カメのコウよりも

先月はお誕生月間でとにかく自分のやりたい放題を満喫した。
年々「おめでとう」を言ってくれるひとは限られてきているけど、お気持ちだけで十分ありがたい。
今年は振り返ってみると、わたしのことを面白がってくれる、かわいがってくれる女性がほとんどだった。しかも年上率が高かった。ステキだなと慕っている先輩がたからお祝いの言葉をいただくのはくすぐったくも、嬉しい。わたしもそんな先輩がたを見習うんだと改めて心に刻んだのでした。

つかず離れずの親友が、お祝いをしてくれるということで、わたしの台所バルに何か月かぶりの集合。いつもどおり、よく笑い、よくしゃべり、よく食べて、よく飲んで、ありがたい時間を過ごせたフライデーナイト。
しこたま飲んだので、帰宅後そのままバタンキュー。
翌朝、スマホを見ると、年下の友人からMessengerが届いていた。

ちょっとしたSOSコール。スタットコールだ、コレ。

普段割とドライに過ごしているけど、頼られるとめっちゃ張り切る根っからの姉御体質が、久しぶりに発動。

“どーした?”

返信を入力する。
だいたいの内容が戻ってくる。
状況を想像する。
ここ数年で知り合って、実際に会ったのは数えるほどだけど、SNSから知る彼女の近況や言葉のチョイス、考え方が好きで、大切な友人。
お酒も飲める子なので、即、会おう、飲もう、話を聞こう、という展開になった。

雨の下北沢。
渋谷での予定が思いの外、早く済んでしまって、珍しく試着してまでの買い物もしたけどそれでも待ち合わせの時間まで相当あって、こりゃ0次会だと言い訳をこしらえて目についたバルに入る。
自分の嗅覚に拍手!つまみも美味しい、酒の種類も多い。ステキだ。
彼女が日本酒の気分ならわたしが店を出ればいい話だし、我ながら素晴らしいチョイスだと悦に入り、待ち合わせの時間がくる。
結局彼女とその店でガッツリ飲んだ。

ちょうど干支で一回り違う彼女。
話を聞けば聞くほど、少し前の自分を見るように思える。
それなりにキャリアも積んだら、会社の中での立ち位置に悩むよね。
気になる男子との関係の築き方も、20代のそれよりずっと慎重になるよね。
話を聞けば聞くほど、いとおしく感じる。

実は0次会のとき、カウンター越しのお店のおにーさんから、「お友達もここで飲んじゃえばいいのにね」と言われて、「今日は彼女が主役なんで、彼女の気分次第なんですよね。SOSがかかったので日本酒とかの気分かもしれないし・・・」と答えた。
すると、おにーさんは「泣いちゃう系?」「その可能性もあります」「なるほど」の会話があったのだ。
ひとしきり話をして、彼女がお手洗いに席を立った時、おにーさんが言った。「全然大丈夫そうじゃないですか?」

本人も、「あれ?泣かないね、わたし」とケロっとしている。

もしかしたら、わたしが泣けないように会話の内容を仕向けてしまったかしら?いや、多分気にしすぎ。
冷静に分析しても、ギリ手前の状態だ。しかも、自力でしか対処できないダメージのやつ。

彼女から「話を聞いてくれてありがとう」と言われた。

もうさ、もったいないと思うんだよ。
わたしとかわたし世代よりも全然スペックも高いのに、過去のわたしとおんなじようなことで悩んでグジグジしてるその時間がね、もったいないのよ。
さっさと別のことにその時間を使ってほしいんだよね。
本人が悩みたいなら悩めばいいし、そのひとの人生にとって必要な時間だったりもするだろうから、最終的に選ぶのは本人だけど、
人類史からしたら、まあ、無駄だよね。って思うんだよね。

どうやら彼女に「人類史的に無駄」がはまったらしく、ケタケタと笑いだした。

心底わたしはそう思っている。

だいたいどの世でも、悩みの中身の本質は変わらない。
12年先に時間を過ごしてきて、後悔はしていないけど、客観的に見直すと、割と、ムダ。
だって、結局は自分で解決するしかないから。
だって、だいたいの問題は、自分の妄想から作られているから。
見方や視点を変えたら、そのことに気づく。
渦中にいるとどうしても視野が狭くなってしまう。
追い詰めて追い詰めて、わたしのように、社会生活上何ら変わらないけど、気持ちと自律神経がバラバラになる「元気なうつ病」になってしまうこともある。

誰もが経験することでもあると思う。
がむしゃらの20代、仕事も恋愛も全力。
30代、実績もできて面白さが増してさらに仕事を頑張る。でも、人生設計がぐらつく。それまで同じように生きてきたはずの友人たちの人生が、その数だけ変わっていくのを見て、焦る、ビビる、悩む。
身体の声も出てくる。メスとしてどうするか。
親を通して自分にかけ続けてきた呪縛にがんじがらめになる。八方塞がり。

正解はない。でも、全部結果OKなのだ!
早くそれを知ったら、残り時間の楽しさが全然変わる。

ことわざって本当に真理をつくものだなあとしみじみ。

亀の甲より年の功!

同じ過ちを繰り返すのは、ご先祖さま方にとっても失礼なのだ。
渦中はしんどくても、人類史的に、ムダなことは、とっととクリアするに限る!

帰宅後、友人に送ったメッセージ。

”またのご利用、お待ちいたしております(笑)”

こんなことで役に立てるなら、嬉しいことこの上ない。
使えるものは遠慮せずに、とことん、”使って”ほしいなと思う新年度でした。


ちょっとおいしいおやつが食べたい。楽しい一杯が飲みたい。心が動く景色を見たい。誰かのお話を聞きたい。いつかあなたのお話も聞かせてください。