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地元開拓旅行【築地編②】

『旅に行けないと嘆く位なら地元を掘り下げてみよう』ということで、試しに築地本願寺訪問してみました。その結果、毎日見ている築地本願寺でも、体験としても非日常で新鮮で歴史と背景を知るのもとても興味深くて、思った以上に好奇心が満たされたので定期的にやりたいなと思った次第。
今回はお寺繋がりという事で、波除稲荷神社へ。

波除稲荷神社
アクセス:
日比谷線の築地駅の1番/2番出口からは場外市場方面へ(いわゆる築地の交差点と呼ばれる)築地4丁目の交差点を経て旧市場後のあった新橋方面に歩いて次の交差点(市場橋)で左折。
または、都営大江戸線築地市場駅からは場外エリアに向けて歩いて市場橋に右折。
そこから5分程歩いた突き当たりにあります。
場外エリアで様々な飲食店や魚介、惣菜、食べ歩きグルメや調理器具、お土産物屋さんなどを楽しみながら抜けて行っても楽しいですよ。
突き当たりまで歩くと、銀杏の木に鳥居が覆われる様に形で見えてきます。

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基本情報:
稲荷大神を祭神とした稲荷神社。

歴史:
江戸幕府が開府した1603年当時、日比谷や八重洲まで入江や海岸沿いだったところから江戸城を拡大していくために埋立事業が行われれていた。70年をかけて4代将軍の家綱がこの埋立工事の締め括りとして取り組んだのがここ築地一体だった。しかし、いくら堤防を築いても激しい波に妨げられてしまう。そんなある日の夜、人々は海面に光り輝くものを見つけ不思議に思って船を出すとそれはまさかの稲荷大神の御神体。畏敬の念を持って現在の場所に社殿を作りお祀りして、盛大にお祭りをしたところ、嘘のように波風がなくなり工事が滞りなく行われついに完成、それが1659年(萬治2年)のことでした。
そのあらたかさに驚き感謝とともに稲荷大神に『波除』の尊称を奉ったことが、稲荷神社ではなく波除(稲荷)神社と呼ばれることになりました。

建築:
現在の社殿は1937年(昭和12年)にできたものでご震災の繋がりのある伊勢神宮の外宮と同じ、唯一神明造りで作られている。

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6月の今は大祓を行っている。お参りついでに(?)お祓いもしてもらえるなんて一石二鳥。

大祓は、我々日本人の伝統的な考え方に基づくもので、常に清らかな気持ちで日々の生活にいそしむよう、自らの心身の穢れ、そのほか、災厄の原因となる諸々の罪・過ちを祓い清めることを目的としています。(中略)
年に二度おこなわれ、六月の大祓を夏越なごしの祓と呼びます。大祓詞を唱え、人形ひとがた(人の形に切った白紙)などを用いて、身についた半年間の穢れを祓い、無病息災を祈るため、茅や藁を束ねた茅の輪ちのわを神前に立てて、これを三回くぐりながら「水無月の夏越の祓する人は千歳の命のぶというなり」と唱えます。また、十二月の大祓は年越の祓とも呼ばれ、新たな年を迎えるために心身を清める祓いです。(神社本庁より

この波除神社の特徴は、多くの動物が祀られているところ。
そもそものお稲荷さん(きつね)に加えて、波風を起こしていた『雲を従える龍』、『風を従える虎』(@本社)と一声で(龍虎を含む)万物を威伏させる『獅子』が奉納されている。
獅子は鳥居をくぐったところで早々に左右で迎えてくれる。

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波除の名前から厄除け・災難避けのご利益があるとして慕われている波除神社。
この獅子舞は鳥居をくぐって本社を正面に見て右側にある獅子殿に鎮座されている。厄除天井大獅子は江戸時代末期に焼失してしまっていたものが1990年(平成2年)に神社御鎮座330年を記念して、樹齢約3,000年の黒檜の原木を用いて高さ2,4m、幅3,3m、重さ1トンのオリジナルに勝るとも劣らないスケールで名実ともに日本1の厄除天井大獅子として再現されました。
この天井大獅子には願いを託された『願い串』を舌の上に収めて念じることで願い事を呑んで叶えてくれるという。

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そして、上の天井大獅子と対を成すように鳥居をくぐり左側に位置する弁財天社。
江戸時代に本社創建時に同時にお祀りされた縁で、摂社として学芸の才能と豊かな財を成す福富の神、一般的には弁財天と呼ばれる『市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)』を祀った弁財天社。
こちらも2002年(平成14年)に神社御鎮座330年を記念して、樹齢約3,000年の黒檜の原木を用いて高さ2,2m、幅2,5m、重さ700kgの総漆塗り一木造りで江戸時代のものを再現したものです。
弁財天が水にまつわるため、手水舎の役目をここで担っているのも特徴。

お稲荷さん、龍・虎、獅子舞以外にも、『蛤石』、『活魚塚』、『鮟鱇塚』、『海老塚』、『昆布塚』に加えて『玉子塚』、ひいては『寿司塚』まで市場で扱われる命に対して供養と感謝が捧げられている。全部混ぜてそれぞれの生き物がいると思うと、とてもユニークな動物園・水族館みたいだ。

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そして、商う生き物達の供養だけでなく、ここ築地で商いを行う商人達の成功祈願を長年受け入れ、見守ってきたアットホームな神社としても愛されている。
牛丼で知られる吉野家もその一つ。日本橋にあった魚河岸で開業し、その築地移転に合わせて築地に移ったものの東京大空襲で焼失。その後に屋台を経て牛丼で『築地1号店』を開業して以降全国に飛躍していった吉野家も奉納を行なっている。

この築地の街の始まりから発展を見守り続けて、街の人々の生活に密着しながら愛されてきた地元の神社なんだなぁ。

おまけ:

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築地に来たら何か食べていこうと思われる方も多いはず。
もちろん寿司か海鮮丼などが最初に候補になるだろうけど、その選択肢は多すぎて提案できないし多分僕より詳しく紹介してくれるサイトはいくらでもあると思うので、ここでは波除稲荷神社と目と鼻の先のイタリアンを。
南イタリアはアマルフィの、素材の味を存分に楽しめる力強いパスタ。もちろん一番の売りはたっぷり貝の入ったペスカトーレ。
(僕は気分でベーコンと3種のキノコのクリームパスタ食べちゃいましたが笑)
セットのサラダもオリーブオイルを染み込ませたフォカッチャもとても美味しい。ゆったりのんびり、築地の昼下がりを楽しんでもらうのにオススメ。

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コンテンツ参照:
波除稲荷神社ホームページ
築地パラディーゾ


皆さんの、明日から始まる一週間が、皆さんが住んでいる街で新たな発見をして、いつもの日常がより楽しめるものになります様に。

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