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大人は悲しくて優しくて楽しい ~映画『ツユクサ』をみた~

映画『ツユクサ』をみました。
小林聡美さん、平岩紙さん、江口のりこさん、松重豊さんらが出演している作品。
「大人のおとぎ話」なんてコピーがついていました。

いろいろあって、とある海辺の町に移り住んだ小林聡美さんが親友たちと過ごしたり松重豊さんと出会ったりする。
すごく大きな盛り上がりとかはない、のんびりと、ちょっとクスッと、ほのぼのと温かい作品でした。
好き。

出ている人たちがもう最高なんで、ちょっとした機微をバシバシ感じさせてくれる。

その傷について声高に語るでもなく。
そうした自分に酔いしれるでもなく。
淡々と日々の楽しみと向き合いながら機嫌よく生きている。
きっとそうなるまでには、壮絶な葛藤の日々もあったのだろうけど、そこを外部にうかがわせない程度には回復している。
という感じ。

大人たちは、多かれ少なかれ様々な経験を重ねてきて、他者に少し優しくなっていたりする。(そうなれていない人種ももちろんいますけどね)

バナナマンの設楽さんがラジオで話された名言がありまして。
「よく怒っちゃう人は引き出しが少ない人」というもの。
経験が少ないと、自分の少ない引き出しからしか物事が考えられなくて、そこからはみだしている人に対して腹が立ってしまう。
経験の引き出しが多いと、別のパターンもあるってことを知っているから、むやみに腹を立てることなく「あぁ、自分にもそういうことあったな…でもそれならこっちのほうがいいだろうな」なんて、冷静に考えられる、と。

※興味のある方は「設楽さん ラジオ 名言」とかで検索すると、語られた内容が全部出てくると思います。

この話がとても好きなんです。
本当にそのとおりだな、と思って。
ものすごく悲しい気持ちや怒りや絶望などを感じたことがあって、そこから逃げずに向き合ってきた人たちは、引き出しがたくさんあるから、他者への想像力も育まれているのでしょう。

映画に出てくるのが、そういう淡々として優しい人たちばかりなんです。
だから大好きなのかなぁ。

そして、そんな人たちに、ちょっとずつ素敵なことが起こる。
あぁ、やっぱり、人生って捨てたもんじゃないのかもしれないって、思わせてもらえる。
実際には、そんな優しいことばかりじゃないかもしれない。
だけど、そんな夢を見てもいいじゃないの?
ってことで、「おとぎ話」なんでしょうね。

人生は捨てたもんじゃないですよ、って、私はそれでも言っていたいなぁ、死ぬまで。

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