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記事一覧
毎日超短話604「カツカレー」
今日は学校にいかない、と布団でまるくなっているこどもに、夕飯はカツカレーだよと伝えた。じゃあ、行く。と彼は答えて、着替始めた。カツカレーは、学校行ったあとがいちばんうまい、と言いながら。
おつかれさま。
一年前の超短話↓
毎日超短話603「ホームラン」
それは打った瞬間にわかる花火のようなホームランだった。バッターは「いってきます」と言って悠々とバッターボックスを出た。ダイヤモンドをまわる途中で、花を愛でたり、アリの行列に並んだり、たんぽぽのわたげに息を吹きかけたりしてるものだから、なかなかホームに帰ってこない。まあ、いいか。ゆっくり帰っておいで。
*
妻の詩↓
一年前の超短話↓
毎日超短話601「しあわせ沸点計」
片想いをしている友だちが、「しあわせ沸点計」のテスターを手に取った。体温計みたいなそれは、しあわせの沸点を100℃として、現在どれくらいのしあわせかを測ることができるのだという。
「41℃だって。お風呂だったら、ちょうどいいね」
ちょうどいいなら、このままのほうがいいのかもしれない。同じくらいの温度なら、の話だけど。
一年前の超短話↓
毎日超短話600「曇り傘」
曇りの日は頭痛がするという彼女は、傘を差している。雨傘でも日傘でもなくそれは、内側に青空が描かれている、曇りの日の傘。少しでも頭痛が和らぐようにって、彼女は言う。なんにもできないぼくは辛くて少し泣いてしまった。
あ、虹。
傘の青空に虹が架かっている。
ありがとうと言った彼女を、ぎゅっと抱きしめる。
一年前の超短話↓
毎日超短話599「三日月と猫」
いつもうちに来ている野良猫が最近来なくなった。猫は死に際がわかるっていうからね。とおばあちゃんが言う。死んでしまったかどうかはわからないけれど、三日月の日には、月に腰掛けているのを、わたしは何度も見かけている。
一年前の超短話↓
毎日超短話598「小さなアスリート」 #青ブラ文学部
小さなオルゴールの中に小さなアスリートがいて、オルゴールの中の出っ張りのところを乗り越えている。こんど「SASUKE」に出るんでね。と小さなアスリートは言った。同じところで転んでいるので、ゆっくり回すことにする。
こちらのお題で投稿させて頂きました〜🙇
一年前の超短話↓
毎日超短話597「ナビゲーター」
行きたくない場所をカーナビに入力しようとすると、なんどやっても「目的地が見つかりません」と言われる。試しに行きたい場所を入力すると、「目的地付近です」と言われた。そっか、もう目的地に着いてたんだっけと、車を降りて家に戻る。家族が「おかえり」と迎えている。
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先日、ライブでブルーハーツの「ナビゲーター」を歌いました。ノリノリの息子の様子をよかったらご覧ください。
一年前の超短話↓
毎日超短話596「休」
ぼくはあした木になろうと思ってるよ、休みだからね。と言った昨日のともだちを、川沿いで見かけた。すっかり緑になった桜の木を抱きしめている。一日中それを見ていて、日が暮れた。ともだちが木から離れて、ぼくらの休みは終わった。
一年前の超短話↓
毎日超短話594「ミニシアター」
ふらりと入ったミニシアターで観た映画に、ぼくがちょこちょこと出ていた。配役でいうと、エキストラの立ち位置。喫茶店とかエスカレーターとか通勤路あたりにちらちらと。
映画が終わって明かりがつくと、観客が一人だけいた。主人公だと思う。会ったことはないけど、ずっと隣の隣の隣あたりにいた人だ。お互い気付かないまま。そういう映画の一員がぼくにもたくさんいるのだろう。
一年前の超短話↓
書籍版毎日超短話&
毎日超短話593「ペンギンの名残り」
ペンギンだったころの名残りで飛べないんだけど。と、彼は空を見上げている。でも、ペンギンの名残りで、並んで歩くのは好きなんだよね。告白の返事がイエスかノーかはわからないけれど、わたしにもきっと、ペンギンの名残りがある。
一年前の超短話↓
書籍版↓
毎日超短話592「モバイルオーダー」
ファストフードのモバイルオーダーのメニューに「エール」という文字があった。ジンジャエールの間違いかと思いながら、ポチッとそれを購入する。やってきたのはやっぱりジンジャエールだったけれど、紙ナプキンに「フレー!フレー!」という文字と、チアリーダーが踊る絵が描かれていた。
「応援してます」
店員さんは、そう言って握手を求めた。思わず手を差し出して握り返す。そのぬくもりで、静かに涙をこぼした。
一