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あなたは組織がわかってない

僕は学生から自身が立ち上げメンバーとなった会社で18年間仕事をしてきたので、会社勤め経験がない。
なので、出来上がった一般的な会社とか組織の成り立ちや仕組みをきちんと、理解してないという負い目みたいなものを感じていた。


前職でも、人が増えてきて、大企業での社会人経験や幹部経験がある人たちが入社してくると、よく「あなたは組織ってものが分かってない」とか、「普通の組織ではこんなことは考えられない」とか、色々指摘や批判を受けた。 

でも、今になってよくよく考えてみたら、その人たちだって、せいぜい知ってるのは数社じゃないかと。仕事がら色んな企業や組織と接するし、その中にどっぷり入って仕事をしたりすることで、間接的にいろんな組織のことを知ってる、というケースはあるけど、実際に働いたとか、マネジメントしたというようなレベルで云えば、せいぜい数社だ。

この世の中に何百万という会社があるなかのほんの数社、数十社を知ってて、それが「普通」だとか、「一般的」だとかって言い切るのは、どんなもんなのか。会社のステージや背景や競争関係も違うし、当然、そこで働いてる人たちも違う。同じものなんて何もない。なのに自身の経験や体験を唯一絶対のものとして捉えてしまうのは、それこそとんだ思い上がりなんじゃないか。その時の経営や組織がうまくいったのは、その時代や人や競争環境や、さまざまな要因が絡みあって「たまたま」だったかもしれないじゃないか。

自身が信じる価値観に則って、どう組織をつくるかは、経営者やマネジャーの仕事だが、そこに何か唯一の正解があるわけでもない。色んなところのうまくいってるやり方だけを集めて、繋ぎ合わせたら、最高の「うまくいく」組織ができあがるわけでもない。

結局、その都度都度、考えながら、その組織にとって良いことは何か、どうすれば良くなるかを考え、トライ&エラーを繰り返していくしかないんじゃないかと思ってる。これをやったら何もかもうまくいく、みたいな劇薬は、もしかしたらあるのかもしれないが、多分、あったとしてもそんなもの使えば、何か副作用も大きいに違いない。僕は、そんな万能の処方箋は「ない」と思ってるけど。

なので、経営理論や組織論、マネジメント本やら、いろんな経営者の成功談や組織運営方法は勉強しつつ、参考にしながらも、それはあくまでも参考レベルとして、今、目の前にある組織に対して、何が必要か、どうあるべきかを考えて判断していくようにしたいと思ってる。

最近はそんな風に考えるようになって、以前まで感じてたコンプレックスを払拭することができた。というか、むしろ、開き直りに近い感覚で、「普通の組織では考えられない」なんて批判があれば、堂々と「あなたが思う普通が普通であるかどうかなんてわからないし、そもそも普通の組織と同じでなければならない理由なんてない」と言い返せる自信みたいなものもついた。

自分でも、まだ自身が経営する組織をどうしていくのが良いのかというのは、手探りの状態で、たぶん、これはずっとずっとそういう状態が続いていくのだろうなとは思う。 そして、自身の経営スタイルというか組織観だとかが、他の組織にもうまく適合できる普遍的なものだとも思わない。

なので、僕は人様の会社の経営に対しては、こうしたほうがいいとか、こうすべきみたいなことは絶対に口にしないつもりでいる。​

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