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辰年だから竜が描かれた作品を

もう年が明けて20日も経ってしまいましたが、山田五郎さんのアイデアを拝借して、辰年に因んでドラゴンが表されたフィレンツェの作品を取り上げます。


全体像

ドナテッロ 「聖ゲオルギウス」 1417年頃 バルジェッロ美術館

今回取り上げるのは土台のレリーフ。


竜を倒すゲオルギウス。右で姫が見守っている。


残念ながら西洋ではドラゴンは悪魔や異教のシンボルで、美術では聖人や天使に退治される役です。山田さんが取り上げた作品も、聖ゲオルギウスが竜を退治するものでした😅


この彫刻は武具の組合がドナテッロに依頼したものです。聖ゲオルギウスは古代ローマの騎士で、戦士の守護聖人です。そのことから武具組合が守護聖人に選び、聖像の制作を頼んだのでした。


伝説によると、ゲオルギウスが現リビアのシレーナという国を通りかかった時、生贄にさらされている少女を見かけます。事情を聞いたところ、城壁の外の大きな沼に残酷なドラゴンが住んでいて、なだめるために毎日羊を2頭捧げていた、しかし羊が足らなくなったために、くじで選ばれた人間も差し出しようになった、そんな中、自分が選ばれてしまったと少女は話します。彼女は国の王女だったので王である父親は娘を助けるため、国土の半分と引き換えにと竜に持ちかけます。ですが、国民は猛反対。特に既に我が子を差し出していた人達は納得がいく訳がありません。それはそうですよね。王女だから逃れられるなんて不平等です。王は泣く泣く娘を生贄に差し出したのでした。


事情を知ったゲオルギウスは姫を助け、国民にキリスト教に改宗することを条件に竜を退治しました。


大理石彫刻と思えないほど繊細


絵画のように彫刻を表すスティアッチャートという技術と遠近法が使われているため、繊細ながら合理的な空間表現がされています。いななく馬の上から勢いよく槍を振り下ろすゲオルギウスと翻る彼のマント、右で彼の勝利を祈る姫、張り付くように彼女の身を包む衣など。上の聖人の像がメインですが、レリーフだけでも存在感があります。


日本の辰とは随分違うけど、ルネッサンス初期の代表作品です✨

フィレンツェにいらした時の参考になさってみてください。


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