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歯イタタ!ブギ

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携帯向けに書き下ろしたショートショートショート。ほぼ実話
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歯イタタ!ブギ 「7の日」

歯イタタ!ブギ 「7の日」

散々いじりまわされたあげく、
後日来てくれということになる。

鬱屈とした気持ちを薬と引き換え、
せき立てられるように外へ。

街は何事もなくいつもの日常を流し続け、
空は予報どおりに広がっていた。

わたしは久しぶりにみる日の光に眩み、
ぐったりとその場でひとりごちた。

「やぶ」じゃないよね。ちがうよね。

歯イタタ!ブギ 「6の日」

歯イタタ!ブギ 「6の日」

助手、医者を連れて颯爽と戻ってくる。

「・・・・」
「・・・・」

ぼそぼそと打ち合わせ、半分眠りかけている私に向き直る医者。

「ふむ…」

カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
ぁ・・カチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ
カチャカチャ

「あ」とか言う

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歯イタタ!ブギ 「5の日」

歯イタタ!ブギ 「5の日」

やっぱり診察は続く。

どうにも効かない麻酔を前に、抜歯は保留。
医者、助手を残して、そそと出ていく。

「お薬ぬりましょうね」

おぼつかない手つきだが、沈着に作業が進む。

実に平和で、痒くもない。
歯医者において、貴重な時間だ。

まんじりとしていると、
助手の手がふと止まる。

「・・・」

立ち去る助手。







…おい、もどってこい。

歯イタタ!ブギ 「4の日」

歯イタタ!ブギ 「4の日」

あくまで診察は続く。

「では抜くとしますか」
医者、抜歯の準備を整え作業に入る。

グッグッ
「ふぃたい」
「いたい?」
麻酔をチュッ。

グッグッ
「ふぃたい」
「えっ?」
麻酔をチュッ。

グッグッ
「ふぃたい」
「なんでよ!」

さぁ。

歯イタタ!ブギ 「3の日」

歯イタタ!ブギ 「3の日」

とにかく診察は続く。

「どれ…」
医者、急所に器具をあてがう。

チクッ。
「ふぃ!」
「いたい?」
「ふぁい」

…チクッ。
「ふぃ!」
「いたい?」
「ふぁい」

…チククッ。
「ふぃぃ!」
「いたい?」

いたいっつってんだろうが。

歯イタタ!ブギ 「2の日」

歯イタタ!ブギ 「2の日」

診察室にて。

「なにかと痛くて‥」
「ふむ」

医者、おもむろに白く錆びた器具をとり
口にねじこむ。

左上の奥歯をたたく。
「‥‥」

その前をたたく。
「‥‥」

左下の奥歯をたたく。
「いたい」

その前をたたく。
「‥‥」

「右上の親知らずが虫歯ですね」

なんでだよ。

歯イタタ!ブギ 「1の日」

歯イタタ!ブギ 「1の日」

どうにも我慢できない痛みというものがある。

長い。
繰り返し長い。

痛い。
あまねく痛い。

どこにも置きようのない感覚は
ひたと張り付いて離れない。

惰眠も許されず、歯医者へと駆け込んだのは
とにかく、そんなわけであった。