃い。このシリーズめっちゃ好き。

・ジャン・フォートリエの永遠の幸福(油絵)
初めて知った作家。好きだった。

図録より

こういう柔らかく優しい感じのする抽象画が好き。(私はこれが鮭の切り身にみえた)

後半のポスター、デザインのところは時間がなくてゆっくり見れなかった。
ロートレックの有名なポスターがあった。サントリーから寄託されているものだそう。

今回の展示全体的に写真撮影可でした。

ミュシャもあり、
あとはお酒のポスターがたくさん、
あと椅子やタンスとかのインテリアなどが展示されていた。

とっても良かったので公式図録を買った。
図録に書いていた内容紹介↓

新しい美術館を作るとは新しい美術館像を作ること。組織の形、仕事の進め方、利用者との関係などが新しい形でないといけない。
具体的には新しい美術館の役割とは、
①美術資料のアーカイブ。アクセスを容易にして利用者によって新しい価値がつくられるというように、美術の世界を民主主義的なものにする。
②外部の専門家や団体と連携する、美術館はネットワークの1拠点となる。さらに公と民の連携により運営される美術館としては新しい運営形態を取る。
③大阪から新しい視点を増やす。東京という国家の中心とは違う文脈の美術があることを示す。見方や価値観を多様化する試みは西洋中心の美術史観を乗り越えるということ、つまりアジアの美術や女性の美術などにも視点を広げていくこと。

意志がはっきりしている美術館という印象で推せる。
推し美術館がせっかく近所にできたから、これからも全部の企画展を見に行こうと思った。


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