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2022.12 市井ウォッチ16  中年のエイジズム

シニア女性らの井戸端会議こそが日本の「世間」の縮図である。 これはそのウォッチの記録である。

▼安倍氏事件と、高市評

マダムたちは容疑者に同情的である。
「(容疑者に)女性のファンがついて、差し入れもたくさんあるんよね」
これが世間の声であろう。私もその同情は理解する(あのような態様の殺人事件を許容するのとは全く別です)。

ここから、思わぬ話が聞けた。

奈良にゆかりのあるマダムの口から「選挙における高齢者票問題」が飛び出したのだ。

「ほんとに、いろんな不運(あの場所、ケガの箇所が悪かった等)が重なって、亡くなってしまってねえ」(本来このマダムは自民党も安倍さんもあまり好きではない)
「奈良の候補が弱いから、高市さんが安倍さんを演説に呼んだんかなあと思ってた」(これは完全なマダムの推測)

(ここから奈良に住んでいる人に聞いた話として)
「奈良では高市(早苗)さんて、そこまで若い人には人気ないんやって。でも高齢者が票を入れるんだって。だから当選するのよね」

おお・・・。
民主主義の構造的な問題点を実際に感じられる一言だった。

関西では、電車1本でいける「神戸~大阪~京都・奈良」は「近畿圏」である。コロナ初期の頃、大阪と兵庫で緊急事態宣言を一緒に出した時、東京に住んでいた私は非常にびっくりしたが、住んで分かった。私は特に大阪寄りの兵庫に住んでいるので、あまり「ここが大阪で、ここから兵庫」と意識しなくなるのだ。ちなみにダウンタウンと堂安律選手を出した「尼崎」は、大阪じゃなくて兵庫県である。
住んでいると、あまり1県1県別の感じがしない。地域のカラーはそれぞれしっかりあるのだが、不思議な一体感がある。これは実際住んで電車移動していないと分かりにくいかもしれない。
関東における東京・埼玉・千葉と同じような感じである。
ちなみに、関東において、北関東(群馬・栃木・茨城)は「ちょっと遠い」イメージがあると思うが、それが関西における「滋賀・和歌山」である。なお三重県は近畿とは別である。三重の話はほぼ出ない。


▼コロナ対策

「もうええんちゃう?」の声。
一方で「年取った男の人でマスクを(顎まで)下げてる人いるよね…」。
おそらく、【規制は撤廃し、ワクチンもなくてもいいが、マスクだけし続けたい】ということなんだと思う。
私もおおむねこういう気持ちである。他人がしないのはもうしかたないが、私はしたい。少なくとも冬は。顔が寒いし。

だが・・・
「若い人はワクチンせえへんよね」
「若い人たちがもういろいろ動いてるから。繁華街もすごい人」
「若い人は重症化しないもんね」
マダムたちの揺れる気持ち!!! それも分かる。心が「ぎゅっ」てなる。

コロナは思わぬ世代間の軋轢を生み、そしてそれはおそらく何十年も消えないだろう。
上世代の若い人への”嫉妬”。若者の上世代へのいら立ち。
いや、これはもともとあったものだ。普遍的なものだ。日本は儒教的教育でそれにフタをし、ずっと抑え込んできた。そのフタが飛んだんだなあ。そして、老人でも若者でもない、40代はなんと中途半端な年代なのか・・・。

▼高齢労働者問題

とあるマダムが「高齢者のレジは選ばない」と言っていた。
このマダムはおそらく50代なので、高齢者とは70代以上をさすとみられる。

「若い人のレジを選ぶの。てきぱきしてるし」
「おばあちゃんはレジを通すのに必死。カゴの中身の配置まで考えてないから、イチゴの上にジャガイモを乗せられた。イチゴがつぶれた」
「肉屋に行って、お金を払ったのに品物を忘れられ、『品物をください』と遠慮がちに言ったら『渡しましたよ』って言われた」
「認知も入ってくるし」
(※このマダムは、お年寄りの「あれ」な行動は全て認知症とみなす癖がある。「認知が入る」というのは、おそらくこの世代特有の「少し認知症気味なのかな」という意味の造語です)

これは、マダムにも私にも何十年後かに自分に跳ね返る言葉である。

しかし。天に唾する行為であると分かってはいるが、私も正直思うのだ。
いつまで高齢者を働かせるのか。
「いきいきずっと働こう! 働きたい!」と言っても、IT機器が使えない、人の話を聞かない、間違えても謝らない、動作は遅くなる・・・こういう労働者を一緒に働く人が受け入れ(我慢し)、消費者も受け入れ(我慢し)ないといけないのか? 機械の方がいいよ。

そしてここにもうっすらと、若い人・若さへの羨望と嫉妬が感じられるのである。

そもそも20代の人や、子どもから見れば、「おばあちゃんがおばあちゃんに文句言ってる、どっちも老人でしょ」という。。。

東(浩紀)さんは日本はエイジズムが問題だと喝破しているが、どうにも高齢化社会の日本にいると、「高齢者が目に付く」のでこういう気持ちになってしまう。それはいずれ自分の首を絞めることになるのだが。

あと「老いが怖い」のと「若さがうらやましい」は表裏一体のように見えて、微妙に違う気がするのだが、その辺もそのうち考えられるといいな。

▼物価高

マダムたちは毎週、物価の話題を出す。ここ3か月くらい、マジで毎週、物価が高いという話をする。
お正月も近づいてきて買い出しもあるので熱がこもる。
「今年はイクラも高い」
「スモークサーモンも高い」
「蓮根が安い!」
「ほんと安い!」
「クワイはどうか」

※クワイって東日本の人も分かりますでしょうか? …ちいさなまるっこい芋みたいなの(正確にはイモではないらしいが)から、ツノみたいな芽?がにゅっと出てて、ちょっとかたくて、それほど味もしない(笑) 
少なくとも私は、おせちの時期にしか見たことない。

物価高が悪いのではなくデフレが悪い、とシラスで教えてもらったのだが、やはり、値段が高いとびっくりするのが人間である。
麻生元首相はカップラーメンの値段を知らなかった(「400円くらい?」と言って不評を買った)が、物価高(デフレ)を体感すべく、日銀の黒田総裁も週3でスーパーで買い出しすべきだと思う。マジで( ゚д゚) !


▼うまく書けないやつ

あと、精神障害者が受け取っている生活保護受給についてのモヤモヤ(精神病は治らないの? 1度受け取ったら働かなくなるのでは?)という話題が、あった。

その人たちに払っている費用と、例えば増税しようとしている防衛費とどちらが大きいのだろう。あるいは使われなかったコロナ予算。結果的に失敗した数々の政策。

精神病の分かりづらさ、周りの人の「困難」、社会での受容の難しさ。

日本全体を「不公平感」が覆っている。
日本は「クラス(階級に似たもの)」があるのに、見えにくい
→みんな「同じ」でしょ?
→私もつらいんだからあなたも我慢しなさいよ。
→何であんただけズルしてるの? 
になりがち・・・。
精神病で働けないのはズルじゃない。ガンやケガと同じ。違うのは完治しにくいこと。ずっとつきあっていくことが求められる。
日本は世界から見たらこんなにも豊かなのに、みんな誰かに嫉妬してる。
もったいない国だ。
この根暗さと悲観主義(よくいえば繊細さ)が、日本の文化や文学の根幹にあるのかもしれないけど・・・。
こんなにも豊かなのに。幸せになりにくい国。


▼市井ウォッチのもと→「やばい私、やばい国」
https://note.com/yudetaito/n/n8334a1546e1a

▼構成員はこちら。
職場は女性のみ若干名(40~60代)。結婚していて子どもがいる人、独居・独身・子どもなしの人がいます。

 
言ったことをそのまま収録しているので、ソースや真偽は不明です。ノーエビデンス。

今週はここまで。

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