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ビジネススクールで身につける会計✖️戦略思考を読んで--有価証券報告書を分析してみた

はじめに


個人的主観が入ります。ご容赦ください。


本書は決算書を読むにあたって、問題解決意識を持ちながら読めば、その企業の戦略がわかるというものである。
問題解決をするに当たって、
ある事象「What」→「Why」(なぜそうなのか)→「so what」(だから何か)→「How」(どう解決するのか)の流れを取るが、それを決算書を読む上で行う。それが大切であるとのこと。
つまり、仮説検証を行うことで質の高い企業への理解になるということである。

本書はトヨタを中心に決算書を読み、分析し、その企業の戦略、形態を理解する流れである。初めてでは仮説を立てるだけでも一苦労であるため、本書では、初心者用のフレームワークを用意してくれている。

1. 売り上げ 利益は成長しているか?
2. 粗利は高いか?
3. 販管費は高いか?
4. 研究開発費は多いか?
5. 利益率は良好か?
6. 現金は多いか?
7. 売掛の回収は早いか?
8. 在庫の量は多いか?
9. 設備の規模は大きいか?
10. 買い掛けの支払いは早いか?
11. 借金は多いか?
12. 株式のや債券の保有は多いか?
13. 資本金は多いか?
14. 利益余剰金は多いか?

今回はスノーピークという会社の決算書を見ながら、このフレームワークのうち何個かを使って、仮説立案・分析・検証を行っていきたい。

2020年度の決算書を中心に見ていく。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03293/03ab1255/372a/4e6e/b98f/0569137a340f/20210216203014934s.pdf


フレームワークによる分析

1. 売り上げ 利益は成長しているか?
増収増益傾向である。新型コロナの影響でキャンプ需要が増えている。これを期にECの強化を行なったとのこと。

?売り上げは年々増えているが、営業利益は2018年と2019年では変わらない。
→設備投資や開発への投資を多く行った?

2. 粗利は高いか?
粗利率は55.3%である。粗利率はサービスやIT分野(これらは売り上げ=粗利なことが多い)ない限り 20%以上であれば優良であるとのこと。本書では製造業の場合、20から30%が妥当とのこと。
スノーピークの事業領域は広い。私のイメージではキャンプ用品のイメージがあるが、近年、事業戦略が変わった様子である。キャンプ・グランピングサービスや小規模であったアパレルの拡大などを行っているようだ。
ちなみにアパレル業界の粗利では、
しまむら;65% ユニクロ;40% ZARA ;40% となっている。

?高い粗利率を考えると、昔の企業イメージであるキャンプ用品からアパレルやサービスの事業にシフトを行っている様子がうかがえる?
→ キャンプ事業が中心の時も粗利率 50%を超えていた様子。読み違い。(2013年決算)

3. 販管費は高いか?
販管費は7,781,977千円である。販管費率は46%である。ちなみに製造業は粗利を高く出すには、およそ10から20%ほどしか販管費に使えないとのこと。
販管費の内訳を見ると販売促進費が前年比でかなり減っている。
?広告がSNSやコミニュティなどの活用で広告がいらなくなった?
→ https://www.advertimes.com/20170619/article252843/
ユーザーファースト戦略が濃くなっている様子。

5. 利益率は良好か?
良好であり、増加している。
しかし、2017年は減益をしている。
https://www.nikkei.com/article/DGXLRST0414278Z01C17A1000000/

?この影響でアパレル事業の調子が良くなった?
→ http://www.apparel-mag.com/sbm/article/financial/1607
→ 現社長の娘が立ち上げたアパレル事業が成長。2020年には社長に就任し、新体制に。販管費が増加(や販売促進費の減少)したのもこの影響か?
https://yamaijapan.com/lisayamai/

11. 借金は多いか?
短期借入と長期借入合計で20億である。決算書を見ると2019年に大きな長期借入金を行っている。(12億円)
?企業の成長に伴って、金融機関との関係を強固にすることで、企業の持久力を高めるアクションをとった?
→投資活動へのキャッシュフローが20年が前年比べ、12億増とのこと。
19年度に借りた資金をそのまま何かに投資している。
おそらく、拠点投資の記載があったので、キャンプ・グランピングサービスを行うための土地などと考える。
→減価償却費が対19年で1億ほど増加。

以上、フレームワークによる分析を行なった。

まとめ


事業:スノーピークはコロナの影響でキャンプ事業の増収増益、それに対してしっかりと投資を行っている。また、アパレルの成長は良好で、決算書からも今後主軸になると予想。
販売:アパレル事業だけでなく、キャンプ事業も粗利率が高い。トップの交代による販売戦略の変化が色濃い。積極的なECやDXへの投資など若い経営者ならではなのかもしれない。

終わりに


スノーピークへの理解が深まると同時に現在、大きく成長している原因が頭の中で整理しながら理解できた。企業の戦略と形態は決算書に色濃く現れることがよくわかり、財務会計の大切さを知った。

以上



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