〇お金があれば幸せなのか？

≪本質を考える≫

・皆さんは子供に「お金があれば幸せ？」と聞かれたらどう答えますか？
　少し哲学的な思考も入りますが、私が考える「お金」について説明したいと思います。

・お金の本質を一言で論ずると「交換手段」です。大昔は金やお米が人々の交換手段でした。つまり紙幣や硬貨でなくても、「共通認識」という価値を与えればなんでも良いのです。現代の１万円札を1,000枚持って江戸時代にタイムスリップしたとします。その紙幣で食べ物を交換してもらえるでしょうか？答えはNOです。つまり共通認識の元で発生する「信用」であり、紙幣や硬貨はお金の本質ではないと言えます。

≪資本主義との分離≫

・お金持ちが豊かかと言うとそうではありません。お金の量で順位付けする判断は子供にとって悪です。そういった競争社会で順位付けされる現代では子供が劣等感を感じやすくなります。なので、お金で得られることと得られないことを教えてあげることが大切です。

　◆お金で買えるもの

・家、衣類、食材、飛行機等の乗車券、娯楽等の経験などが購入出来ます。これらは所有することや、一時的な欲求を満たすものとなります。つまり、お金は一定の幸福を得る手段となりえますが、永続的には続かない。人間は知ってしまうと飽き、資本主義である限り上限なく追い求めてしまいます。なのでパパ活の様な出来事が生まれ、女性側はそこで得たお金を自身の美容やハイブランド商品を所有することに転換し、SNS内で承認欲求を満たす悪循環に陥ります。これが資本主義による弊害であり、よりバーチャルな空間を人々は求めています。

　◆お金で買えないもの

・愛情、友情、健康、生きがいなどはお金で買えません。これらには共通して所有という概念がありません。こういった所有以外の感情や経験に人生の価値が出ると考えます。お金で買えないものには長期的に豊かさをもたらす力があります。特に仕事の面でやりたいことをやっている人は極めて少なく、幸福感はとても高い状態にあると考えられます。

　以上のことがお金で買えることと買えないことですが、小さいころからお金で買えない部分の教育を行っていくことが非常に重要です。とはいえ資本主義の中で生きているので金融教育も大切となってきます。
　では、具体的にどういった教育を行えばいいのか？身近な例から一つ考えを記載しようと思います。

〇身近な例から金融教育を行う

≪お年玉について≫

・お年玉を貰っている世代からすると、紙幣がお金だと錯覚しやすいです。日本ではご祝儀などの文化があることで、紙幣を喜びに感じやすいと思いますが、その裏にある本質を教えることの方が重要ではないかと思うのです。

　お年玉の起源は中国の「圧歳銭」と呼ばれる風習から始まっています。これは新年の始まりに、子どもたちの健康と成長を願うとともに、一年の間に災いがないようにという願いを込めてお金を贈るものです。本質的には利他的な心が込められています。そういった背景を教えていくことで、形に捉われない考え方を教える場となります。お年玉から教育出来るポイントは下記の通りです。

　◆使い方の教育

①寄付活動への参加: お年玉の一部を子供が選んだチャリティーや社会貢献活動への寄付に使わせることで、他者への思いやりや社会への貢献を学ぶ機会とします。寄付の先を子ども自身に選ばせることで、関心を持っている社会問題について知るきっかけにもなります。

②家族や友人へのギフト: お年玉を使って家族や友人へのプレゼントを考えさせることで、相手を思いやる心を育みます。贈る喜びや感謝の気持ちを表現する重要性を学ぶことができます。

上記お金の使い方により利他的な心を学ぶ機会になると思います。これらは物質的な幸福とは違う豊かさを子供が学ぶきっかけとなります。

　◆金融教育

①予算管理の練習: お年玉をどのように使うかを計画させることで、予算管理の基本を教えます。支出、貯金、寄付など、お金の使い道をカテゴリー分けして計画を立てさせることが重要です。

②貯金の習慣: お年玉の一部を貯金に回すことで、将来のためにお金を貯める習慣を身につけさせます。目標貯金額を設定し、それに向けて計画的にお金を貯める楽しさや重要性を理解させることができます。

③投資教育の導入: より進んだ金融教育として、お年玉を使った簡単な投資の概念を紹介することも考えられます。例えば、子ども向けの投資信託や株式などへの投資を通じて、お金が増える仕組みや投資の基本を学ぶことができます。

　これらの活動を通じて、子供は自分だけでなく他者への思いやり、お金の責任ある使い方、そして貯金や投資などの金融知識を身につけることができます。重要なのは、これらの経験を通じて子供が楽しみながら学べるような環境を整えることです。

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