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オートミールチョコバナナブレッドの話

我は熟れすぎたバナナを救う

何十年か前からある我が家の定番おやつに、ほぼ計量カップと計量スプーンだけでつくるオートミールブレッドがある、という話を以前書いたことがある。
計量と作り方が簡単で多少分量が違ってもまあおいしくできる、という家庭料理の醍醐味ならではのオートミールブレッドは、熟れすぎたバナナにも気さくに救いの手を伸ばす。息子はチョコ&バナナというこちらの組み合わせのオートミールブレッドほうが、ずっと好きだ。

私はといえば、むしろ、バナナが熟れすぎるのを待っている。そもそもバナナは暖かい地域の食べ物だから、冷蔵庫で冷やすと皮が低温障害を起こして黒くなる。皮がすっかり茶色くなったからといって恐れるなかれ、皮をむいてみれば意外と白い果肉のままだったりして、豊かに熟された甘いバナナがそこにある。

それにしてもチョコ×バナナという必殺技のような夢の組み合わせはどこから来たんだろう。屋台のチョコバナナは、昭和40年代に栃木県の和菓子メーカーの社長が思いついた、という記事があった。

なんだか面白そうなのでちょっと検索してみたら、アリゾナのとある夫婦が1961年に冷凍バナナをチョコレートを浸してナッツやスプリンクルをかけて売っていた。
そもそも冷凍バナナは1933年のシカゴ博覧会で登場してめちゃくちゃ流行ったらしい、というおまけの解説もあった。(そのときもチョコレートのオプションがあったかは、記事の中になかった)

オートミールバナナブレットの分量と作り方

【材料】( 8*8*20cmのパウンド型を使用)予熱180度
粉類 1カップ(今回は米粉を使用。薄力粉でも、薄力粉+全粒粉でもいい)
ベーキングパウダー 小さじ2
オートミール・牛乳 各1カップ
熟れすぎたバナナ 2本
卵 2個
きび糖・植物油 各1/4カップ
板チョコ(ビター) 1枚

【つくりかた】
ざっくりと流れを書くと、

潰したバナナ→卵→きび糖→植物油→牛乳で戻したオートミールと粉類を2回に分けて→細かく切ったバナナとチョコ→紙を敷いた型に流し入れて上にバナナ輪切り飾る→予熱180度のオーブンで40分焼く

です。以下はその流れをちょっと細かめに説明してみます。

①耐熱容器にオートミールと牛乳を入れて混ぜたら、600Wで2分レンジアップ。取り出して全体を混ぜ常温まで冷ます。(冷めると、ねちっとした生地になる)

②粉類は合わせて、マドラーでシャカシャカまぜる。(ふるう代わり)

③バナナは、飾り用に薄切りを少し取っておいてもいいし、面倒ならまとめてぐちゃぐちゃにつぶしてもいい。(私は、1本の半分を飾り用に薄い輪切りにしもう半分は角切りにして生地に混ぜることにしている。)
板チョコは、適当にバキバキ細かく割る。(包丁で刻んでもいい)

④生地を混ぜるボウルに、まずはバナナを1本を入れてフォークなどで液状になるぐらいぐちゃぐちゃにつぶす。
次に卵を割り入れ、泡立て器で滑らかになるまでよく混ぜる。
次にきび糖を加えて、泡立て器でよくよく混ぜる。
次に植物油を加えて、泡立て器でよくよく混ぜる。
次にゴムベラに持ち替えて、①(牛乳で戻したオートミール)の半分の量を入れて混ぜ合わせたら、②(粉類)の半分を入れて混ぜる。もう1度繰り返し、①②を全部混ぜる。
次に、角切りバナナと刻みチョコを加えてざっと混ぜる。
⑤紙を敷いた型に④を流し込み、上に輪切りバナナを飾る。180度に予熱したオーブンで40分ぐらい焼く。焼き上がったら金網にとって冷ます。

※今回はロールドオーツと米粉でつくったので、出来上がりはほろっとやわらかめで、軽い口当たり。しっかり食べ応えのある方が好きな場合は、薄力粉と、オートミールをインスタントタイプのものにすると粘り気がもっとしっかり出て生地のまとまりも強くなる。


話の中のバナナ

その名もずばり『バナナ』という本がある。著者は獅子文六、昭和三十四年に読売新聞に連載されたもので、初版の装丁は棟方志功だった。
舞台は神戸、台湾華僑のボンボン息子や、歌手になって有名になりたい彼女、彼らの親などが登場する。明治36(1903)年に台湾から日本に初めて輸入されたバナナは一躍人気となったものの、太平洋戦争で輸入は完全ストップ。第二次世界対戦後、昭和25(1950)年に民間貿易が正式許可されたもの外貨不足などで輸入規制は続き、バナナが再び完全自由化が発表されたのは昭和38(1963)年。
そんな時代背景だから、一儲けできそうなバナナの輸入、お金とチャンスの匂いがプンプンするから、いろんな人がいろんな方向に色めき立つ娯楽小説で、結末は結構あっけない印象。
ま、欲に振り回されるって、人間味が溢れて滑稽だが、奥行きはないってことなののかもしれない。



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