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スズキを1本仕入れたら

北フランスの港町にめずらしく初雪が降った、日曜日のこと。

雪やこんこ❄️


前日、北フランスの内陸から港町まで戻ってきていた我々は、雪が止むのを見計らって、恒例の日曜お散歩買い出しで港まで降ることにした。家の中は暖かいせいか外気温を完全になめてて、海風のせいもあり体感温度マイナス3度。危うく凍結5秒前。

寒くても魚市場はひとがさかん。英語とかオランダ語(たぶん)もちらほら聞こえる。

目の前で剥いてくれるホタテ
にしん大量売り
皮剥きされたサメちゃん🦈
定番のヒラメとかタラなんかも


私がじっくり吟味しながら歩くのと反対に、いつもは早足で見てみないフリをしながら通り過ぎるOtto氏が、突然立ち止まった。視線の先には獲れたて天然のスズキ(Bar)。しかも特価。プチバトー(小さい船)で獲ったってのがまたいい。「1月からは繁殖期になるから、並ぶのは今月が最後よ」とマダム。

美しく整列しているスズキ

いつも2人で行く時は、私が欲しいと言ってフィレの魚かヒラメを買うくらいしかしないけど、今日はOtto氏みずからこれを買いたいと言う。こりゃー雪が降るわ・・・あ、すでに降ってたわ。

正面から。光り輝いておる

ということで2kg近いスズキを1本、うろこと内蔵だけ取ってもらう。
さらに生牡蠣1ダースとチーズとパンを仕入れて帰宅。


夜、主役の準備をしましょうかね。スズキさんいらっしゃい🐟

店で頼むと大抵うろこ取りがあまあまなので、さらにうろこ取りした

いつもは塩釜焼きにしちゃうけど、Otto氏がこの調理法気に入らないらしいので(謎)、ただのオーブン焼きでいこう。

フランスにきてから肉も魚もかたまりで調理するのが好きになった私、今となってはひとりごはんで丸鶏を調理するくらいのかたまり料理愛好家。であるからして、こんな大きな魚一本調理できるだなんてこれほどうれしいことはないね。

全長約50cm
オーブンにジャストで入り切るサイズ(よかった・・・)

昆布としょうがと酒で和風にふってもよかったけど、今日は義母もいらっしゃるので洋風にしようかな。天板にアルミホイルとオーブンシートを敷いたら、たまねぎとレモンのスライスを敷いて、塩胡椒をまんべんなく振ったスズキをその上にのせる。

生タイムを仕入れられなかったので、乾燥で・・・(悔恨)
ローズマリーで囲んでみました

あとは内蔵ににんにくとハーブ(タイムとかローリエなどお好みで)を内蔵に詰め込んで、オリーブオイルをまわしかけて200度に予熱したオーブンへいってらっしゃいよい旅を!

海の恵み
あなたのおかげで私は生き伸びてますありがとう

オーブンに入れて焼いている間にすることは、付け合わせの米炊きと前菜の生牡蠣剥き。

生牡蠣むきは数年前に買ったボンマルシェのエピスリー館のものを使っている。これ、定価だと80ユーロくらい(だったかな?もっとするかも)なんだけど、いやーいくらなんでも高すぎでしょうが!とスルーしてたら、やっぱり売れなかったのかとある日8割引きくらいになってたから買った。先見の明(笑)

これにレモンしぼり器的なものもついている

この牡蠣ナイフ、剥きやすいのでちゃちゃっと剥き終わってサクッと前菜として流し込む。義母と半分こ。冬の味がするねえ。

No2サイズだからそこそこの食べ応え


さて忘れちゃいけないスズキさん。オーブンINしてから20分くらいたったところで、白ワインを1カップくらい加えてアロゼしながらまた20分くらい焼く。

いい感じに日焼けなさって・・・

そうそう、最後にバターをひとかけのせて5分くらい焼くとよさげ。

磯の香りが充満サイコウ


サラダとか洒落た葉っぱ的なものがなにひとつなかったので、米&取り分けたスズキのみの超シンプルな一皿。

米にはゆかりとゆず胡椒ふりかけちょいふりしてます

焼き加減がちょうどよくて、ふっっくら、ジューシーな仕上がり。私天才じゃない?(いやオーブンのおかげ)フランス人の方々には焼いたときのジュをそのままソースとして身にかけて出したけど、私は醤油たらり&わさびでいただく。

皮ももれなく平らげますよ
一番栄養があるから!(亡き祖母の教え)

美味しい魚を食べるたびに言ってるけど、私はやっぱり肉より魚派!!
がっつり肉派なOtto氏も義母もサカナ美味しい!と絶賛していたから、今後も着々と「オサカナサイコウ」を洗脳していきたいものだ。



さて、3人分の夕食でいただいても、まだまだ身もアラも残っているスズキさん。

翌朝、アラとお頭をたまねぎとかにんじんとかネギとか適当に放り込んでぐつぐつさせて、スズキのアラ出汁をとっておく。

色々はしょりまくっている、なんちゃってフュメドポワソン


米と魚とこのアラ出汁があったらば、なんてったって茶漬けでしょ!
サクッとスタンバイ完了。

このゆず胡椒ふりかけなかなかイケてる

スズキの身をほぐして米の上にのせたら、ふりかけをふりふりしてアラ出汁をかけて、すする。

最後に胡麻をふりましょうね

ああ・・・胃に染みいるこのやさしさ。スズキの9割8分はやさしさでできているにちがいない。


まだまだいきます、昼。胃が完全に汁物優しいもの大歓迎モードになっているので、ここはスズキのアラ出汁ラーメンといこう。

アラ出汁を温めたら、白だしとしょうゆで好みの味に仕上げる。具はわかめ、ねぎ、おぼろ昆布、ゆでたまご、海苔。

危うくスズキの身をのせ忘れるところだったわ・・・

麺はカッペリーニ重曹茹で、味変はゆずスコと焙煎七味あたりでいかが。

この焙煎七味、山椒が効いてて大好き
飲み干せるスウプ

食べるのがとても遅い私が、5分くらいで完食。
これ作れるなら、別に3000円ちかく払ってラーメン食べにいかなくてもいいよなあ・・・という自己暗示をかけ続けて早ウン年。


魚好き犬、俺のガン見ぶりが大変なことに


夜。にんにく、ねぎ、スズキの身、トマト、白ワイン、アラ出汁でスパゲティにアレンジ。

最後にバターをひとかけ入れてます
このスープもパスタとともに飲み干せる

うーん、これはたぶんアラ出汁がいい仕事してるんだと思う。
いつも缶詰のサバとかで似たようなの作るけど、今回のほうが美味しい。


さらにこの翌日。火曜日ですね。
朝またスズキ茶漬けをすすって、夜、最後の身を使い切ろうと。

少量のトマトピュレと生クリームがちょうど余っていたので、こりゃー大好物のトマトクリームソースに仕立てるしかありませんがな。

にんにく、たまねぎ、スズキの身、白ワイン、アラ出汁でグツグツさせたら、トマトピュレを加えて煮立て、仕上げに生クリームを投入。スパゲティを加えたら最後にバターひとかけでできあがり。

はいいつものやつ
具が多すぎて麺が見えない
相変わらず緑葉っぱがなかったので、
乾燥コリアンダーをかけてみた
これが大変よかった
ちゃんとパスタあるよ!

海鮮系にはトマトクリーム、これ鉄板。
それにしても、だ。パスタ連チャンしすぎじゃないの私?

まあ最後まで綺麗に食べ尽くせたから、ヨシ!
立派なスズキさん、「美味しい」をたくさんありがとう🐟


☟おまけ☟

振り向けばとんでもない俺の寝姿

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