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印象的な友達以上恋人未満。その後ゲイになった友人。

今まで生きてきて、すごく印象的だった人が何人かいる。私は一応こう見えても女なので、どちらかというとそう思う人は男性が多いのだが、もちろん女性にもいる。その中で色んな意味で忘れられない人のことを最近ちょいちょい思い出す。

大学の時に知り合った友達。同い年の男の子。ちなみに留学してた先のアメリカの大学で知り合った人。

コンピューターにやたらと強い、第一印象は女々しい感じ。最初の一年で授業が一緒になって、寮も同じで、もともとは飲み友達だったと思う。最初の頃の印象がどうも思い出せないのだけど、気づいたらめっちゃ仲良くなっていた。当時たぶん日本人の中で一番仲が良かった。

よく二人でアメリカ人の知らない人の家で開催されるパーティーに潜り込んで社会勉強をした(笑)私の住んでいた町が特殊だったのかもしれないけど、知らない人んちのパーティーでも普通に入れたし、怪しまれることもなかったし、タダ酒も飲めた。今思うとすごい。マリファナを吸ってラリってる人を見たりして、おぉこれがアメリカか!とか話してたのが懐かしい。

寮にいたとき、よく彼の部屋で飲んだ。二人でビール、ウォッカ。彼の好きなglobeやらLinkin Parkやらを聴きながら、何時間も話してた。飲んでるうちに寝てしまい、そのまま普通に床に転がされ翌朝まで、なんてこともしょっちゅう。そして彼は自分のベッドで寝ているという。薄情だな。

彼はゲイなのではという噂が友人の中でもあり、私もぶっちゃけ疑っていた。

ある時、二人でサンフランシスコのゲイパレードを見に行った。3泊4日。お金がないので同じホテルの部屋で、しかもセミダブルのベッドだった。夜行列車で行ったため、着いたら朝9時くらい。電車で全然眠れなかったので、夜のゲイバー巡りに備えてとにかく寝ようということになり、着いて早々順番にシャワーを浴び、セミダブルのベッドに入る。そしてただ寝る。夕方まで爆睡。何も起きない。

夕方から町へ。楽しかった。想像以上の盛り上がりで、ゲイやレズビアンの人たちが肌を露出し踊り狂う姿に歓声を上げる人たち。私たちもイエーーイ!と言いながら町を練り歩く。

とあるゲイバーに入ったら、彼はラテン系のゲイに拉致された(笑)ゲイしかいないゲイバーに私一人取り残され、話しかけてくれた韓国人のゲイの彼氏にヤキモチを焼かれたり、トイレの順番待ちの中で前後に並ぶゲイ達に「この女の子にキスしたら譲ってやる」「無理無理~」と言われて複雑な気分になったり、貴重すぎる経験だった。この話は長くなるので需要があればまた今度。

電話があってなんとか合流。しかしラテン系のゲイは彼にメロメロだった。ほっぺにキスされまくっていた。酔っぱらっていい感じの私は大爆笑しながら、仲良くなったゲイ達とそれを眺め、「君の友達はゲイの香りがするけどどうなの?」と聞かれ、「知らないよ~自分で確かめて」とか適当なことを言っていた。

その日は結局4時くらいまで遊び、ホテルに戻る。色んな人とハグしまくったせいで不思議なにおいを発していたので、とりあえず順番にシャワーを浴び、先に浴びた私は疲れてベッドのど真ん中で寝ていた。彼は思いっきり布団をひっぺがし、もっとそっちいってよ~(ゲイ風)と私を転がし布団に入ってきた。この日も何もない。

こんな感じを3日過ごす。最後の方はもう私もめんどくさくなりタンクトップに短パン、彼もほぼTシャツにトランクスのような感じだったけど、それでも何も起きない。でも夕方に目を覚ましたらとんでもない距離に彼が寝ていたことがあり、そのまま襲ってみようかと思った日はあった。

ゲイパレードからしばらくして、住むとこがなかった彼は私のアパートに住んでる友人の部屋が空いているのをいいことに転がり込んできた。もう一人いたけど同居人となった。

私はたぶん彼が好きだった。というか気づいたら好きを通り越したような、自分でも分からない気持ちを持っていた。友達だけど触れてみたいと強く思うようになった。

家族の話になったとき、彼が親とうまくいってないことを聞き、親近感を感じたのもあったかもしれない。全然私とは違う関係性だったけど、そこにある不信感のようなものは似ていたと思う。彼がどこか冷めたような感じなのは親の影響が大きいというのも分かったし、私の話も冷静に聞いてくれて批判もフォローもしなかったのはありがたかった。

ある日、同居人がいなくて二人きりだった夜、彼は部屋のドアを全開にして寝ていた。たぶん乾燥機待ちしていてそのまま寝落ちしたんだと思う。あまりにも無防備な姿で寝ているのと、私がちょいちょい覗きに行っても気づかなかったので、キスしてみようと思った。唇1㎝くらいのところまで近づいたけどダメだった。でも10秒くらいその距離で見つめてしまった。

なんともいえない関係が続いていたけど相変わらず仲良しだった。話せば一番合うし楽しかった。一線を越えないほうがいいとなんとなく思っていた。

けどある時、仲良かったアメリカ人と日本人のグループで飲みに行ったときに、気づいたら彼と何人かがいなくなって、こっちが散々心配した後にしれっと別のバーで楽しそうに飲んでいた。それを見た私は怒った。若気の至りとはこういうことをいうのだろうか。嫉妬だったと思うし、そんなの酔っ払いあるあるだと思うけど、なんか嫌になって私は逃走。心配して追いかけてくれた同居人を撒いて、帰宅。完全に私がふてくされただけだった。けど、その私の行動に彼は失望したらしかった。

それからお互い話さなくなり、1か月くらいしたとき、ばったり出会ってしまい、自転車を押しながら久々に話をして、「あの時のあの態度を俺は許せない」と言われた。私もそれなりに弁解したけど結局そのまま分かり合うことはなかった。その後私はしばらく病んだのだけは覚えている。

彼はその後、日本人グループとはあまり関わらずにアメリカ人の友達とつるむようになり、そのまま卒業して別の州で働くことになった。もう会ってない。同期の日本人の友達からの情報によると、彼はゲイとして覚醒したらしく、今はオープンにそういうグループに属してることを公表しているらしい。

私はあんまり自分の人生から自然に離れていった人に対して後悔だとかそういう感情を持たないようにしているが、彼は特別だった。彼とそのまま友達関係を壊してしまったことを私は今も後悔してる。それは男として好きだったからかもしれないし、それ以上に友達として大好きだったんだと思う。今まで出会った誰よりももしかしたら私に影響を与えてくれた人かもしれない。洋楽を教えてくれたのも、不思議な思考回路を教えてくれたのも彼だった。短い時間だったけど、濃くて、楽しくて、私らしくいられた貴重な時間だった。

もう会うことはないけど、大切な人。ごめんね、ネタにして。

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